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ストレんじねス。 〜チートなアイツの怪異事件簿〜  作者: スネオメガネ
業《ごう》の章

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『ヤマ』と 『名も無き持衰』

 当時、ウチは未来視を使って、引き篭って占いばっかしてたわけ。 で、どうも狗奴ときな臭~い感じだったから、周辺のいろんな国に使いを出してたの。 た~っすけて~! みたいな?


 でもって、そん中に大陸の魏ってのがあったんよね。


 まぁ、大変だったのよ。 なにしろ言葉が通じないんだから。 一番、アチャ~ってなったのは、国の名前よね。 どんだけ『ヤマ』という国から来たんよ、って、ウチの使いが言っても、伝わらなくて。


 ヤマ……ト……国? みたいな感じ。


 いやいや、違うよって否定しても、ヤマト国ちゃうん? ほな、もう女王国でええわってなったと思ったら、結局、当て字で邪馬壹国って書かれちゃって。 挙句の果てには、邪馬台国とかいうよくわかんないご立派な名前になっちゃってるし……。 なによ台国って? みたいな感じ。 『ヤマ』だっつ~のっ!


 あ、話がズレちゃった。 戻すね。


 で、当時、ウチらの国で流行ってた呪いで、『持衰(じさい)』ってのがあったんよね。 要は、航海の安全祈願よね。 ちょっち汚い話だけど、風呂にも入れず、垢まみれの汚い奴を人柱として、同行させるってやつね。 まぁ、ウチが考案したんだけど。


 ほら、当時の船旅って、今と違って、全然危険だったからさ。 穢れた存在を同行させて、穢れを引き取ってもらう? みたいな? 無事、船旅が終われば、ご褒美あげて解放するし、なんかあったら、即処刑。 そう縛りを入れる事で、船を襲う災厄を引き受けさせる(じゅ)ね。


 ま、実際、効くんよね。 持衰……


 で、その持衰が、魏からの帰りに変だったらしいのよね。 話をしても、顔を見ても、行きと同じ持衰ってはずなのに、な~んか違う、みたいな? でも、何が違うかわかんない、モヤモヤした感じ?


 でも、帰らないわけには行かないし、『まぁ持衰だし、いっかぁ』って帰ってきちゃったわけ。 で、使いの子も、すっごく違和感バリバリなもんだから、帰ってきてから、ウチの弟に報告したらしいのよ。 あ、弟ってのは、当時、引き篭って占いばっかしてたウチに代わって、政治?的なことやってくれてたんだけどね。


 で、その報告を弟から受けた日、奇しくも、占いで、この国に不穏な影が迫ってるって結果が出たわけ。


  その夜……。 今でも、鮮明に覚えてる……。 周りの魑魅魍魎達が騒がしい明るい月の晩だった。


 他の子に様子見させると、危ないかな?ってなって、こっそり外に様子を見に行ったの。 騒いでる魑魅魍魎達を鎮めるのは、ウチしか出来ないと思ったから……


 そこには、月の下で、光り輝く魑魅魍魎達が、まるで蛍のように、一人の汚らしい青年の周りで戯れてたの。 ……まるで、彼こそが魑魅魍魎たちの光なのだと言わんばかりに……


 不思議よね。 明らかに不潔な感じだったのに、ウチは、『美しい』と思ってしまったわけ。 ……一生の不覚って感じ?


 それが、魏からの帰りに持衰とすり変わった、ラ・ムー美樹本……、いや、ラ・ムーだったの……


「ん? あぁ、君は、この国の女王だね」


 みたいな感じで軽く話しかけてくるじゃん? 一目で持衰とわかる風貌の青年がよ? 名も無き持衰がよ? 明らかに年下だしっ! ね? 信じられる!? 女王のウチによ?


 報告にあった、違和感バリバリの持衰って、コイツじゃんって思ったの。 やべぇの入り込んでんじゃん!って。


 ……そう思ったのに、不思議と彼の言葉への反発は湧いてこなかったわけ。 すぅっと言葉が、身体の中に入り込んでくるような感覚? 忌々しいけどね。


「君、すごく未来視に長けてるんだってね。 もし、よかったら、私にご教授いただけないだろうか? もちろん、タダとは言わない。 未来視を教えてもらう見返りとして、君には最高峰の鬼道を授けようじゃないか。 ……な? 悪い話じゃないだろ?」


 みたいなこと言うわけよ、ソイツが。


 やべぇ奴だとは、わかってたんだけど、当時のウチには、その言葉に抗う事ができなかった……。


 後でわかった事だけど、アイツは(アストラル)界にアクセスして、魂魄に直接語りかけるわけ。 そんなん抗える方がおかしいってなもんよ。


 あ、ちなみに鬼道ってのは、今で言う霊力を使ったいろんな術のことね。 いわゆる法術とか呪術とかの感じ。


 で、ウチらはそこで、夜な夜な待ち合わせて、ウチはアイツに未来視を、アイツはウチに鬼道をって感じで、お互い教え合う妙な関係になっちゃったのよね。


 ウチは、星の読み方や、亀の甲羅の炙り方とか、いろいろ教えてやったのよね。 でも、アイツは、センスないというか、なんというか、まぁ覚えが悪かったんよ。


 その点、ウチは天才?だったから、アイツの教えてくれる内容、バンバン吸収して、鬼道の達人みたくなってったの。 アチョーって感じ!


 ま、アイツみたく、(アストラル)界にアクセスとまでは、いかなかったけど、かなり干渉できるようにはなったわけよ。


 とにかくっ! アイツはいろんな事を……ウチの知らない海の外の話なんかも含めて……いろんな事を教えてくれたのよね……


 ……うん、楽しかったよ。


 まだ、当時8歳だった壱与も紹介して、3人でキャッキャやって……


 ……ずっと、こんな日が続けばいいと思ってた。


 ずっと、占いばかりさせられてきたウチの、初めてのわがまま……ほんの些細な願い……


 現実は残酷だよね。 そんな些細な願いすら……聞き入れてくれないんだから……

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