第47話 貴族の義務 【改】
喫茶白鳥で昼食を食べた後で、お茶会となりソフィア王女がフェス達のテーブルへと移動してきた。
ソフィアとフェスの話しが終わるのを見計らったかのように店のオープンテラスから見える公園の噴水に空から炎の塊が落ちてきて豪快に吹き飛ばした。
粉塵が舞い上がりフェスたちからは状況はわからなかったが、大勢の人が死んだと脳裏に浮かんでいた。
炎の塊が落ちてきた場所は静寂が支配し、舞い上がっていた粉塵が晴れると公園にいた人たちが、自分の置かれている状況を把握した。すると高級そうな服装をしている貴族が平民を押し退けて逃げ出した。公園内に悲鳴が鳴り響いた。
一人も死人が出ていなかったことに安堵した女王が見た光景は、噴水を中心にして【風壁】が張られていた。いつの間に張られていたのかわからない【風壁】に驚いていたのは女王たちだけでなく、炎の塊として降ってきた人物もまさか自分が降りてきたのと同時に風の壁で防がれるとは思っていなかったようで目を見開いて驚愕していた。
炎の塊として降ってきた人物とは、身長一メートル五十程でフェスと身長差はそれほどなかった。
体系は、やせ型で炎に包まれているかのような褐色、炎で燃えているかと勘違いしそうなほどの腰まである赤髪、怒りに燃えているかのような赤い瞳の女性だった。身に付けている半身鎧も赤で統一されていた。
「女王陛下お逃げください」
混乱していた親衛隊隊長クロード・オークランドが、いち早く混乱から回復し女王にこの場から逃げ出すことを提案したがそれに対してフェスは、待ったをかけた。
「クロード・オークランド親衛隊隊長、とても女王陛下の親衛隊としての言葉とは思えませんよ?」
「どういう意味だ! 平民!」
「…………」
「おい! 何とか言え!」
「…………」
クロードの代わりにカレルが答えたが、フェスは反応しなかった。無視されたと思ったカレルがさらに怒鳴ったがそれにも反応しなかった。
「おい! ……」
「カレル・オークランド名誉士爵、話す許可を出した覚えはありませんよ? 何度、同じ失敗を繰り返すのですか?」
「あっ!」
やっと自分の失敗に気づいたカレルは、顔を青ざめて俯いた。同じ失敗を繰り返すカレルに一同呆れていた。
「フェス殿、先程の話しの続きをお願いします。何故、親衛隊隊長の避難指示がおかしいのですか?」
「ハッ! 女王陛下……この場から離れない方が安全だからです」
「親衛隊隊長クロード・オークランド、発言を許可します」
「ハッ! 目と鼻の先に敵がいるのだぞ逃げないでどうする」
「そうだ! 平民が兄上に意見していいと思っているのか!」
クロードの言葉に誰よりも早くカレルが呟いた。
「カレル・オークランド名誉士爵黙っていなさい! フェスどういう事ですか?」
カレルの呟きに女王は、強い口調で黙らせた。女王は、フェスへと向き直り理由を聞いた。
「簡単です。……お店の外の現状は大混乱です。逃げ惑う人たちに女王陛下が通るから道を開けろと言って、はたして避ける人はいるでしょうか? 予想ではいません。人の波に飲み込まれ逃げ遅れるのか落ちです」
「……此処にいても危険なのではないですか?」
理由を聞いた女王も納得したのだが、店にいても危険なことは一緒だと感じた女王が質問した。
「このお店は僕が、設計し土木魔術で建てました」
それがどうした? とクロードたちは思っていたが、フェスが設計し建てたと聞いた女王たちは、安心していた。
「魔術と錬金術、加工術、付与魔術を駆使して作り上げました。効果は、外からの攻撃に対し適切に対処し少しでも敵意のある者は、敷地内に入ることができないようにしてあります。店の外に出るより安全です」
「……」
クロードたちは。信じられない顔をしていたが女王たちは信じた。フェスと同じテーブルにいた四人の女の子たちは本当なの? という顔をしていたが、ソフィア王女が大丈夫と落ち着かせていた。
[安全なのはわかりました。フェス君あれは一体何者だい?」
「おそらくは、悪魔族です」
