死後屋へ帰還
ファミレスにてハンバーグとご飯を頂いたのち、ローズの運転に任せて再び死後屋へ向かった。
ご飯を食べた後だからか、ローズの運転はかなりましになっていた。
出来るなら最初から急ブレーキ急発進その他諸々の過剰行使はやめて欲しい。
死後屋へ着いて時刻は現在14時を超えたところ、時間が過ぎるのは早いものだが、こうして振り返ってみるとあの異界とやらにいた時間は1時間もなかった。
車から降りると、しょぼしょぼと目をまたたく二十が迎えにきていた。
「ふわぁ…お帰りじゃな、蕗市、それに内藤。」
「ローズナイトよ二度と間違えないで。」
こうも抜け抜けと欠伸をかましながら恨みの一つも吐く気が起きない。
いや正確的には一度に多くの情報が流れたせいかおかげで諸悪の根源を忘れていたというのが事実であるけれども、何はともあれ今は怒りが沸いてきた。
「んむ、それで、霊力は出せるようになったか?」
「えぇ、能動的に出せてるし、及第点じゃない?」
「…ほーーーーう?」
二十が一度眼をぱっちりさせ、再び目尻を薄くしてこちらを見る。
「いやぁ僥倖僥倖!ローズナイトはこう言っとるが、そうそう一度促すだけでできるものでは無いからなぁ!素晴らしいぞ蕗市の。」
「いや流されませんよ?なーに昨日今日で魑魅魍魎が跋扈してる世界に放り込んでるんですか!?」
「ふふ、最もじゃ。ぐうの音も出ん」
二十はうんうんと首肯し口の端を上げている。
おかしいな、不満を伝えたはずなのに私には悪びれもせず喜んでいるように見える。
なんだかものすごく嫌な予感がする。
「ところで」
二十は下駄を鳴らし、笑顔のまま肩にガシッと手を置いて、口を開いた。
『鉄は熱いうちに打て』と言う言葉を知っておるかな。」
もしそこに鏡が置いてあれば、わかりやすいくらいに色を消す私の顔が見えただろう。
「嫌です。」
「まだ日も高い、それに気力が有り余っとると見える。「いいえ。」せっかくなら護身術も今日身につけると良い。安心せい、痛い事はない。「あの。」むしろ痛い事を遠ざける技術なんじゃから早々受けて損は無いとも。うむ、それがいい。」
「離してもらえませんかね!?」
「……はて?」
引かれてもいない体がびくとも後ろに動かない。
ついでに二十の顔に張り付く微笑みもびくとも動かない。
「まぁまぁまぁまぁ、固いことを言うな。ワシらの仲じゃないか。」
「どんな仲ですか!」
「はーい大人しくせい」
逃げられないままぐおんと視界が歪み、気づけば目の前に石畳があった。
「どわぁっ!?ちょ、誘拐ですよ!神社でやるとか正気ですか!!」
「いや神社じゃなかろうと誘拐はだめじゃろうて、大丈夫大丈夫ちょっとしたら返すから。」
ケラケラと笑う肩が腹に伝わる。
「…バチあたれ!」
「そのような口をきけるくらいの仲にはなったらしい。嬉しい限りじゃなぁ。」
二十は声色を高くして私の背中をとんとんと叩く。
石畳が動き出した、もう抵抗は無駄らしい。
ぶらんとなった頭にエンジン音が鳴り響く。
ふと見ると知らぬ顔で運転席へ乗るローズがいた。
「ローズさん助けて下さい!!」
「えっ?…あぁ、二十」
「ヤじゃ」
「無理だわ、諦めなさい。納車してくるわね。」
最後の望みは絶たれ、私は無事二十に連行、というよりかは運搬されていった。
Q.セリフ多くね?
A.4ヶ月だからね仕方ないね




