第16話 童貞おもわぬ再開
本日の夜中にキャラクターデザインと表紙絵をアップさせて頂きました。
目次の中の一番初め(一章の前)に割り込んで更新しました。
良かったらそちらもご覧になってください(ㅅ´ ˘ `)
そして、その頃俺は部屋のベッドで布団にくるまり泣いていたのだが、一つのアイデアが浮かんだ。
そうだ、GODスキルを使おうーーー
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翌日、早めに目を覚ました俺は、早々にシャワーを済ませ、宿の一階にあるBARフロアでお茶を飲みながら、昨日あった事を振り返っていた。
俺は昨日、この世界の強さの基準を知らないままに軽い気持ちでギルド登録をしようとした。
だが、どうやら通常時の俺のMPと賢は規格外だったようで、結果的に大事になりかける事となった。
まあ、それも俺が魔法を使えない魔法使いだとわかったことで、大事の気配は終息していったので良かったのだが。。
俺はもう少し慎重になるべきだと自分を戒める。
それにしても魔法使いが魔法を使えないとは本当に笑えないステータスだ。
いっそのこと、職業も【魔法使い】じゃなくて【魔法使えない】にしたらいいのに……
ふと、そんなくだらないことを考える。
だが今は気持ちを切り替え今日の事を考えよう。
今日は物理戦力測定があるのだが、俺のトリッキーなステータスなら、きっとまた何か問題が起こりそうだ。
今回必要となる能力は試験の名前からしてHP、力、早の三つだろう。
俺の数値はそれぞれーー
HP 150
力 15
早 15
となっているが、どうせまた次は少な過ぎるとか言われる気がする。
なので今回はあらかじめGODスキルで【鱗狼化】していこうと決めた。
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『ふふ~~♪ふふふ~ふふ~ふ~ん♪』
考えをまとめて部屋のドアの前に来ると、中からリリムの鼻歌が聞こえてきた。
どうやら彼女も目を覚ました様だ。
俺はドアノブに手をかけーー
「おはようリリム。昨日は早く寝てしまって悪かったな。
それで、今日の事なんだが……」
と言ってドアを開けると、そこには着替え途中の半裸になったリリムがいた。
『な…』
「あ、いや、これはその…」
『変態なのー!!』
「ち、ちがっ……ゴフッ!!」
変態と言いながら放ったリリムのパンチは俺の鼻にクリティカルヒットして、鼻からは大量の血しぶきが舞散った。
朝から角付き少女の半裸を見てしまった喜びと、鼻に走る鈍痛……
失血に関しては、殴られていなくても同じくらい鼻血が出ていたと思うので、まあいい。
女性の半裸は童貞の俺には少々刺激が強過ぎた。
今日は朝から……
なんて日だっ!!
俺の脳内では、前世の時にテレビによく映っていたスキンヘッドのお笑い芸人が叫んでいる姿が浮かんでいたーー
その後、リリムに謝罪したのだが、彼女は俺と口をきいてくれなかった。
しばらくして到着したモトムが不機嫌なリリムと、鼻に布を詰めた俺を見て
『ど、どうされたんですか…?』
と心配そうに聞いてきたのだが
「モトムさんよ、深くは聞いてくれるな…」
という俺の言葉に口を噤いで、それ以上は何も聞いてこなかった。
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鼻に丸めた布を詰めながら俺達はギルドに到着した。
さて、今日は朝から色々あったが、今から試験後半が始まる…
両手で自分の顔をパンパンっと叩き、気持ちを引き締める。
そして俺はGODスキル【鱗狼化】を発動させた。
ギルドの中に入ると、中は冒険者でごった返していた。
時間帯的に混雑する時間だったようだ。
俺達は、目的の受付カウンターの列へと並ぶ。
列に並んでいると、BARエリアで昼から酒を飲んでいる連中の方から野次が聞こえてきた。
『おっ、あそこで並んでる奴、昨日試験を途中で帰ったヤツだろ。あんな試験を途中で帰るなんて、よっぽど結果がダメだったんだろうな。ははは』
『違げーねぇ、甲斐性のねえ顔してやがるもんな。それにしても、なんであんな奴にあんな可愛い相棒がいるんだよ。生意気だなちくしょう。』
その声を聞いて、モトムが注意しに行こうとするが、俺はそれをそっと手で止めた。
試験前に揉め事を起こして、もし試験が取りやめにでもなったら洒落にならないからだ。
その後も、その冒険者達は野次を飛ばしていたが、俺達はそれを無視して列に並んでいた。
しばらくすると外野が少しザワつき始めた。
『おい、あいつらって最近売り出し中の……』
どうしたのかと思ってザワついた方向を見てみると、そこには見覚えのある男達がいた。
『最近売り出し中の【黒き長神】か…』
『ちっ、最近の新人はどいつもこいつも生意気だぜ…』
先程こちらに野次を飛ばしていた冒険者が苦い顔をする。