大公の質問にフェスが答えるとその場にいた人それぞれ驚きの顔を露わにしていた。
フェスたちが話をしている時に悪魔族の女に動きがあった。悪魔族の女は腰につけていた剣帯の鞘から自分の身長より長い長剣を抜き構えると【風壁】を横薙ぎで吹き飛ばそうとしていた。
「信じられないことしますね……一歩間違えると剣ごと腕が切り落とされるのに」
フェスの言葉に誰も反応することができず、悪魔族の女を見ていることしか出来ずにいた。
「それより……いつまでここにいるんですか? 倒しに行かないのですか?」
フェスはクロードたち女王の護衛に向けて言葉をかけた。護衛たちはフェスが何を言っているのかわからなかった。
カレルがフェスに口を開いた。
「何故俺達が行かなければならないんだ? 今に他の騎士たちがくるだろ?」
「きません。いえ、しばらくはこれないです。理由は先程話したことと同じです。大混乱の街中を逆走するのは難しいでしょう。なので、騎士たちが到着するまで時間稼ぎをする必要があります」
護衛以外の人はフェスの言葉に納得していた。だがカレルと仲間の四人には、意味がわからなかった。
「俺達は、現在女王陛下や王族の護衛の任務に就いているから離れる訳にはいかない」
「そうだ! それにみたところ……逃げ遅れたのは平民だけのようだ。助ける必要ないだろ!」
カレルに続いて隣にいた仲間の一人が、信じられない言葉を発した。その言葉に反応した女王をフェスが、視線で制止してからカレルたちに言葉を発した。
「本気ですか? 平民は死んでもいいと言ってるのと同じですよ?」
「ああ、本気だ。貴族がいれば国が成り立つから平民はいらないだろ?」
その言葉にカレルと仲間は頷き合っていたのだが、他の人たちは本気で言ってんのか? と内心思っていた。カレルの兄クロードとカロンでさえ自分たちの弟がここまで馬鹿だったのかと溜息を吐いていた。
「……馬鹿だ馬鹿だと思っていたけど……ここまで馬鹿だったとは思わなかった」
「なに!」
フェスの自分たちに対して馬鹿発言に剣を抜こうとしていたが、フェスは気にせずに話を進めた。
「貴族は国から貴族俸祿を貰っています。名誉貴族も少額ですが貰っているはずです。貴族で騎士なら貴族俸祿と騎士俸祿を貰うことになります。この俸祿は誰から貰う物ですか?」
「国だろ!」
当たり前のことを聞くなと言うようにぶっきら棒に答えた。
「そうです。なら国は何処からその俸祿にするお金を集めてくるのでしょうか?」
「……」
カレルと仲間たちは本当にわからないのか顔を見合わせてお互いに首を振っていた。
本気か? 本当にわからないのか?
「平民や商人による税金で賄っているのです。つまり……平民がいなければ貴族は収入なしです。平民の税金で生活している貴族が平民を助けないでどうするんですか? 平民はいざって時に兵士騎士貴族に助けて貰う見返りとして税金を支払っているんですよ? いざって時は今です。助けに行ったらどうですか? 貴族、高貴なる者の義務を果たしてください」
女王と大公はフェスの言葉に頷いていた。
「……俺達は王族を守るからお前が行けばいいだろ!」
「僕は平民であり商人です。何処からも俸祿を貰っていませんから助ける義務は発生しません。それところが多額の税金を支払ていますから貴族様に助けて貰う立場です」
フェスの言葉に数人がクスクスと笑っていた。
「前は戦っただろ!」
「前とは?」
「学園に現れた悪魔と戦った時だ!」
「おかしな事を言いますね? 悪魔族イーゴルを倒したのはあなた方でしょ? 倒した功績により貴族になったんですから……僕は戦いの邪魔をしたと言う罪で地下牢に入れられました」
その言葉を聞いたカレルたちは、しまった! と思い辺りを確認したが全員聞こえていない振りをしていた。
カレルが辺りを確認している時ついに悪魔族の女は【風壁】を吹き飛ばした。吹き飛ばしたのと同時に吠えた。
「弟を殺した奴出てこーい!」
吠えながら周りの木を薙ぎ払いはじめた。
