とある町人Aの述懐
俺の一日は、一杯のコーヒーを飲むところから始まる。
朝七時起床。顔を洗い、身だしなみを整えてからゆっくりと熱めのブラックコーヒーを啜る。八時三十分、店の開店準備。十時、店を開け、毎朝開店と同時に訪れる馴染みの客と世間話を交わす。十三時、朝食をとりながら店番。たまに来る客の相手をする。十八時、閉店及び片付け。明日の準備を済ませてからその足で夜の町へと繰り出し、馴染みの酒場で友人と一緒に酒を飲み交わす。二十四時、家の用事を片付けて就寝。
と、これが俺の日常であり、これからも変わることのない一日の流れだ。
始まりの町、エアストベルグ。
人口五百人ほどのこの町は小さな町ながら気候も穏やかで、なかなかに過ごしやすい。レンガ造りの小ぢんまりとした家屋が立ち並び、町唯一の教会は一日に四回きっかり同じ時間に鐘の音を響かせる。
その協会のすぐ隣、ひっそりと隠れるようにして居を構えているのが、俺が経営する薬屋である。この小さな町唯一の薬屋ではあるのだが、一日に訪れる客の数は存外少ない。毎日同じ時間帯に同じ客が訪れるだけだ。なぜかと問われればそうなっているからとしか言いようがない。
この町は、俺たちは「そう」なっているのだ。
しかし、今日は違う。今日だけは例外で特別だ。今日は決められた毎日を過ごす俺にとって一生で一番特別で重要な日なのである。
―そう、今日は俺の初仕事だ。
毎日の薬屋での業務は仕事ではあるが本当の仕事ではない。あれはあくまで「そう」なっているだけなっているから行っているだけで、本当の意味での仕事ではないのだ。
今日が、俺の最初で最後の仕事。もしかしたら少し緊張しているのかもしれない。俺のこなす役割はとても些細な、小さな仕事だがそれでも俺にとっては一生で一度の晴れ舞台なのだ。
これはとある町人Aにすぎない俺の、物語にもならないただの述懐である。
*********
「聞いたか?王都の話」
「ああ、また高官が謎の失踪を遂げたとか……どうにもきな臭いよな」
週末、帳の落ちた宵口。町の一角にある小さな酒場。
野郎三人でテーブル席を一つ占拠し、ぐびっと酒を煽りながら世間話を交わしていれば、話は王都の話題へと移っていた。
二年前に国王が病により急逝し、現国王が即位してから国内の状況は一変した。
本来、我が国リューゲンライヒは国内の総生産をほぼ自国内で補っていた。大国に挟まれ、常に国境を脅かされる危険があるこの国では、国の安全を守るため、周りの国に干渉されることなくいかなる場合においても中立的な立場を保ってきたのだ。
大国とは関わらない、それがリューゲンライヒの基本原則であり絶対であった。しかし、その絶対は新国王の即位によって崩れた。新国王フリードリヒ皇帝は、自分が王位に就いた途端、突然隣国ヒーナの貨幣制度を導入したのである。
隣国ヒーナは経済大国だ。
それまでほぼ自給自足で国内の経済を回していた国である。そんな状態で国民が突然の「貨幣」に適応できるはずもなく、国内の経済循環は混乱した。経済的条約により隣国から優れた製品を輸入できるようになったことで、確かに国内の技術は発展した。今や、都市部に行けば町中で車を見かけることも珍しくなく、二年前までは考えられなかったことだ。
だが、国内の技術力が発展すればするほど、この国は隣国へと依存するようになっていた。金も、技術も。もはや今のリューゲンはヒーナの助けがなければ経済が回らない状態だ。もし現在、ヒーナからの全ての輸入がストップされれば間違いなくこの国は崩壊するだろう。
