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魔王と僕≪しもべ≫のしあわせごはん  作者: 羽鳥くらら
【第6話】両片想いとフライドポテト
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【6-4】

「創世、大戦……?」


 随分と壮大な名前だなぁ……。盤上遊戯ということは、つまり、テーブルゲームやボードゲーム──将棋とかチェスとかすごろくとか、ああいうものなんだろうか。いずれにせよ、ゲームなのは間違いなさそうだ。


「魔王との勝負は、そういうのもアリなの? なんというか……、遊び、というか……?」


 将棋や囲碁にもプロの存在がある以上、「遊び」と言い切ってしまうのは抵抗があるけれど、命懸けの勝負を挑みに来ている人たちと比べたら、圧倒的に平和な手段に見えてしまうのは仕方ないだろう。


「魔王との勝負は武力や魔力による戦闘に限る、という決まりはありません。遊戯であろうと構わないのですよ。ただし、明確なルールがあって、誰の目にも勝敗が明らかになる手段でなければ、魔王は勝負を受けてはならないことになっています」

「なるほど……。じゃあ、例えば、絵を描いてどちらが上手いかを競うとか、料理対決とか、そういう審査する人の主観が入りそうな勝負方法は駄目だよってこと?」

「その通りです。『創世大戦』は、昔から定められているルールのある歴史的な盤上遊戯でして、知力は勿論のこと、参加者の魔力の強さも重要になりますので、なかなかに奥が深いものです。王家主催での大会が開かれたりもするほど、プレカシオン王国では人気のある遊戯ですね」


 魔力が必要なゲーム……? まったく想像が出来ない。そもそも、魔力が必要になる時点で、僕には縁のないものだ。少し残念。

 ちょっとガッカリしているのを察したのか、ジルが優しく提案してくれる。


「ミカが実際に遊ぶのは難しいかもしれないが、どんなものなのか、後で教えてやろう。俺とカミュが導入部分だけ軽くやってみるから、それを見ているといい」

「えっ、いいの……?」

「ああ。この国の文化に興味を持ってもらえたら、召喚した側としても嬉しいからな。ただし、ほんの最初の部分だけになってしまうが」

「勿論だよ! ジルもカミュも他にも色々とやることがあるんだから。少し教えてもらえるだけでも、とっても嬉しいよ」


 ほんの数分だけでも見せてもらえたら、物凄く嬉しい。そんな気持ちで頷くと、ジルはそうではないと言いたげな顔で首を振った。


「いや……、一日程度でどうにかなるのであれば、全て見せてやりたいところなんだが。俺とカミュなら、最低でも丸三日は掛かるだろうからな。サリハの来訪が予想できる今、そこまで日数を割くわけにはいかない。すまないな」

「いや、そんな、気にしないで……、っていうか、ちょっと待って。──三日!?」


ゲームの勝敗を決するのに、そんなに掛かるの!? 長くてもせいぜい数時間程度だろうと思っていた僕は、あまりの衝撃に、思わず声を大きくしてしまった。

 驚いたらしいクックとポッポが慌てて飛び寄ってきて、僕の肩に乗りながら「大丈夫?」と問い掛けるようにキュルキュルと鳴く。白と黒のもっふりしたお尻を交互に撫でて、僕は安心させるように笑って言い含めた。


「ごめんね、クック、ポッポ。ビックリしちゃったよね。大丈夫だから、ごはんを食べておいで」

「クゥ?」

「ポォ?」

「大丈夫。ジルの話を聞いて、ちょっと驚いただけだよ」


 納得したらしい愛鳥たちは、クルクル鳴いて頬ずりしてから、窓際の定位置へ戻っていく。それを視線で見送りながら、カミュが微笑んだ。


「ミカさんの世界には、日を跨いで勝負する遊戯は無かったのですか?」

「うーん……どうだろう……、あったのかもしれないけど、僕は知らないなぁ」

「マリオさんのいた国では長時間かけて賭け事をする悪い遊びがあったそうですが……、ミカさんのいた国には無かったのかもしれませんね」

「あったとしても、ミカはそんなものに近付くような人間じゃないだろう。そんないかがわしい賭け事の存在など、知るはずもない」


 うーん……、賭博とか裏カジノなんかはあったのかもしれないし、インターネットの情報や映像作品内で得る程度の浅い知識とはいえ、それがどういう場所なのか全く知らないというわけでもない。でも、ここは話を流しておいたほうが無難かな。

 そう考えた僕は、気になっている点を尋ねてみることにした。


「さっき、ジルとカミュなら三日以上かかるって言ってたけど、参加者によって掛かる時間は変わるものなの?」

「ああ。魔力量が多ければ多いほど有利になり、知略を巡らせる力が強いほど有利になるものだが、その力が拮抗すれば長期戦になる。特に、知能の差があまり無い両者の魔力量が膨大だった場合、何日も勝負が続いてしまうことになる」

「ジル様も私も、魔力量の上限はほぼ無いですからね。『創世大戦』で真剣勝負をするとなると、とてもとても長い時間を要するでしょう。……だから、私たちが勝負をしたことは無いのです」

「雑に駆け足で進めて全体の流れを見せてやってもいいんだが、それはやっている側も見ている側もつまらないと思うからな」


 ルールはまだ把握できていないけれど、なかなか複雑そうで、勝負する人の能力値によって色々と差異が出そうなゲームだ。

 ──そんなゲームで魔王と勝負する巫女とは、一体どんな人なんだろう。そもそも、巫女さんの実力はいかほどなのか。


「ジルと、その……サリハ様? は、どのくらいの時間で勝負するの?」


 僕の問いに、ジルは即答した。


「いつも、二、三日ほどだな」

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