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少女ときどきジョッキー  作者: モリタカヒデ
第1部 少女ときどきジョッキー
98/222

98 ラジオNIKKEI賞(1)

 午前中の未勝利戦を連勝し、勢いに乗る優。次はいよいよメインレースのGⅢラジオNIKKEI賞である。


第2回福島競馬2日目 第11レース ラジオNIKKEI賞 

(GⅢ 3歳オープン ハンデ 芝1800メートル 馬場状態:良)


1枠1番 ヤジサンファンネル 牡馬 56キロ  仲本 昇


1枠2番 ニクキュウ     牝馬 50キロ  小野 克也


2枠3番 ラッキーストライク 牡馬 57キロ  蟹田 仁


2枠4番 ワイネルシュトルム 牡馬 54キロ  増岡 拓海


3枠5番 マグナムエース   牡馬 56キロ  マッテオ・ジョバンニ


3枠6番 イシノスザク    牡馬 56キロ  仁村 公平

 

4枠7番 セイショウヒエイ  牡馬 53キロ  中田 幸広 


4枠8番 シゲオポテンヒット 牡馬 54キロ  棚田 裕延  


5枠9番 ホウヨクテンショウ 牡馬 52キロ  相川 雅


5枠10番 ソーマナンバーワン 牡馬 55キロ  藤平 優


6枠11番 センブリエール   牡馬 56キロ  田仲 勝利 


6枠12番 ワンダフルライフ  牡馬 56キロ  島田 義人 


7枠13番 オンザプラネット  牝馬 52キロ  田崎 英太 


7枠14番 スカイチューリップ 牝馬 51キロ  古畑 耕三 


8枠15番 コズモレンジャー  牡馬 53キロ  戸村 晃彦


8枠16番 エイテンプライム  牡馬 56キロ  平山 陽一 



 単勝オッズ2.9倍で堂々の1番人気に支持されているのは、ソーマナンバーワン。重賞レースの常連が揃ったこのメンバーの中でも、1、2を争う破壊力の末脚を持っている。オープンでの実績はスプリングステークス4着だけであるが、他の有力馬に比べて恵まれたハンデと、鞍上の優の好調が、人気を後押ししている格好だ。単勝オッズは2.9倍。


 これに次ぐ2番人気に推されているのは、ラッキーストライク。スプリングステークスでソーマナンバーワンを差し切って3着に入り、そこで獲得した優先出走権で駒を進めた皐月賞でも5着と健闘している。ただその実績故に57キロとハンデを見込まれた分、本命馬の座を譲った格好だ。単勝オッズは3.1倍。


 単勝4.6倍の3番人気は、快速馬マグナムエース。近走はマークが厳しく凡走が続いているが、デビュー以来一度もハナを譲ったことがない先行力は、この開幕週の小回り福島では大きな武器となる。リステッドのジュニアステークスを制した実績は上位で、このレースでも逃げることが確実視されている。


 以下の馬は単勝10倍以上のオッズがついており、この3頭による首位争いが濃厚と見られていた。


「おうミヤビン、これが重賞初騎乗だってな。そのわりにはえらく落ち着いてるじゃねえか。俺が初めて重賞に乗った時は、ガチガチになってひでえレースをしたもんだけどな。」

 抽選を突破したホウヨクテンショウでの重賞初挑戦。その雅の緊張をほぐしてやろうと思っていた古畑だったが、思いのほか平静を保っている様子に拍子抜けしていた。

「えへへ。あたしはそんなに器用じゃないから、出来る事をやるだけです。それにこの4か月間、何もしてなかったわけじゃありませんし。」

「そうだったな、お前は────」

 同じようにローカルを主戦場にして来た古畑は、雅の成長を肌で感じていたから、その言葉を肯定せざるを得なかった。

「しかしお前はホントいい性格してるよ。まあ臆面もなくアイドル騎手としてデビューするなんて、とんでもなく図太いヤツじゃないと出来ないしな。そういう意味ではお嬢よりもよっぽど騎手向きかも知れんな。」

 帝王の予期せぬ持ち上げに、思わず照れて顔を赤くする雅であった。


 一方、ソーマナンバーワンに騎乗する優は、止まれの号令の掛かったパドックで、オーナーの相馬、調教師の太陽と話し込んでいた。


「いい仕上がりですね。今日の出走メンバーならチャンスは大きいでしょう。とは言え勝負は時の運ですし、藤平さんは勝っても負けても悔いのない騎乗をして来て下さい。」

 優に力が入り過ぎないよう言葉を選ぶ相馬だったが、今日はスーツをビシッと決めて、珍しく奥さんと幼い息子を競馬場に連れて来ている。勝利を期待しているのは明白であった。


「優、この馬のことはお前が一番良く分かっているし、今更アドバイスすることもあまりないが、開幕週の福島は前が絶対有利だからそこだけは気を付けろよ。直線入り口で逃げ馬から5馬身圏内のポジションを意識しておけ。」

 太陽のアドバイスに優は大きく頷く。このレースのシミュレーションは、出走馬が確定した木曜日から脳内で繰り返している。前を意識しつつ、後ろの追撃もケアするレースプランは完全に固まっていた。


 ソーマナンバーワンに跨ってパドックを周回する優は、その雰囲気の良さに一層自信を深めていた。

(私が乗ってもテンションが上がらないし、これならスムーズにレースが出来そう。行ける!)


「優ちゃん、気負い過ぎると馬がピリピリしちゃうから、リラックスしてね。ガンバ!」

「了解です。それじゃあ、行ってきます!」

 本馬場入場を終えた優とソーマナンバーワンは、厩務員の綾に見送られて、決戦のスタート地点へと駆けて行った。



 






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