それほどまでに大国の手はこの国の内部へと踏み込んできている。今となってはヒーナの人間が王都を闊歩しているほどだ。徐々に徐々に増えていく異民族の姿に、もしやこの国はこのまま大国に支配されるのではないかと、懸想の念を抱く住民が増えるのも無理からぬ話だ。最近では王室にもヒーナの息がかかった者がいるとの噂まで立っている。
王都に住む国民は徐々に変化してゆく国に疑心を抱きながらも、どうすることもできずに日々を不安に暮らしているのだろう。なぜフリードリヒ国王は急に国の体制を一新したのか。それは誰にも分からない。
「なんでも国王の現体制に反発した者が秘密裏に処刑されてるって話だ」
「おっかねぇなあ」
「でもそりゃあただの噂だろう」
「噂たって、火のないところに煙は立たねぇだろ」
「一体フリードリヒの奴は何を考えてんのか……凡人の俺らにゃ分かんねぇな」
「もしかしたらあの噂も本当なのかもしれねぇな」
「噂って?」
「国王に悪魔が憑いてるって話だよ」
ピクリー、と、視線の端で一人の男がわずかに動いたのが目に入った。
ちびちびと酒を飲みながら気づかれぬようにじっとその男を観察する。カウンター席で一人酒を煽っている男。青みのかかった黒髪に、こんな地方ではあまり見かけないような小奇麗な恰好。腰には剣を差している。ここからその顔を窺うことはできないが、彼の姿を見て確信する。
(ああ、奴だ。間違いない、アイツがこの世界の主人公なんだ。)
半ば直感的にそう確信する。俺のようなただの町人Aとは違う、彼こそが選ばれたこの世界の主人公なのだ。
ドキリ、と心臓が震える。緊張しているのだろう。それと同時に形容しがたい、ドロドロとした感情が沸き上がる。
(落ち着け、落ち着けー……)
ジョッキを握る手に力を込め、自分に言い聞かせる。俺は自分の使命を果たすだけだ。そう強く言い聞かせ、近づくその時を待って静かに目を閉じた。
「なあ、君たち」
背中に声が投げかけられる。凛としていて、意志の強さを感じさせる声だ。意を決してゆっくりと振り返る。それが俺の役目であり、与えられた唯一の使命なのだから。
「さっきの話、少し詳しく聞かせてもらえないだろうか」
これが、正真正銘勇者である彼と、ただの町人である俺のファーストコンタクトである。
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現国王は悪魔にとり憑かれているのではないかー、という噂は近頃住民の間で実しやかに囁かれるようになった話である。真偽のほどはかなり怪しいものであるが、どこからか発生した噂話は尾ひれに尾ひれがついて住民たちの間で広がった。
先王の突然の死も病気ではなく悪魔の仕業ではないのか、王宮全体が悪魔にとり憑かれているのだ、どこまで本当なのかは分からないがそんな噂が住民の間には蔓延っている。この田舎町でさえ、そんな噂を耳にすることが多くなってきたほどだ。だが、荒唐無稽な噂話だと一蹴することもできないのは事実だ。この国には古来より伝わる伝説があるのだ。
かつて王族がとある悪魔により呪いを受けた。その悪魔はやがて力を蓄え、この国が栄えた時に再び現れる。そして、いつしかこの国はある大きな力により滅亡の危機に瀕するだろう、と。子供でも知っているそんな昔話。
「ふうん、なるほどね」
俺たちの話を聞き終えると考え深げに勇者様は頷いた。俺たちが語れる話はそこらでいくらでも入手できるような話であり、彼にとってそこまで有益な情報ではないはずだ。彼にとって大事なのは、俺が語らねばならないここからだ。
「……ハイムリッヒの洞窟、あそこにある聖剣ならその悪魔とやらも倒せるかもしれないな」
「何だって?」
―ほら、のってきた。
正面に座る彼の顔をちらりと伺い、目線を机に落として話を続ける。
