シャルロッテは目覚める
『悪役・・・を、演じるの?』
「えぇ!あなたが試した中に、あの人に辛く当たるものはありませんでしたわ。」
『だって、かわいそうじゃない?』
「全然?あの人の主張を聞いてみたらわかりますわ。あの人、頭の中がお花畑なんですの。」
『そうなの?』
「えぇ。」
ゲームをやっているとき、私はヒロインが大っ嫌いだった。何も考えてない。何も変えようとしない。何も見ていない。シャルロッテの方がよっぽど素敵だと思う。
「さて、この後とりあえず・・・どうしましょうか。」
『お父様たちに挨拶したら?』
「そうですわね。そうしましょう。」
私は夢から出て、心の中でシャルロッテに話しかけた。
「(シャルロッテ、聞こえる?)」
『ばっちり。』
私は一度頷くと、お父様の元へと向かった。今は多分部屋で仕事をしているだろう。
コンコンコン
私は部屋の戸をノックした。
「入りなさい。」
中からお父様の声がした。私は部屋の中へ入った。
「シャル?おお、良かった。目が覚めたん———君は誰だい?」
このお父様、なかなか鋭いわね。気がつくとは思っていたけど、予想より早いわ。
「初めまして、シャルロッテのお父様。」
「シャルロッテを返していただこう。」
まさか、精神乗っ取ってると思ってる?
「今から、シャルロッテと入れ替わりますわ。」
「(シャルロッテ。)」
私は夢の中へと行き、シャルロッテは体へと戻った。
こういうふうに見えているのね。
「お久しぶりですわね、父さま。」
「シャルなのかい?今のは一体・・・?」
「彼女は贈り人の華夜ですわ。私と彼女は私の体を共有しております。」
「そういうことか。それで、眠っている間、何をしていたんだ?」
「未来を試していましたの。そのことでお願いが。」
お父様は真剣そうな顔になった。
「なんだい?」
「私が予知した未来では、この国は滅びます。」
「それは本当か!?」
「何度も試しました。やり方を変え、行動を変え。それでも変わりませんでした。」
あ、もしかしたら一時的にだけど私も外にいけるかも。
「(シャルロッテ、分身、作れる?)」
シャルロッテはこくんと頷くと、手を前に出した。
そして魔法で彼女そっくりの分身を作った。
私はその分身のほうに移った。
「出来ましたわね。」
「華夜?」
「一時的にですが、二人同時に外に出れることがわかりましたわ。」
「君が華夜くんか。本当の君の姿になれるかい?」
私は魔法を使い、姿を華夜のものにした。黒髪黒眼の典型的な日本人だ。
「君は、何か知っているのか?この国の未来について。」
「えぇ。ここは私の前世であったゲームの世界と同じだということがわかりましたの。ですから、シャルロッテが先ほど語ったことはゲームのシナリオの一部、ですわね。」
私は二人にゲームについて話し始めた。