174 共同通信杯
きさらぎ賞は、ポテンショメータが朝日杯フューチュリティステークス2着馬フリーアズアバードを破り、ホープフルステークス5着から見事に巻き返して見せた。
明けて今週は、東京競馬場で3歳限定のGⅢ共同通信杯、京都競馬場で古馬のGⅡ京都記念が行われる。ともに歴史ある重賞レースだが、とりわけ前者は数多くのスーパーホースがステップとして使って来た。ダービーを見据えて府中を経験させようとする関西の素質馬の東上も目立ち、調教技術が向上した近年ではここから皐月賞への直行も珍しくはなくなっている。
今年の出走予定馬の中で注目を集めるのは、札幌2歳ステークスの覇者でホープフルステークスは3着に惜敗したインドラ。前走は不完全燃焼に終わった感もあり、高速馬場と東京競馬場の適性の確認も兼ねてここから再スタートを切る。
第1回東京競馬6日 第11レース 共同通信杯
(GⅢ 3歳オープン 賞金別定 芝1800メートル)
1枠1番 セイショウケンザン 牡 56キロ 中田
2枠2番 ワイネルアートマン 牡 56キロ 戸村
3枠3番 フィールライヴ 牡 56キロ 田崎
4枠4番 マカロニサラダ 牡 56キロ 島田義
5枠5番 トーキョーブギウギ 牝 54キロ 神谷
6枠6番 コズモラリオス 牡 56キロ 増岡
7枠7番 アルファウェーブ 牡 56キロ 仁村
8枠8番 インドラ 牡 57キロ 御子柴
メンバーが揃いにくいこの時期にしても、このラインナップはかなり手薄と言わざるを得ない。評判馬のインドラが確勝と見て、2着賞金狙うより他のレースに回る方が得策と判断したオープン馬や、手堅く自己条件に回る1勝馬などの回避馬が多く出たのも一因と思われる。
案の定、インドラは単勝1.2倍の一本被りの人気。そんな中で対抗と見られているのが、牝馬のトーキョーブギウギ。アルテミスステークス、葉牡丹賞と連続3着ながらその末脚は重賞級で、ここはインドラ以外の面子が軽いと見た陣営が、思い切って牡馬相手の重賞で賞金加算を狙って来たのだ。インドラ同様不器用なタイプだけに、広くて直線が長い東京コースに戻るのは大歓迎のクチである。主戦の蟹田が裏の京都記念に騎乗するため、今回は代打で陽介が手綱を取る。
ゲートが切られると、まず内からポーンと飛び出したのはワイネルアートマン。ホープフルステークスでも見せた先行力を生かして、単騎逃げからの粘り込みを図る。
インドラは中団5番手、トーキョーブギウギは最後方待機策を取り、共に折り合いに専念して脚を溜めている。両馬の鞍上である御子柴も陽介も、この頭数と相手で東京コースなら、位置取りにはこだわらずに自分の競馬に徹した方が得策と判断しているようだ。
逃げるワイネルアートマンの1000メートル通過は1分2秒0と、お決まりの超スロー。それでも一団となって追走する各馬は無理に動くこともなく、4コーナーからようやく一斉に進出を開始する。
最後の直線では、各馬が大きく横に広がる大味な競馬。大本命のインドラの鞍上・御子柴は不利を受けない大外に進路を取り、馬群の中で脚を溜めていたトーキョーブギウギの陽介は、その真後ろに張り付いてスリップストリームのような形を取る。
インドラをマークしてあわよくば出し抜けを食らわそうという作戦の陽介であったが、馬の力が違い過ぎてはそれも叶わない。インドラは持ったままで先頭に並び掛けると、残り400メートルで御子柴が右ムチを一閃。たちまちドカンと末脚を爆発させた同馬は、追い縋るトーキョーブギウギとの差を一完歩ごとに広げて行く。
最後は、楽勝と判断した御子柴が残り100メートルを流してゴールする余裕を見せながら、2着に5馬身差を付ける余裕のフィニッシュ。1分47秒0の勝ちタイムと自身の上がり3ハロン33秒0は、ペースを考えると優秀と言える。
トーキョーブギウギは完敗の2着も、賞金を上積みして桜花賞とオークスへの出走に向けて大きく前進した。この後の牝馬重賞やトライアルに出走を予定している有力馬の顔触れを考えると、ある意味ここを選んだ陣営の事前のリサーチ力の勝利とも言える結果であった。
勝ったインドラは高速馬場に対応できるスピードを備えていることを実証し、晴雨兼用のその末脚の破壊力からクラシック争覇の有資格者であることを示して見せた。この後は予定通り皐月賞→日本ダービーのローテーションで、前走敗れたエナジーフローや2歳王者ゴールドプラチナムの打倒を目指すことになる。




