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自己紹介と悪い予感

結局その後死後屋の人達から自己紹介してもらった。

…が、皆キャラが濃すぎて胃もたれしそうだ、いや、こんな変な仕事をしている時点で十分濃いのだろうが皆自我というか何かが妙に強い。

じーっと聴きながら、名前と特徴を覚えていると二十から背中を叩かれる。


「どーした、お主の番じゃぞ。」


まずい全く考えていなかった。なぜこれほど濃い人々の後に自己紹介することになったのか。心の中で人の字をガブ飲みしながら言葉を振り絞る


「あー、えっと?はい、死後屋の…弟子?新人…バイト…になりました?蕗市麗夜…?っていいます。」


余計な部分にまで疑問系が入った、未だに自身の立ち位置がわかっていないのだ。あちらの顔にも「?」が浮かんでいる。少し落ち着けるために一息つく。


「お世話になるのでよろしくお願いします!」

「…うむ、はいお主ら拍手ゥ!!!!!!」


二十が満足したように頷くと破裂音のような拍手で皆の拍手を促す。

音頭を取った二十が拍手をやめて、


「よし、じゃあわし今日の仕事終わったから部屋で寝てくる。依頼はいつも通り箱に入っとるから見といてくれ。仲良くの。」


と言いながら障子をピシャリと閉めた。

いや、普通置いていくだろうか、新人を。二十を目で追ったままで硬直していた。

肩にぽんっと手が置かれる。油の差されてない古びた部品のように首を回すと茶髪に羽織を着た男が同情の目でこちらを見ていた。


「二十さんはあーゆー人やから、諦め。」


この男は道用永國(どうようながくに)。自称死後屋随一の三枚目、だそうだ。眉も目も細く、髪はうねっており、背が私の頭一つ高い。そして紫のシャツに深緑の羽織という、これまた辺鄙な服装だ。

趣味はギャンブルと堂々と言い放ち、なんにせよ、怪しい男というか、信用してはいけないタイプの人種だ。


「凄い目でみられとる…まぁええわ、いろいろ教えてくれる支道が今日居らへんし、代わりに色々教えるわ。」

「あ、ありがとうございます。あの、何も聞かされてないんですけど、どうしましょう。」


今度は道用が問いに硬直する。


「聞いてへんの?」

「はい」


道用が大きなため息を吐く。何かしただろうかと様子を伺っていると焦って繕う。


「あーすまんすまん、君にちゃうねん。あの丸投げ店長が悪いから。大丈夫、ちゃんとこっちは聞いとるから。」


この人も振り回されているらしい。…いや、さっきは二十が振り回されていたのでどちらかというと双方で振り回しているようだ。何か頭を抱えて「あー、あのなぁ、えーっと」と言葉を選んでいる。

まさかいきなり異界に行けなどと言うわけもないだろうが、どうも嫌な予感がして身構える。


「ふぅん、これが依頼。特にやることもないし、さっさと行きましょう。」


と道用が唸っていると奥からローズの声が聞こえてくる。

一枚の紙を持って何やらこちらへ歩いてくる。

すれ違うと思った途端、手を引かれた。


「え?」

「聞こえなかったの?行くわよ後輩。」

「あぁ、えと、行くってどこに」

「…?異界だけれど」


唸っていた道用が頭を抱えて上を向く。

道用の様子とローズの顔を交互に見て、数秒の沈黙の後に言葉がしっかりと脳に伝わる。


「…はぁ!???」

「ほら、車乗るからさっさとしなさい。」


強引に手を引かれ、悪い予感が的中したということだけを悟るのだった。

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