「ついに【風壁】を破ったようですね……あの人はあなた方が倒した人のお姉さんの様ですね? 復讐にきたようです。呼んでいるようなので行ったらどうですか?」
カレルたちは顔を青くさせていた。
「お、おまえは行かないのか?」
「平民の僕が行ってどうするんです? 前に平民は引っ込んていろと言われました。それとも……また僕に倒させて手柄だけ横取りして地下牢に入れますか?」
「……」
フェスの言葉に言い返せないカレルたちは、フェスを睨んでいた。
「地下牢に入れられるのわかっていて行くわけないでしょ? 次、牢に入れられたら三回目です。エクレーシア王国の法にどんな理由でも三回目に入れられたら奴隷に落とされるとあります。奴隷に落とされたくありませんから英雄のあなた方にお任せします」
「……」
カレルたちは無言となり俯いてしまった。クロードとカロンはフェスを睨んでいた。
木を薙ぎ払いながら叫んでいた悪魔族の女の前に隠れていた人たちが、今にも斬り殺されそうになっていた。
フェスは、目の前のテーブルの上にあったナイフを右手に持つと悪魔族の女に向けて投擲した。だが、女は長剣で、叩き落されてしまった。
悪魔族の女は、ナイフが飛んできた方を向くとその場から消えフェス達のいる喫茶白鳥に突進ししたが、店の防衛魔術に阻まれて吹き飛ばされ地面に叩きつけられた。立ち上がり宙に浮くとフェスたちを睨みつけ言葉を発した。
「お前か? ナイフを投げたのは?」
ずっこけた。
外見からは信じられないほど野太い声色だった。
「……確かにナイフを投げたのは僕です」
「そうか……お前だな? 私の弟を殺したのは?」
「弟ですか? 弟のお名前を聞いてもいいですか?」
「イーゴルだ!」
「イーゴル? 僕ではないです。彼らです」
フェスは後ろにいたカレルたちを指差してイーゴルを殺した人を教えた。
「おい! ……」
カレルはフェスを睨み何かを言うつもりだったが悪魔族の女に睨まれていることに気づきびびってしまった。
「本当にあれが、私の弟を殺したのか?」
「ええ、その功績で貴族の仲間入りをしていますから……貴女の名前を聞いてもいいですか?」
「ああ、私は、インナだ。……其処のお前ら早く降りて来い……決闘だ!」
カレルたちはキョロキョロと周りを見るが誰も視線を合わせようとはしなかった。カレルの兄二人でさえ合わせなかった。そして、フェスも視線を逸らし最後に女王を見ると視線が合った。すると女王はカレルたちへと言葉をかけた。
「名誉士爵の五人の……決闘を申し込まれていますよ? 決闘を申し込まれたら受けなければならないでしょう?」
「し、しかし……」
「命令です。騎士団が到着するまで時間を稼ぎなさい」
煮えぎらない態度をとるカレルたちに我慢ができなくなった女王は、怒鳴り声で命令をした。
「女王様! 五人では無理かと……」
女王からカレルへの命令に不服があるとしてクロードが、言葉をかけた。しかし、女王はクロードの言葉を途中で止めた。
「なら、クロード隊長とカロン隊長も一緒に戦いなさい。聞いた話では騎士団に指示をして戦ったとありましたからカレル名誉士爵に指揮させて戦っても構いませんよ?」
「い、いえ、我々は……カレル、騎士団が到着するまで時間を稼げ!」
「……わかりました」
カレルたち五人は、フェスに助けて貰おうとしたが、フェスは、悪魔族のインナを牽制していたために視線を合わせることはなかった。
カレルたちを助ける者はいなかった。カレルたち五人は、観念して店の外へと出た。
インナは、弟を殺した者達が外に出てくることに気づき地面へと降り待ち受けた。
カレルたちが店の外にでると姿を見た者達から歓声が沸き起こった。悪魔族を討伐した英雄が助けにきたと安堵した。
カレルたちがインナと対峙したときに喫茶店のオープンテラスで見ていたソフィアがフェスに質問した。
「フェス様、彼らは大丈夫でしょうか?」
「五秒も持たないと思います」
「見殺しにしますか?」
