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私こそ、本当の悪役令嬢ですわ!  作者: 月乃夜 星竜
第二章  シャルロッテ10歳
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義弟は知る

「おはよう!イザンナ。」


僕の義姉(あね)になったその人は、微笑みながらそういった。わからない。どうしてその人が僕に優しくしてくれるのか。なぜ僕に笑いかけてくれるのか。

なぜ———



人殺しの僕を受け入れてくれるのか。



その人だって聞いたはずだ。

僕の過去を。

してしまったことを。


なのに・・・なのにどうして!


「なぜ、僕にそんなに優しいの?」

「え?」


しまった。声に出てた。

急に聞かれて向こうも混乱したに違いない。

やってしまった。


「あ、いえ、あの・・・」

「あなたが私の家族だからよ。」

「僕の過去を、聞いてないの?」


もし僕の過去を聞いたのならば、そんなこと、言えないはずだ。

そんなふうに、笑えないはずだ。

聞いてないんだ。

きっと。

僕は無性に、その場を離れたくなった。


「すみません・・・。失礼します。」


僕は自分の部屋だと言われた場所に逃げ込んだ。

暗い中、座り込んだ。


頭の中に、今まで言われたことが聞こえてくる。


———「化け物!!」

———「気味が悪い。」

———「お前なんか出て行け!!」

———「あなたなんて私の息子じゃないわ!!」

———「近寄んな!!」




———「この、人殺し!!」


「っ・・・!」


今は優しいあの人も、過去を知ったら同じことを言うに違いない。

怖い。

恐い。

嫌われたくない。

もうこれ以上傷つきたくない。

これ以上苦しみたくない。

知られたくない。

こわいこわいこわいこわい!!


「イザンナ?聞こえる?」


あの人の声がした。


「あなたの過去を聞いたわ。」


「っぁ・・・。」


あぁ!!

知られてしまった!!


嫌われる!

怯えられる!

避けられる!


「イザンナ。」


聞きたくない。

その言葉の先を!

恐れを込められた言葉を!

聞きたくない!!


「辛かったわね。もう、大丈夫。」

「ぇ・・・?な・・・んで・・・。」


どうして。

なぜ。

なんで。

僕の過去を聞いたのに、そんなことを言えるんだ!

人殺しの僕を!

どうして慰めてくれるんだ!


一体・・・どうして・・・!!


「私はあなたを怖がらないし、恐れない。」

「一体・・・なぜ・・・!?」

「私は事実を知ってるわ。それを聞いたら、あなたは後悔するかもしれない。それでも、聞きたい?聞く覚悟はある?」


事実?どう言うこと?

一体何をいっているの?

僕が、人を・・・殺してしまった!

それ以外に一体どう言う事実があると言うんだ!!


でも、もし。

もしそれ以外の事実があるならば。


「あります。教えてください。」

「そう・・・。じゃあ、扉を開けてくれる?」


僕はゆっくりと扉を開いた。明かりをつけ、また扉を閉める。


「あなたが殺したと思っているその人。生きてるわ。」

「え・・・?」

「生きてるの。私たち、あなたに謝らないといけないのよ。」


あの日、僕はある人物に間違えて魔法を当ててしまった。

その人は倒れて、たくさんの大人が来た。

そして何日か経って、その人が死んだと伝えられた。

生きてたの・・・?


「その人物・・・『ウィドルース伯爵』と言うのだけれど・・・。彼は王家に叛逆しようとしていたわ。だからお父様の部下が密かに後をつけていたのよ。そしたらそいつがあなたにつかみかかって、倒れて。部下の人たちは急いで駆け寄ったそうよ。あなたが見たたくさんの大人は、お父様の部下だったのよ。本来なら、誰かがあなたを保護するべきだった。なのにそれを怠ったわ。ごめんなさい・・・。」


どうして謝るのだろう。

あなたは悪くないと言うのに・・・。


「そしてあなたのお父上と私のお父様、それから国王陛下で話し合いをしたのよ。まぁ、あなたの元、お父様がちょっと失礼すぎてほとんど言い合いだったみたいだけどね。」


なんてことだ。

僕のお父様が国王陛下たちに失礼な態度をとった?

子供でもわかる。

ダメなことだと。


「それで、伯爵のことは我が公爵家が引き取って尋問し、表向きは公爵に切り掛かって殺されたことにすることになったのだけれど・・・。何かの手違いこそれとも故意にやったのか。あなたが殺したと聞かされたみたいね。我々の不注意だったわ。本当にごめんなさい。後々それを知ったお父様があなたを引き取ることにしたそうよ。」


僕が殺したわけじゃなくて。

そいつは生きてて。

引き取ったのもそれがあったからで。


ちょっと混乱している。

でも・・・。


「聞いて、後悔してない?」

「してません。・・・教えてくれてありがとう。姉さん。」


僕は初めて、心からの笑みを浮かべることができた。



姉さん。ありがとう。

この恩は一生忘れない。

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