俺がその様子を眺めていると、その【黒き長神】の男と目が合った。
『おぉ!!』
男は短く声を上げると俺達の方へとやってくる。
『あなた達はあの時の!!』
「あ、どうも。」
俺は軽く会釈をする。
隣にいるリリムは仏頂面のまま受付カウンターの方向を見ている。
男はリリムの前へと回り込み、片膝をついてリリムに言葉をかける
『あの時は私どもの命を救っていただき、ありがとうございます。』
『んー?おじさん誰だっけ??』
リリムは本当にわからないといった様子で訊ねた。
彼女にとって人間の命を救った事など、その辺の小石を拾った程度なのだろう。
俺はその様子を横で見ながらそんな印象を覚えていた。
『な、なんと…』
男は、存在を忘れられていた事にショックを抱き、言葉を漏らした。
『いや、アナタが私達を覚えていなくとも、私達の命の恩人だという事に変わりません。
私達はあなた達に恩返しをする、それだけです。』
男は何か決意めいた表情でその目に炎を宿していた。
そして男は俺の方に向き直ると言葉をかけてくる。
『自己紹介が遅れてすみません。俺…いや、私は冒険者【黒き長神】というパーティーのリーダーを務めております、ヒロキと申します。先日は私共の命を救っていただき本当にありがとうございました。私に出来ることがあればなんでも仰ってください!!この救っていただいた命をかけて恩返しをしたいと思っております!!』
なんだがスゴい仰々しい。
「ありがとうございます。僕の名前はケミ、そしてこの不機嫌そうな子はリリムって言います。そこまで気を使わなくても大丈夫ですよ。」
と言ってはみたのだが、ここで少しでも人脈を作っておくのはアリかと考えて少しだけ種は撒いておくことにした。
「でもそこまで言っていただけるなら、もし僕達が困った事があった時になにか手助けをしてもらえると嬉しいです。」
俺は軽い感じで投げかけた。
『はい!!身命を賭して!!』
すると、重い感じで言葉が返ってきた。
俺が苦笑いしているとヒロキが俺に質問を投げかける。
『そういえばケミさん、今日はどうしてこちらに?そしてリリム様はどうかなされたのですか??とても機嫌が……』
「今日はギルド登録をしようと思ってここにきました。昨日試験を受けたのですが、色々あって実技の方は今日やることになったんです。それと、リリムの機嫌についてですが……深くは聞かないでください。」
ヒロキの質問に答える。すると…
『おぉ!冒険者になられるのですね!!あなたがたの様な方がこの街のギルドに入ってくれるなら、この街の安全は未来永劫約束された様なものですね。』
偉く過大評価されてる気がする。
『そうだ、それならここで少し待っててください!!』
そう言うとヒロキはギルドの階段を登り、二階へと上がっていった。
そしてしばらくすると、昨日の髭面の男を連れて俺達の方へやってきた。
『お、昨日のボウズか』
「あ、どうも。」
俺は軽く挨拶をした。
『なんと、お二人はもう既にお知り合いでしたか!』
『なんだヒロキ、急かしてここまで連れてきて、このボウズがどうかしたのか?』
髭面はヒロキに問いかける。
するとヒロキは先日あった出来事をこの髭面へと伝えた。
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『なんと…、この少女が…。その話は本当か?』
『はい、そうなんです。私達が今ここにいられるのはこのお二人のおかげなんです。』
『これが本当だとしたら…、こうしてはいられない。さっさと試験を始めさせてもらう。』
髭面は受付にいたアイちゃんに事情を話し、並んでいた冒険者達をどかせて一気に俺達の番にしてくれた。
順番を飛ばされた冒険者達は、たまったものではないのだろうが、何故か誰一人として文句をいう者はいなかった。
受付を済ませた俺とリリムは、髭面に連れられて昨日入ったドアへと入る。
その間も初めから野次を飛ばしていた冒険者がなにやら野次を飛ばしていたのだが、閉まるドアの隙間から、ヒロキがその冒険者に殴りかかる姿がみえた。
昨日の部屋に入ると、奥にあるもう一つの扉に案内され、俺達はそこを開ける。
すると、直径30メートル位はありそうな広い闘技場の様な開けた場所に出た。
おそらくギルドの裏手だろう。
天井はなく上には空が見える。
既にギルド前で【鱗狼化】は済ませておいた。
これから物理戦闘試験が始まる……
俺は鼻に布を詰めたまま、試験に向けて気を引き締めるーー
仕事の関係でしばらく休載致します。仕事が落ち着いたら執筆を再開したいと思いますので、これからもたまに覗きに来てください。
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これからも頑張ります!!
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