「町はずれにある洞窟さ。ほら、アンタも知ってるだろう、あの昔話に出てくる聖剣はハイムリッヒの洞窟の奥底に眠ってるってこの町じゃ昔から言われててね。本当かどうかは分からんが」
そう、かの伝説には続きがあるのだ。この国が滅亡の危機に瀕した時、聖剣を手にした一人の青年が現れる。聖なる剣を携えた彼はその大剣でこの国を覆う闇を振り払い、光を取り戻すだろう。どこにでもあるようなありふれた展開だ。そして、その伝説上の聖剣、それはこの町郊外にあるハイムリッヒという洞窟の奥深くに眠っていると言われていた。
「まあ最近は何でも盗賊が住み着いているとか言われてるもんで、この町の人間も滅多に近づかんがね」
「ハイムリッヒの洞窟、か……」
彼は何かを考え込むように腕を組んだ。
「しかし兄ちゃん、お前こんな何もない町になにしにきたんだ?」
「ああ、王都へ行く道すがらちょっとね」
「王都?仕事か何かかい?」
「いや、仕事ってわけじゃないが……ちょっと悪魔を倒しにね」
そう言った彼はどこか楽し気に微笑んだ。
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「そのハイムリッヒの洞窟とやらに案内してくれないだろうか」
彼にそう頼まれたのは昨日の例の話をした酒盛りの時。彼のその頼みに、一日ぐらい店を開けても問題ないから、と、俺が案内役を申し出た。この案内役こそが俺の今回の仕事で最も大事なところだ。彼を洞窟まで案内しさえすれば俺の仕事は終わり。仕事が終われば、明日からまた変わり映えのしない町人Aの毎日が始まる。最初から分かっていたことだ、それこそ俺がこの世界に生まれた時から。だから今更そのことに対して何を思わけではないが、本物の勇者である彼の姿を見たからだろうか。昨夜から妙に落ち着かない。
そして一夜が明け、翌朝。
町の宿へと彼を迎えに行った俺は、その後、洞窟へと赴くべく、彼と二人、町の郊外へと足を運んでいた。
その実、俺は例の洞窟へと一度も足を運んだことはないのだが、洞窟までの道のりは情報として最初から頭にインプットされている。それに、ここはきっとどうでもいいような場面だから特に問題はないだろう。下手したらスキップ機能がついているかもしれない、サクサクと進めたい場面だ。
そうして、特に問題もなくあっさりハイムリッヒの洞窟の前へと辿り着く。外から見る分には至って普通の洞窟だが、この中に聖剣が眠っているという。
「じゃあ、俺はここで」
ここに来る道中、彼との間に特に会話はなかった。まあお互い話すようなこともないだろうし、当たり前と言えば当たり前なのだが。
そつなく役目を終えてしまった俺は彼を洞窟前へと残し、その場を立ち去ろうとする。村人A兼案内人の俺の役目はここまでだ。これからは勇者が道中で共に戦う仲間を獲得していき、彼らの冒険が始まるー、
「ねぇ、君。ついでに中まで一緒にきてくれないか?」
「え⁉」
と、いうのに、彼は事もなげに今まさに立ち去ろうとしていた俺に向かってそんなことを言ってのけた。思いもがけない彼の言葉に足が止まる。
「な、なんで……」
「なんでって、盗賊が住み着いてるって噂なんだろう?一人よりは二人の方がいいじゃないか」
「いや、アンタ一人で充分だろう……それに俺なんかいたって役に立たねぇぞ」
「はは、それは僕を買いかぶりすぎだよ。僕はそんなに強くないし、それに地元の住人である君がいてくれた方が心強い」
「って言ったって俺はこの洞窟の中に入ったことすらないぞ?」
「でも、道は分かるんだろう?」
―分かる。
彼の言葉に直感的にそう感じ、あれ、と首を傾げた。
