仲違いのまま迎えた依頼
遅れました!申し訳ないです;;
次の日の放課後、いつもの空き教室。
復習をする川霧、無表情に携帯をスワイプする茉白、俺そして朝日。
各々いつもと同じ立ち振る舞いでありながら、教室の空気は変によそよそしく、時間が経つのがやけに遅く感じる。
・・・これ携帯の時計壊れてねーか?入ってまだ十分も経ってないんだけど体感は40分くらいなのに
そんなことを考えていると、川霧はおもむろにいつも読んでいるノートを畳んで、俺たち告げる。
「さ、そろそろ仕事の時間よ」
急な発言につい思わず全員が川霧の顔を見るが、本人はそんなこと気にもとめず言う。
「どうぞ、入ってください」
誰に向かって言っているのかわからないそのセリフに続くようにして、空き教室の扉が開かれた。
すると、そこから茶色の長い髪を結ったメガネをかけた猫背気味の女生徒が入ってきた。
その女性はこちらを見ると気まずそうに一礼をして、空いていた椅子に座って俺たちと対面する。
えっと・・・。と居心地悪そうにその女生徒は川霧を見ると
「こちらは文芸部の安芸文香さんよ」
「ど、どうも・・。1年の安芸と言います。今回は川霧さんに頼みを聞いてもらったところ助力をいただけると言うことでここにきたのですが・・・」
おい、なんの説明も聞いてないぞ。と、視線で川霧を問いただすと川霧はこれまた俺の視線を気にを止めずといった感じで説明を始めた。
「その頼みと言うのは、安芸さんが属している文芸部についてよ。今は3年の先輩1名、1年は安芸さん含めて3名で活動しているのだけど、1年の生徒間で喧嘩が起きてしまって部の解散の危機らしいわ」
「そうです。なのでそれを相談したら川霧さんに協力いただけると・・」
・・・おかしい。
つい話を聞けば聞くほど眉間の皺が濃くなっていく感じを覚えた俺は、困っている依頼人の目の前ではあるが失礼を承知で川霧に不満をぶつける。
「川霧。この話、お前にしては筋が通ってないだろ。裏生徒会はあくまでも生徒会の補佐だからって言ってたじゃねーか。なのに文芸部の解散は阻止しようってのか?」
俺の反論に、きっとこうなることを予想していたであろう川霧はなんでもないように応える。
「あら、昨日言ったわよね?あなたに拒否権はないって」
「は?」
言われて昨日の別れ際の会話を思い出す。
確かに川霧は言っていたが・・・
「それに俺が肯定したつもりはないんだが?」
「そう。なら多数決をとりましょうか?朝日さん、あなたはどうしたい?」
「わ、私!?えーと・・・私は力になりたいかな」
「そう、ありがと」
川霧は鼻を気分良さげに鳴らして俺の方をしてやったりと見てくる。俺は面食らったせめてもの抵抗として川霧をにらむが、それすら川霧は意に介さず続ける。
「安芸さん、改めてあなたの依頼を受けるわ。もう一度確認なんだけど、目的は『文芸部の存続』でいいのよね?」
「は、はい・・」
わかりました。と目を伏せ告げる川霧は妙な間を置く。
その作為的な奇妙な間に、俺は昨日から続く胸のざわつきが高まっていくのを感じ・・・!!
「今回の依頼は、主に隣の和樹くんと朝日さんが担当するのでどうぞお気軽に二人を使いまくってください」
「おかしいだろ!?」
・・・俺の叫び虚しく、川霧はそれだけ告げると颯爽と教室を後にした。
絶対ろくなことにならない、そう俺の本能が警鐘を鳴らしていた・・・




