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少女ときどきジョッキー  作者: モリタカヒデ
第2部 少女のちジョッキー
145/222

145 スプリンターVSマイラー

 GⅢアルテミスステークスで人気のニンリルが重賞初勝利を飾った翌日曜日、同じ東京競馬場で行われた秋の天皇賞を制したのは、昨年のダービー馬プレタポルテであった。ダービー以来のGⅠ2勝目を飾った同馬は、府中で4戦無敗のコース巧者ぶりを改めて示すとともに、次走のジャパンカップでGⅠ連勝を狙う。


 今週は土曜日にGⅡ京王杯2歳ステークスとGⅢファンタジーステークス、日曜日にGⅡアルゼンチン共和国杯とGⅢみやこステークスの豪華4重賞が組まれており、さらに祝日の文化の日には交流GⅠのJBC3競走が行われるなど、中央競馬のGⅠの谷間を感じさせない注目レースがてんこ盛りとなっている。


 この中で、優は土曜の京王杯2歳ステークスで、ムーンウォーカーに騎乗を予定している。同馬は夏の小倉2歳ステークスでも上位人気の支持を集めたが、勝ち馬が作り出した超ハイペースに巻き込まれて10着惨敗。ここでも伏兵の域を出ない存在だが、新馬戦を好タイム勝ちしたようにスピードの裏付けは充分。彼女と繋がりの深い林厩舎からの重賞騎乗の依頼は、たとえ人気薄でも嬉しいものである。

 そしてこのレースには、ローカルを中心に経験を積んでいる後輩の雅も参戦。騎乗する牝馬コスモスサイタは10月の新潟直千の新馬戦を逃げ切っており、距離延長をこなせばその先行力は侮れない。


 その京王杯2歳ステークスの舞台は、東京の芝1400メートル。このスプリントとマイルの分水嶺とも言える距離は、本質的にはスプリンターの領分であると言われており、それを見極める意味でも今年のこのレースは興味深い。ここにエントリーしている重賞ウィナーは2頭おり、1頭は1200メートルのGⅢを連勝中の2歳最強スプリンターであるマッハマン、もう一頭はマイルのGⅢサウジアラビアロイヤルカップで強い勝ち方を見せたスーパーソニックであるからだ。


 そもそも馬名からして、オーナーの愛馬のスピードに対する期待をひしひしと感じさせる2頭であるが、スーパーソニックの方はクラシック出走にも色気を持っており、このレースでマッハマンとの力関係を図りたいという狙いがあるようだ。距離の融通性があるユアマジェスティ産駒だけに、分が悪いと見れば年内の目標を朝日杯フューチュリティステークスでなくホープフルステークスに切り替えることも検討している模様である。



第5回東京競馬1日目 第11レース 京王杯2歳ステークス 

(GⅡ 2歳オープン 馬齢 芝1400メートル 良)


1枠1番 スーパーソニック  牡 55キロ ペレイラ 


2枠2番 ワイネルエレジー  牡 55キロ 増岡


3枠3番 キャプテンダイモス 牡 55キロ 中田


4枠4番 コスモスサイタ   牝 54キロ 相川


5枠5番 ムーンウォーカー  牡 55キロ 藤平


6枠6番 ジャンピンジャック 牡 55キロ 蟹田


7枠7番 ファイナルラップ  牡 55キロ 川越 


8枠8番 マッハマン     牡 55キロ 菅田


 2歳重賞の数が多すぎて、各レースの頭数が揃いにくいという問題は以前からあるものの、このレースの少頭数は、マッハマンとスーパーソニックの強力2騎の存在に因るところが大きい。この2頭がワンツーを決めた場合、他の馬は収得賞金を加算することが出来ずに終わり、その意味では無駄な一走となってしまうからである。


 注目の2頭の単勝オッズは、マッハマンが1.5倍、スーパーソニックが2.9倍とやや差が付いた。競馬ファンの戦前のジャッジとしては、マッハマンのスピードに分があるという結論を出したということであろう。


 なお、マッハマンの鞍上は引き続き菅田が務めるが、スーパーソニックの鞍上は前走のジョバンニから短期免許で来日中のペレイラに交代。関係者における外国人騎手起用の優先順位が、透けて見えるような乗り替わり劇となった。



 


 

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