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今日から学校と仕事、始まります。①莞

時計、手帳、電話、人間は無くなりました

作者: 孤独

便利になっていく、早くなっていく。

なにか思っていたことを普通に語り、普通になって行こうとする様に嬉しく思う者もいれば、疑念を抱き続ける者。進歩していく技術を生み出していく人、一方でその進歩に届かず呑まれる者。


昔は手帳を胸ポケットに入れていたけれど、今は小型の電子機器を入れて、スケジュールに何事もなく記入する。昔は人前でやっていたら煙たがられた目。でも今は、そうだよなって頷くこと。

いっぱいに書き詰めた手帳はもうなく、スッキリとして読みやすいものと変わった。


「良いですね」


最新の機器であっても、オーソドックスになっているアプリが良い。ここを変に勘違いして、様々な機能を詰め込んでも、全てを使いこなす存在はそういないだろう。

使用する者が使用したい物だけを用意してくれていれば、それでいい。


「技術の進歩は飛躍的ですねぇ、私も最近。電子書籍なんですよね」

「それがなんだ?」

「嫌だなぁ、ダーリヤさん。色々な技術が転がり始めるこの時代に、人間は果たしてドコで無くなるんだろうかなって、考えているだけですよ」


もう、多くの人間が様々な存在なモノよりも遅れたり、廃れていった。仕事という存在もゆっくりとしているようで、激流のように変化していった。

要らない人間が多く見えるよう、


「人は価値を改めるべきと思います。人の価値はどんどんと減っていくと」

「伊賀。先ほどから何を述べたい?」

「あなたの野望にもっと協力したいのですよ。無論、私自身の夢と似通っているので」


困っている事がある。

その困っている事を取り除くと、喜ぶ人がいる。それなのに悲しむ人もいる。

難しい事考えずに、助けたことすら否定するような、互いに残念な気持ちが苦しい。


「そのような社会や世界など、私は絶対に認めん」

「様々な技術が生み出されて気付かされること。人を否定するような未来には協力できませんよね?」


技術的には可能であると証明された。これよりさらに研究が進めば、人類という存在は消え失せるか基盤となって残り得るか。それとも覆すか。

人がこの危機を感じ、人としてより進歩を望む2人の男達。


◇       ◇


「ねみぃ……。警護って名の待機かよ」


秘密の研究所。その警護に当たる男は眠そうに、門外で待機を喰らっていた。

この場所ですら秘密の事だから……


「光一、入れてあげても良かったのになぁ」

「ダメです。ラブ・スプリング様、ここはあなたの生まれた地なのですよ」



人間と科学が融合された存在。ロボットでありながらも、外見は人間。

そこへ辿り着いた奇跡の一体は小さな少年だった。13,4ぐらいの幼い体格に反して、彼の頭脳も、肉体も、人間が到達できる領域を超えていた。あるいは異質とも思える存在。

しかし、彼ですら発展途上にして研究データとして扱われている。


「しょうがないか。成功だけ考えるわけにもいかない。人間の改良。その研究は必要なんだ。彼とは仲間の関係に過ぎないし」


分野の違いか、価値観の違いか。目的はそうズレてはいないが、伊賀やダーリヤとの違いに、ラブ・スプリングは人間を改良する事によって、より平和で安息な未来を築こうとしていた。

その中の一つに、


「人間の脳は僕達に改良されるべきなんだ。だよね、ギーニ」

「……私や光一は正真正銘の人間ですが、その言い方しかありませんけども。ちょっとその言い方は止めて欲しいですね。補助するという名目を入れてください」

「計算能力と記憶能力の向上、五感で知り得る情報をより精細に取得するシステム、機械と誇れる精密操作に身体能力を備えた人間への改造!かといって大掛かりに外部からの装着となれば、本末転倒だ」



ラブ・スプリングの人間改造は科学技術による発展であり、それは伊賀達よりも善意な事である。


「弱き人を救う、それだけの善行ではなく、弱きを変えていくのが僕達が目指す先さ!」

「素晴らしい志です」

「でしょ?なのに以前、ダーリヤと同じ志を伝えたけど」


その言葉。人が語るならば、多少は理解が行くだろう。ダーリヤとは以前、その手の話をしておりかなり揉めた事がある。

懐かしいなぁって、感慨に思った表情で当時を答える。


「その末路は人間じゃなくなるだろうって、ダーリヤと2日くらい喧嘩してたなぁ」

「あの男は人間自身の成長を求めるので戦争になるのは致し方ない事」


人工的な脳と人工的な筋肉を付けられる世の中。時代の流れ。それを正義や時代の摂理と捉えるのが、ラブ・スプリング達のやり方。

そのいずれを、いつするか?何度でも時代は人々に問いかけていくだろう。


人がより、人として成長を遂げるか。

人が何かに縋り、生き残りを選ぶか。



「クシュンッ……寒いよね、のんちゃん」

「ですねー、ミムラさん」


そのような貢献の志よりもただ人として、生き続けてみるか。

時代の中にいる人はとてもとても、小さいのだから今の平穏を温かに過ごしていくか。




とあるスーパーのレジがセルフサービスになっており、ビックリしました。

自分の仕事の方でも、機械を取り入れて作業効率UPを図りつつ、仕事をする人を減らしました。ちょっと悲しいですが、実際のところ、機械を取り入れたおかげで改善されてるんですよね。覚えるのが大変でしたけれど。


100均で電卓が売っていましたが、今はアプリの中に電卓があるし。頭で計算するより、アプリを起動するのが多いんですよね。メモとかも同じです。次々と身近にあった物が無くなる感じです。

便利になっていくと、考えるという力が衰えたというか、苦労しない分、苦労が恐くなりそうです。いつでもできるからって、放棄していたら無気力人間に……。

機械が全て完璧というわけではないですが、なにもかも完璧だったらこの世の中に人間は不要だよなぁって、つくづく生きていて思います。

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