意外と穏便な解決法?
またしても放課後。
俺と茉白の二人きりの空き教室で、やれ今日の授業のここが分からなかった。寝ていたからだろと対して意味もないやり取りを交わしていると急に扉が開かれた
「久しぶり!」
快活なその声は、見るまでもなく誰のものかはわかる。朝日凪は、実に1週間ぶりにこの空き教室に来たのである。
それも最後の時と違う晴れやかな笑顔で
「文芸部の方はどう?」
「それが絶好調!みんな文芸だとかそもそも本を読むことは好きだったみたいだし私が部員を集めてみんなで雑談していくうちにほとぼりも冷めたみたいで、今は文集作りを頑張ってくれてる」
「たかが雑談で上手くいくのか?」
「私も最初は軽いレクくらいの気持ちだったんですけど・・・ただ本人同士だとどうしてもたまにギクシャクしちゃうので私がそういう時は仲裁する様にしてるんです!かなり頑張りましたよ、私!」
意外だった。文芸部の話ではない。朝日の態度がだ。
後夜祭で俺を強く批判した朝日に俺はこの前嫌な態度をとった。それに対して朝日もイラつきを見せていたが今ではなんでもない様に振る舞っている。
これじゃ今でも根に持っている俺が子供みたいじゃねーかよ、もし彼女の振る舞いが本当なのだとしたら、だ。
「まぁ、中立の人がいると冷静になりやすいのかもね」
なるほど、家では気まずい親とも友達だとか先生の前だと取り繕える、みたいな感じだろうか。
今の文芸部内部での関係が本当に修繕されたのか、修繕された様に見えるだけなのかは俺には分からないしどうでもいいことだしな。
大事なのは文集ができることだろう。文集さえ出れば、うちの文芸部の文集は有名らしいし安芸たちが作った文集を見て入部希望の新入生が入部してくれるだろう、きっと。
と、俺は何故文芸部は文集を出さないと廃部の危機にさらされるのだろうかと疑問をうっすらと考え始めたが、もう終わったことだとすぐにそれを止める。
「で、文集はいつまでが締め切りなんだ?間に合いそうなのか?」
「えっと、それがですね。もう2週間を切ってるんですよね・・・ただ、安芸ちゃんが私たちに相談に来る前から文芸部の方で書いてはいたので到底無理ではないらしいですけど・・」
朝日のその口調からはありありと、文芸部が苦境に立たされていることが見てとれる。
それも前までとは違う方向性の。
「確か安芸からの依頼って文集の完成を手伝うことだよな?その過程として仲直りがあったわけで。ならまだ問題は終わってないんじゃねーか?」
「わかってます!・・・ただ、もう作品作りにみんな本気になってるから私がいても邪魔だから今日からは行かない様にしたんです」
ほんの少しだけ悲しそうにいう朝日。その原因が、この何日かで仲良くなった友達(文芸部)とわかれたからなのか、自分にもう術がないことへのものなのかは分からないが。
「そうか、俺たちにできることはもうなさそうだな」
そう言って俺は、席を立つ。
頑張った人が報われるよう、願いながら。
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