165 中山金杯(1)
中央競馬の新年は、例によって東西の金杯で幕を開ける。
昨年はスタート直後に落馬という悲惨な結果に終わった優だが、今年は2歳時にGⅠホープフルステークスを勝ったブラックジョーカーという有力馬で参戦。同馬の昨秋2戦の手綱を取った棚田が、年末の最終開催日に斜行で騎乗停止処分を受け、宙に浮いてしまった鞍上に急遽指名されたのだ。
リーディング上位の騎手は、もう騎乗馬が決まっていたり京都に遠征で不在だったりで空いておらず、当初乗り馬のいなかった優にお鉢が回って来た格好となった。棚ボタで転がり込んで来た重賞2勝目のチャンスに、彼女もやる気満々。追い切りにも騎乗し好感触を掴んでレースに臨んだ。
第1回中山競馬1日目 第11レース 中山金杯
(GⅢ 4歳以上オープン ハンデ 芝2000メートル 馬場状態:良)
1枠1番 ラッキーストライク 牡4 55 蟹田
1枠2番 オツカレチャン 牝5 52 平山
2枠3番 ゴーストレート 牡5 53 仲本
2枠4番 ロートフリック 牡6 55 川越
3枠5番 ブラックジョーカー 牡4 57.5 藤平
3枠6番 ワイネルシュトルム 牡4 55.5 増岡
4枠7番 フェノバルビタール 牡4 56.5 田崎
4枠8番 ワンモアチャンス 牝4 55 ジョバンニ
5枠9番 サドノクロノス 牡5 57 山田
5枠10番 ホークコマンダー 牡4 54 島田義
6枠11番 ウイニングショット 牡6 57 古畑
6枠12番 ホウヨクテンショウ 牡4 56 相川
7枠13番 ミスターエビス 牡6 53 仁村
7枠14番 コズモクライシス 牡7 54 戸村
8枠15番 アムロヘリオス 牡5 54 中田
8枠16番 アイラブスムージー 牝6 50 小野
絶対的存在と言える軸馬を欠くメンバー構成で、単勝オッズが割れる混戦ムード。3.3倍で1番人気に推されたのは、4枠7番フェノバルビタール。
GⅡ青葉賞の覇者で、その後はダービー6着、セントライト記念3着、菊花賞4着と、勝ち切れないまでも世代上位の力量を示し続けている。中団からの鋭い差し脚が武器で、どんな展開でも突っ込んで来る安定感は馬券購入者に安心感をもたらす。
単勝3.6倍と差のない2番人気は、3枠5番ブラックジョーカー。2歳の暮れに後のダービー馬ライトニングボルト相手に逃げ切ってホープフルステークスを優勝。見事にGⅠ馬となったが、その後は1年間勝ち星なし。それでも先行力を生かした競馬でダービー4着、菊花賞5着と、惨敗を挟みながらも大舞台では存在感を見せ付けている。
急遽手綱が回って来た優だが、ヴイマックスとエナジーフローの兄弟の新馬戦で勝利したように、人気馬への代打騎乗には実績がある。テン乗りとなる今回、パートナーに約1年ぶりの勝利をプレゼントすることが出来るか。揉まれると脆い所があるだけに、他の先行馬との兼ね合いが大きな鍵を握る。
単勝5.2倍の3番人気は、4枠8番ワンモアチャンス。オークス3着、秋華賞4着の実績を誇り、同世代の牝馬ではトップクラスの一頭だ。同じ中山コースのGⅢフラワーカップを勝っているのも心強い。
ただし器用さに欠けるため大味な差し競馬を強いられることも多く、ハンデ戦のここで勝ち切るためには展開の助けが必要だろう。
4番人気は、6枠11番ウイニングショット。重賞2勝の実績馬で、本来ならもっと上位の人気でもおかしくない存在だが、小倉記念3着の後に疲れが出て放牧。休養明けのここは、得意の小倉に向けての叩き台と見る向きが強い。
鞍上は、新コンビとなるローカルの帝王・古畑。この次に予定されている小倉大賞典でも手綱を握ることが決まっており、引退を控える中で悲願の全場重賞制覇に向けて、まずは感触を確かめたいところか。
5番人気は、5枠9番サドノクロノス。3歳時にGⅢチャレンジカップを制した実力馬だが、その後長く低迷。それでも前走、2度目のチャレンジカップで2着と好走し復活気配。関西馬で良績は阪神コースに集中しているが、コース形態の似ている中山芝2000メートルで再度の好勝負を目論む。
この1年を占う意味でも、関係者に一層の力が入るこの金杯。短いようで長かった冬休みを挟んで、待ちわびたように競馬場に詰めかけた大勢の競馬ファンの前で、勝ち名乗りを受けるのは果たしてどの人馬か。




