159 有馬記念(1)
年末恒例の大一番、グランプリ・有馬記念まであと3日。毎年恒例の枠順抽選会がネット中継の下で行われ、出走馬16頭の出走枠順が決定した。
第5回中山競馬8日目 第11レース 有馬記念
(GⅠ 3歳以上オープン 馬齢 芝2500メートル)
1枠1番 ダイヤモンドダスト 牡3 55キロ 神谷
1枠2番 セボンマキシマム 牡4 57キロ 山田
2枠3番 エースインザホール 牡3 55キロ 蟹田
2枠4番 ジェットマン 牡6 57キロ 島田義
3枠5番 タイワレジェンド 牡5 57キロ 屯田
3枠6番 ニューヴァージョン 牡5 57キロ 多田
4枠7番 レーザーポインター 牡4 57キロ 菅田
4枠8番 ワイネルシュトルム 牡3 55キロ 増岡
5枠9番 フリルワンピース 牝4 55キロ 田崎
5枠10番 サイレントヴォイス 牝3 53キロ バウマン
6枠11番 セイショウブシドウ 牡7 57キロ 川越
6枠12番 プレタポルテ 牡4 57キロ ロベール
7枠13番 ホットショット 牡5 57キロ 中田
7枠14番 ケイエムテンダネス 牝6 55キロ 戸村
8枠15番 ラウンドアバウト 牝3 53キロ ジョバンニ
8枠16番 バーニャカウダ 牡5 57キロ ジョーンズ
ダイヤモンドダストの陽介が引き当てたゲートは、白い帽子の最内1枠1番。内枠有利の傾向が顕著な中山の芝2500メートルを考えると絶好の枠で、人気馬がここに入ったことに会場からもおおーっというどよめきが起こる。
ところが、喜ぶかと思われた当の陽介は、表情を曇らせて何やら思案顔の様子。その理由は、騎乗馬の人気と脚質にあった。
前残りのバイアスが強いコースで、最短距離を走れる最内枠を引く。このこと自体はマイナスになるはずがなく、陽介も歓迎材料として捉えている。
問題なのは、ダイヤモンドダストが人気を背負う先行馬という点だ。菊花賞ではたまたま出遅れたことで息の入らない流れを味方に付けることが出来たが、先行力と瞬発力を兼ね備える同馬の長所を生かすにはやはり、先頭に近い位置でレースを進めての粘り込みが理想である。
しかし、前に行く馬が揃った今回のメンバーを相手に中途半端な先行策を取ってしまえば、内のポケットに包まれたまま身動きが取れなくなるリスクが高い。となると逃げの一手となるが、1番人気を争うほどの有力馬であるダイヤモンドダストでハナを切れば、後続の全馬に目標にされるのは必至。どう転んでも楽なレースは期待出来ないのだ。
かと言って、前走同様の後方待機策に打って出れば、インががら空きになることは期待し辛いコース形態から、ラストは外を回す苦しい形になる可能性が高く、1番枠のメリットをみすみす棒に振ることになろう。
進むも退くも地獄だが、勝機は恐らく前にしかない。強力メンバーを向こうに回しての立ち回りに、レース前から激しく頭を悩ませる陽介であった。
そしてレース前日の土曜日。冬場の開催4週目で芝の傷みも目立ち始めたものの、馬場造園課の必死のコース整備の賜物か、依然として速い時計が出るGⅠウィーク仕様の高速馬場を維持している。
この日の注目レースは何と言っても、年2回しかない障害ホースの晴れ舞台の一つ、中山大障害である。絶対王者マイティフロッグに紅一点カルテジアンが挑む図式は、春と全く同じ。しかしマイティフロッグは春の疲れが抜け切らず、ぶっつけでこのレースに出走という苦しい臨戦過程。
優の同期であるカルテジアンの鞍上・五十嵐は雪辱を果たしてのJ・GⅠ初制覇に燃えていたが、結果は惜しくも返り討ち。マイティフロッグが連勝を伸ばしての王座防衛となったが、万全の体調でなかったとはいえ、春の7馬身差から大きく差を詰める1馬身差の惜敗。王者が10歳を迎える来春、ジャンプ界の若き新女王の誕生に大きく期待が膨らむ結果となった。
そして、勝負の日曜日。日本最大級の大レースを開催するには若干キャパシティー不足の感もある中山競馬場に、今年も十万人を大きく超える大観衆が詰めかけた。
場内が真冬の寒さを吹き飛ばすほどの熱気に包まれる中、いよいよ大一番・有馬記念のスタートが刻一刻と近付いていた。




