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霧が晴れ出す頃

俺はなんとか泉の仕事を終え、完全下校時刻ギリギリに生徒会に立ち寄った。その後に荷物を取りに会議室へ戻ると、誰もいなくなった会議室に一人、川霧がノートを見ながら座っていた。


今日くらいは早く帰ればいいのに、仕事が終わるやすぐに勉強とは・・・成績上位者は伊達ではなさそうだ。


俺は邪魔にならないようにただでさえ薄い気配を更に消して隣の席にある荷物に手をーー


「・・・仕事、終わった?」


「な、なんとかな。ってかお前すごいな、こんな時ですら勉強かよ」


「ふふ、そうかもね」


川霧は上品に笑うと、少しばかり気まずい間を開けた。その間は妙に体をいじって落ち着かない様子だった。


やがて


「あ、あの。付き合ってくれないかしら」


おもむろにそう呟く川霧。


待て、今なんて?


確か、彼女はどこか恥ずかしげな顔で「付き合う」と言う単語を口にーーーえ、そういうこと!?


俺は完全に頭がショートした。


きっと間抜けな顔をしていたのだろう。


「・・・物分かりが悪いわね。明日のキャンプファイヤー、一緒に踊らないかって言ったのよこの愚鈍ぐどん


言われてもなおショートしかけの頭で俺はなんとか答える。


「・・・あー、悪い。明日のその時間は係の仕事で見回りなんだ」


「・・・本当?」


不安そうに目を泳がせ、シュンとした様子で小首を傾げ、確かめるように弱々しく川霧は尋ねる。


「本当だ。ここで嘘ついても何にもならんだろ」


川霧は少し考えるような仕草をしてから、ならばとこちらを向く。


「私も一緒に行くわ。二人の方が心強いでしょ」


「いや別にそんな大変でもーー」


「協力、でしょ?」


俺は、一本とってやったとでも言いたげな子供っぽい笑みを浮かべる彼女を、拒む気にはなれなかった。


「・・わかった。お願いするよ」


「物分かりが良くて助かるわ。それじゃ、明日、楽しんでね」


急くように立ち上がって廊下に出ていく彼女を見送ると俺も立ち上がって帰路に着く。


楽しむ・・・か


俺は、どうしても明日の俺がそうなっているのを考えることはできなかった。

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