表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
添田と袂のオカルト雑誌編集者シリーズ  作者: aza/あざ(筒示明日香)
少女Mの事件~少女Mに対する考察~
3/8

少女Mの事件、余波。

 



「……訳わかんね」

「どうしましたー? 先輩。変な顔して」

「……おう。たもと、お前終わったんか」

「とっくにゲラチェックして編集長にも伺いしましたし……帰るだけですよ」

「相変わらず仕事が早いこって」

「先輩が無計画なだけでしょう。分刻みのスケジュールをよく放置出来ますよ」

「うっせー」

「……で? 今度は何見てんですか」

「『少女Mの事件』だ」




 まるで小説のようなタイトルのこの事件は、実際には「××廃村三十人惨殺事件」と呼ばれる。一人の令嬢が廃村に招いた三十人を殺害し逮捕起訴。精神鑑定や十七歳と言う年齢による温情から医療刑務所に送致された。


 廃れた集落で起きた大量殺人に、世間は躍った。




「……“大量猟奇殺人を犯した麗しき令嬢”ってよ……」

「有名なゲームも在りましたよね、そんな感じの。まぁ、人間は罪深い美男美女に心酔する嫌いが在りますからね。仕方のないことでは」

「お前ねー……。しかしわかんねぇよな」

「何がです?」

「裕福なお嬢がこんな大掛かりな殺人やらかす動機っつーのがよ」

「『解けてはならない謎々』」

「は?」

「知りません? 絶対解けてはいけない、解けたらヤバい謎掛けが在るんです。異常心理者しか解けないらしいですよ」

「へぇー……」

「ま、それも結構小説だの何だのに出てポピュラーになりましたけどね」

「お前本当によく知ってるね、マジで」

「一応心理学科専攻でした」

「へぇー……」

「うわ、やる気ない」

「じゃあよ、」

「はい?」

「『少女M』は何でこんなことしたかわかるか?」




 少女M。


 その動機は未だ伏せられたまま。




「……やっぱ良ーや」

「は?」

「わかんねぇほうがしあわせならそれで良い」


「……昏木くらきさんにも言ってあげれば良いのに」


「無理だろ。……もう言い飽きたよ……」


「……」


「しっかし金在るよなー。三十人全員交通費支給だとよ。すげぇな」

「被害者全員の前科前歴も調べていたら相当手間隙と額が掛かってますね」

「殺人、強盗、強姦……そんな前科ばっかだな、被害者は」

「でも“正義の味方になりたかった訳じゃない”……でしょう?」

「はっ……今年の流行語大賞かよ」

「犯罪ですからねぇ……どうでしょう」

「だな。仕事すっかなぁ」

「今日も徹夜になりそうですね」

「手伝えよ」

「嫌です帰りますよ─────」




“本日正午過ぎ、凄惨な事件が発生しました。××県××市に在ります医療刑務所にて、すべての職員並びに収容されていた服役者が殺害されているのが発見されました。死因はまだ特定されていません。この施設はあの『少女M』が収容されていた場所で警察は彼女と面会に来ていた××社の記者に事情を聞くと共に─────消えた少女Mの行方を追っています”




「……」

「……マジかよ」







 ……麗しき大量殺人鬼の令嬢『少女M』。


 彼女は今、どこへ。







   【Fin.】




×××××××××


少女Mの事件、余波。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲンシツウ─あざろぐ。
aza/あざのブログ。



― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