俺は一度もこの洞窟に来たことがない、それは確かだ。そして俺に情報としてインプットされているのは町からこの洞窟までへと至る道のりだけのはずだ。なのになぜ今、彼の言葉に対して「分かる」と、そう思ったのだろうか。それは俺の知り得ない情報のはずであるのに。
頭を悩ます俺を横目に、勇者である彼はニヤリと口元を歪めた。
「じゃあ、行こうか」
「あ、ちょっと……‼」
俺の役目はここで終わりだ。これ以上でしゃばるのは領域外である。だから、気まぐれな勇者様の言葉になんか従わず、俺はこのまま真っ直ぐ町へ引き返せねばならない。そうして彼とは一生関わることなく再び町人Aとしての毎日を送るのだ。
それが俺に与えられた役目であり、正しい選択であるはずなのに。
「……ッ‼」
思考とは裏腹に、俺の足は洞窟内へと消えていく勇者の背中を追いかけていた。
**********
「随分と深くまできたけど、盗賊とやらの姿は見当たらないな」
「……そうだな」
ランプを手にした俺が先頭を歩き、その後を勇者である彼が付いてくる。暗い洞窟内へと足を踏み入れた俺たちは、順調に奥へ奥へと進んでいた。
「噂の盗賊とやらの姿も見えないけど本当にそんな奴らいるのか?」
「単なる噂だからな、いないならいないでいいだろう」
勇者である彼は自前の剣を持っているが、ただの町人である俺は丸腰だ。たとえその盗賊とやらと遭遇したところでまともに太刀打ちできる自信がない。何もないならそれに越したことはない。このまま順調に聖剣の元へと辿り着けるといいのだが。
「いやぁしかし君がいてくれるとありがたいよ。僕一人じゃ不安だからね」
「……本当に当てにしないでくれよ、俺はアンタと違ってたただの町人なんだから」
そう、そのはずだ。なのにどうしてこんなところまで来てしまったのか。ざくざくと地面を踏みしめ進みながら考える。
自分の役目を出過ぎた真似をしてしまっているという自覚はある。ここまで来てしまった以上もう仕方ないが、彼が無事聖剣を手に入れたら今度こそ真っ直ぐ町へと帰ろう。自分は本来彼の傍にこう長くもいてはいけない存在なのだから。
「ん……」
「どうした?」
と、後ろを歩いていた彼の足がふいに止まった。もうすぐで最奥というところで足を止めた彼は、じっと何かを探るように暗闇を凝視している。
「今、何か聞こえなかった?」
「いや、別に何も……」
―聞こえなかったけど、と言い切る前に突然彼が姿を消した。
俺が手に持つランプを奪い取ると、一目散に奥へと走り出したのだ。
「は⁉あ、おい‼待てって‼」
去っていく彼の背中を急いで追いかける。洞窟の中は明かりがなければ目の前も見えなくなるほど真っ暗だ。こんなところで置いてけぼりにされるなんてたまったもんじゃない。
「ふざけんなよ、何で急にッ……‼」
(ってか足速すぎるだろコイツ‼)
何だ、勇者ってのは足も速いのか。
理不尽な怒りを覚えながら、ぐんぐんと遠ざかっていく彼の背中を息を切らして追いかける。
と、これまた唐突に彼は足を止めた。勢い余って彼の背中にぶつかりそうになるのを寸でのところで止め、文句を言おうと顔を上げた先に目に入ったのはー、
「あ、悪魔……?」
地面に深々と刺さる伝説上の聖剣、そして、それを守るかのように立ち塞がっている得体の知れない化け物としか形容しようのない何か。
いつの間にか洞窟の最奥まで来ていたらしい、現実離れした光景を目にし、思わず間抜けな声が漏れた。
そいつは、一見犬のような出立ちをしていた。
黒い体躯に大きな牙。爛爛と闇の中で光る金色の瞳。そして犬とは決定的に違うもの、そいつの頭には大きな角のようなものが生えていた。まるで獰猛なペガサスのようだ。
