他人ではなく
読んでくださりありがとうございます!!
「この世界が異世界でのゲームで、創作物の世界に転生したと・・・、にわかには信じ難い話だな。しかも現在のカヨ殿がそのゲームでの悪役的存在だ、などと・・・。」
「そうですわね。死亡率のとてもとてもとても高い悪役に転生しましたわね。」
私は早口でそういった。
他の悪役キャラとは比べ物にならないほどシャルロッテの死亡率は高い。
「それで?これからどうするつもりなんだ?」
「全力で悪役をやりますわ。」
「・・・は?」
魔王様は首を傾げましたの。
聞こえなかったのかしら。
「ですから、全力で悪役をやりますわ。」
「自ら進んで嫌われ者になる、と?」
「えぇ。」
「なぜ?」
だって———
「それがシャルロッテの———この国のための一番の行動なんですもの。」
「国のためにまた、辛い目に遭うと?」
「魔王陛下は優しいですわね。正直言って、私、ヒロイン・・・ゲームでの主人公が大っっ嫌いなんですの。だから喜んで悪役でもなんでもやりますわ。」
魔王陛下は悲痛そうな顔をした。
「あなたがそこまでする理由はなんなんだ?」
私は魔王陛下に顔を近づけた。
シャルロッテには聞かれたくなかったんですわ。
「シャルロッテに、幸せになって欲しいんですの。」
私は顔を離し、にこりと笑った。
「ですからこれからも魔王陛下にもお助けしていただきたいですわね。」
魔王陛下は顔を逸らした。
「ライアスでいい。」
「かしこまりましたわ、ライアス様。」
「何かあったら、いつでも呼ぶといい。その名を呼べば、どこにいても聞こえる。」
そう言って彼は窓に近寄り飛び降りた。その途中で竜の姿になり、彼は魔王城の方へと飛んでいった。
私はシャルロッテの元に戻りハウル様の元へ行った。
彼はウェルクさんの前で椅子に座り、時折心配そうにウェルクさんの方を見ていた。
「公爵閣下。お部屋、ありがとうございました。」
「あぁ。それから・・・」
「?」
彼はこちらにニコリと微笑みかけてきた。
イケおじですわね。かっこいいですわ。
「君からしたら私は赤の他人なのかもしれないが、今の君は、私の娘でもあるんだ。そう、畏まらないでくれ。」
私の目頭が熱くなりましたわ。
私はずっと、ハウル様に公爵様として、他人として接してきましたわ。
それが正しいと思っていましたの。
でもハウル様は私を、娘として扱ってくれましたわ。
それがとても、嬉しかったんですの。
「これから、よろしくお願いしますわ。・・・お、お父様。」
「!!あぁ、よろしく。」
お父様はとても嬉しそうに笑いましたわ。
私も、幸せな気持ちになれましたの。