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ストレんじねス。 〜チートなアイツの怪異事件簿〜  作者: スネオメガネ
宗《しゅう》の章

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すべては、フートのために

 さて、今回、プラーナ会員の中でも、特に熱心な方しか参加出来ないこのセミナー。 参加出来ている皆さんは、本当に幸運です。


 今回の話を聞いてしまうと、もう知らなかった頃には戻れません……が、決して損はさせないので、気楽に聞いてくださいね。


 あぁ、嬉しい気持ちは、わかりますので、静かにしてくださいね。


 …………


 ……黙れ。


 あぁ、いいですね。 やれば出来るじゃないですか! その調子で、講義中は"お口にチャック"、約束ですよ ♪


 まず、皆さん、皆さんは"自分はレムリア人の生まれ変わりだ"と信じていますよね?


 だから、今の世の中は生き辛く感じる。 普通の人とコミュニケーションを取るのが困難。


 今までのセミナーでは、そういった感情はレムリア人だった事の証明であり、決してマイナスなものではない……と説いてきました。


 アフリカにしかいないキツネザルの化石がインドで発見された事から、かつて、インド洋に大陸があった……。 その大陸は根拠となったキツネザル、レムールから名付けられたレムリア大陸。


 ……今までのセミナーでの説明でもありますし、世のスピリチュアル界隈で言われている事でもあります。


 でも、キツネザル? そんなもの、大陸移動説で説明できる事であり、レムリア大陸があった根拠にはなり得ません。


  中には後付けの『レムリア』という言葉に懐かしさを感じるなんて、的外れな事を言う団体もあるようですが……


 ……レムリア大陸なんてもの、本気で信じてるんですか? 皆さんも本当は、薄々感じているのではないですか?


 はっきり言いましょう。


 レムリア大陸なんてものは大嘘です。


 あぁ、落ち着いてください。 レムリア大陸は嘘でも、皆さんが感じている"違和感"は本物なので……。


 つまり、レムリア大陸なんてものはありませんでしたが、似たような霊的な大陸は、太平洋に実在したのです。


 …………


 よかった。 皆さん、冷静になってくれましたね。 だからこそ、選ばれた……。 皆さん、もっと自信を持ってくださいね。


 まずは、謝罪をさせてください。 今までは、皆さんの理解を早めるために、すでに存在した言葉を借用して、話を進めてきました。 ごめんなさい。


 でも、今回選ばれた皆さんだけには真実をお伝えする。 それこそが、この特別セミナーの趣旨になります。


 では、その大陸について簡単に説明しましょう。


 皆さんは、(アストラル)界という言葉はご存知ですか? 端的に説明しますと、私達が存在する物質界と重なるように存在する霊的な世界。 それが(アストラル)界です。


 その大陸は、(アストラル)界と物質界の狭間に生きる巨大な魚の上にありました。 名は、"フート"と言います。 これは、"バハムート"の語源になっている、と言えば、わかりやすいかもしれませんね。


 さて、このフートに住んでいたフート人ですが……(アストラル)界の影響で、霊的な力、いわゆる超能力を持っていました。 そして、神官長の指導の元、愛と光に満ちた生活を送っていました。


 そして、何を隠そう、プラーナの代表、ラ・ムー美樹本こそが、フート最後の神官長にして、最高指導者、ラ・ムー・フーティレイスト・エル一一通称『ラ・ムー』の生まれ変わりにあらせられるのです。


 ところで……あなた! あなたがこの世界に、生き辛さを感じる理由はなんですか?


 …………


 なるほど、人に嫌われるのが怖くて、誰とも上手く話せない……わかります。 私もかつては、そうでした。


  この、コミュ障! 社会生活不適合者! よく今まで、のうのうと生きてこれたなっ! 恥ずかしいっ!


 と、周りは、平然と言ってきますよね。 さぞ、辛かったでしょう。


 でも……それは仕方ないことなのです。 なぜなら、魂が記憶しているからです。 争いもなく、テレパシーでイメージを共有できていた頃の事を。


 その能力を封印され、野蛮な人間と共に過ごしているのですから、不安になるのは当たり前の事です。


 むしろ、その不安な気持ちこそが、あなたが特別な存在だという証なのです。


 では、ハイ、そこのあなたっ! あなたは、どうですか?


 …………


 ……そうですね。 今の世の中、何をするにもお金が掛かります。 定住したら住民税、お給料をもらったら所得税、果ては、たばこ税に酒税。


 お金、お金、金、金、カネカネカネカネカネカネ……


 ふぅ、まったく……やってられませんよね?


 フートにいた頃は、動物や植物と語らい、エネルギーは太陽の光から得、物欲、金銭欲といった概念すらありませんでした。


 そういった俗世的な欲望とは無縁だったのですから、そこに生き辛さを感じるのは、フート人の生まれ変わりとして、ごく自然な反応です。


 まずは、そういった物や金銭への執着を捨てて、すべてを手放し、自然や宇宙と調和することで、一段階上のステージへと向かうことが出来るのです。


 もし、他にもそういった事が気になる方がおられましたら、個別に相談に乗ることもできますので、お手隙の際にスタッフまでお声掛けください。


 さて、このように栄華を極めていたフートですが、突然、終わりを迎えます。フートの破裂により、巨大な大陸は、一夜にして海の中へと消えました。 破裂した欠片は、無数の龍となり、世界各地へと散らばったのです。


 その散らばった龍ですが、その内の二匹は絡まり合い、この日本の土台となりました。 一匹は北海道を頭、もう一匹は九州を頭とする二匹の龍です。


 だから、フート人の生まれ変わりは、自然と日本に集中するのです。


 そして、ここからが一番大事な話ですが、近いうちに、この二匹の龍は再び飛び立ちます。 当然、日本は沈みます。 審判の日です。


 その際、古い日本人は一掃され、ラ・ムー美樹本に導かれ、選ばれた者達だけが生き残ります。 それが、あなた達なのです。


 そして、安心してください。


 飛び立った二匹の龍は、大気に漂う他の龍と融合し、巨大なフートへと戻るでしょう。 私達の魂の故郷が復活するのです。


 そして、その時こそ、真のユートピアが完成するのです。


 すべては、フートのためにっ!


 ハイ、皆さんもご一緒に!


「すべては、フートのためにっ!」


 声が小さいですよ? ちゃんと生きてますか?


 ハイ、「「すべては、フートのためにっ!」」


 もう一回!


「「「「すべては、フートのためにっ!!」」」」


 素晴らしいです! 皆さんの熱い想い、確かに伝わってきました。 ハイ、拍手~。


 パチパチパチパチパチ


 皆さんにフートの御加護があらん事を……




 さて、これで私、クリスティーヌ滝本のパートは以上となります。 この後は、休憩を挟んで、『審判の日に向けて』の説明になります。


 あ、そうそう、鹿山……臨太郎さんと深村 紗希さん。 お二人とも書類の一部にサインが抜けているところがあったようなので、休憩時間中に申し訳ありませんが、一緒に来てください。

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