ぐるると喉を鳴らしながら、今にも喰いかからんとばかりにこちらを睨みつけてくる。その恐ろしい姿に足がすくむ。
「なるほど……こいつは聖剣を守る番犬ってわけか」
こんな状況にも関わらず彼はどこか楽しそうに笑みを浮かべる。そして、腰に差した剣をゆっくりと引き抜いた。何の変哲もない、ただの剣だ。そんな剣で悪魔に対抗できるのか。
「大丈夫だよ、こいつはあくまで番犬にすぎない、とんだ雑魚さ」
まるで俺の胸中を見透かしたように彼はそう言った。俺は返事をすることもできずに、ただ目の前の勇者と対峙する悪魔を見つめる。
じり、と勇者が一歩歩み寄る。それに呼応するように悪魔がぐおぅと低い声で一声大きく鳴いた。
「ひッ」
「大丈夫だ、僕に任せてくれ」
そう言って彼は手に持っていたランプを俺に手渡し、じっと悪魔を睨みつける。そして、その先にある聖剣を見据えて、
ダッー‼と、勢いよく足を踏み出した。
反応した悪魔も、彼に喰ってかかろうと大きく躍り出る。悪魔の牙が一瞬彼の腕を掠め血が飛び散った。
「――ッ‼」
思わず彼の名前を叫ぼうとして、名前を聞いていなかったことを思い出す。
次は腕を噛み千切ろうと再び襲いかかる悪魔をさっと身を翻して交わし、一太刀でブンと悪魔の身体を貫いた。
それは、息つく間もないほどに一瞬の出来事だった。
剣で貫かれた悪魔はピクリと一度その身体を痙攣させると、まるで砂のように崩れ落ち、そのまま完全に消滅してしまった。
ただ見ていることしかできなかった俺の口から感嘆の息が漏れる。
(コイツならきっと、この国を救うことだってできる)
「ふむ、これが聖剣か。存外普通なんだな」
よっこいしょなんて言いながら彼は聖剣の柄を手に握ると、難なくそれを引き抜いてみせた。それは随分とあっさりと。そして満足げに聖剣を眺めると、手にしていた自分の剣を地面に放り、引き抜いたばかりの聖剣を腰に己の腰に差した。
それはまるで最初からそうであったかのように不思議なほど馴染んでいる。
「……ってアンタ‼手、見せてみろ、早く手当しないと‼」
「ん?ああ、これか。大したものじゃないよ」
ほら、とそう言って見せてくる彼の右腕につけられた傷は確かに大した傷ではないらしい。既に血は止まりかけていた。それでも念のためと、腰ポケットから軟膏を取り出し遠慮なく彼の腕に塗り付けていく。
「へぇ、そんなもの持ち歩いてるんだ」
「たまたまだよ。うちの店の商品でね」
「随分と手際がいいね?」
「まあ手当なんかは慣れてるから……」
「うん、やっぱり決めた」
「なにが」
「君、僕と一緒に来てくれないか」
「は」
さらりと言われた言葉に手が止まる。顔を上げると、勇者様は憎らしいほどの笑顔を浮かべていた。
「僕と一緒に世界を救おうじゃないか」
何を言ってるんだこの勇者様は。
二コリ、と勇者は微笑んで手を差し出す。俺如きがその手を掴んでいい存在のはずがなかった。
俺はあくまでも町人Aで俺の役目はただの案内人で、プレーヤーにも一瞬で忘れ去られてしまうようなそんな存在で、主人公でこの世界の頂点に立つ彼とは全く別の存在でー、
「あ、」
ピロリン、とどこかで間抜けな音が聞こえたような気がした。ああそうか、と思う。これは俺が選択した結果なのだ。町人Aでしかない俺が自分の役目を外れて、自分で選択し、選んでいた道。もう一つの可能性。
「君の名前を教えてくれるかな?」
「……ああ、俺はー、」
そうして俺は、差し出された彼の手を握り返した。
―「 」 が なかま に なった !
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