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嘘つきはようやく恋を知る

短いです

今日ほど自分が嘘つきでよかったと思える日は後に先にもないだろう、そんな確信があった。


彼といると、不思議な気持ちになる。自分の嫌いだったところや後ろめたさを感じていたことまでも、好きになってしまうような気がしてしまう。


鼓動のうるささを感じないよう、重い荷物を持ちながら一生懸命に走っていた私は乗り場に出た。向こう側の乗り場に止まっている電車に乗るために残り少ない体力を振り絞って跨線橋こせんきょうをのぼる。


ようやく下の階段も後数段と言ったところで、駅には出発のアナウンスが響く。


もう間に合わないことを悟った私は、諦めてゆっくりと階段を降りてガラリとしたホームにある椅子に腰をかける。



あぁ、だめだ。心臓がさっきからうるさい



きっと走ったせいだ。“あの時“はきっと嘘を演じられていたはずだ。そうであってほしい。


この胸のうるささも、冬なのにやけに熱いこの頬も


全部走ったせいだ。


なのに、そのはずなのに・・・


なのに、どうして


さっきからあの人の顔が頭から離れないんだろう


ついさっきまで一緒にいて、一瞬とはいえ触れ合えるような距離にいたはずなのに、それなのに・・・



「・・会いたいなぁ」



この思いだけは、冷たい空気の中でもずっと消えずに胸の奥で燃えていた。


「はぁ、嘘が上手なのだけが取り柄だったのに・・・」


自分が嫌いだった長所も、彼の前では意味がないみたいだ。


中学生以来、要領よくやってきたのは間違いなく、私が嘘つきだったから・・・だったんだけど・・・



「・・・好きだなぁ。。。」



この想いには、敵わなかったみたい。


溢れた想いは白い息となって私の前に現れては、溶けていった。

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