「……彼女、インナさんは、彼らが弟を殺した者でないことは気づいています。殺しはしないと思います。即死しなければ、僕が治しますから心配しないでください」
「フェス様……」
カレルたちはインナの正面に立つと剣を鞘から抜き構えた。恐ろしさのあまり体が震えていた。
「おお! 武者震いか? お前らも戦いが好きなようだな」
インナは勘違いをしていた。
インナが剣を抜こうとしたところを狙い襲いかかった。襲ってきたことに気づいたインナは、剣を抜くのをやめ拳を握りしめ五人を殴った。五人は防御もせずに殴り飛ばされ気を失ってしまった。
先程まで歓声を上げていた人たちは悲鳴に変わっていた。
「……」
女王たちは今の光景を見て言葉を失っていた。
「……まさか一発殴られて気を失うとは思いませんでした」
「クロード隊長、カロン隊長……あとで詳しい話を聞かせていただきます」
「……」
女王の言葉に対し返答することができずにいた二人に大公が話し始めた。
「王都で最強と噂されている二人なら倒せるでしょう。お願いできますか?」
「い、いえ、我々は……女王陛下を守る任にあります。放棄すれば騎士団から笑い者にされます」
初めて訓練しているところを見た時は強いと思った。けど、隊長になってからは訓練しないで権力争いをしていたから弱くなったんじゃない?
「戦いたくないと? ……わかりました。フェスお願いできますか?」
当然のように頼むのやめてほしい……。
「構いませんか……地下牢に入れられることはないのでしょうね?」
フェスは悪魔族インナから視線をそらさずに聞いた。
「当たり前です」
「陛下ではなく隊長のお二人に聞いています。僕を二回も牢に入れたのはお二人ですから」
「何のことだ? 俺たちは知らない」
「惚けるのなら構いません。牢に入れない事を約束してください。他の貴族に頼むのも止めてください」
「……」
「考えている時間ありませんよ?」
フェスの視線を追っていくとインナが倒れているカレルに向かって歩き出していた。
「弟さん、殺されますよ?」
「……お前は、助けようとは思わないのか?」
「先程も言ったと思いますが貴族が平民を助けるのは義務ですが、税金を払っている平民が貴族を助ける義務はありません。もちろん、友達や家族、大切な人の危険な場合は助けますが彼らは友達でも家族でも大切な人でもありません。助ける義理もありません。それよりもあなた方の弟なんですからあなた方が助けないのですか?」
本当に殺されそうになったら助けるけど……ん?
「……する」
「はい?」
「約束する。約束するから弟を助けてくれ」
どうして自分で助けようとしないんだ? 相手の強さがわかったから?
「女王様の前での約束です。約束を破らないで下さいよ?」
「……」
フェスが威圧を放ちながら答えるとクロードとカロンは、言葉を出すことができずに頷くだけだった。
フェスの威圧に気づいたインナは、歩みを止め振り返るとフェスへ言葉を発した。
「やはり、お前だったか! 降りてこい弟の仇を取らせてもらう」
「ええ、もう少し待っててください」
「クロード隊長、カロン隊長……言葉だけでは、残念ながら信用できません」
「なら、どうすればいい?」
クロードに問われたフェスは、【空間倉庫】から一枚の髪を取り出した。
「それは?」
「これは、女王陛下と行政府司法府両長官の二人のサインを魔力で書かれた紙です。こう言えばわかりますよね?」
「……」
「最上級契約書ですね?」
クロードとカロンの二人の代わりに女王が答えた。
「はい、その通りです。知らない方もいると思いますので説明させて頂きます。簡単に言えば、この契約書に書かれていることをサインをした者が破った場合には、死を持って償うというものです。これにサインを貰えるなら信用しましょう」
「…………わかった」
フェスは、二人の返事を聞いてから契約書の文面を書き加えた。
≪契約書≫
1、クロード・オークランド、カロン・オークランド、カレル・オークランドまたは、人を雇い契約書持ち主を牢獄しない。但し、エクレーシア王国の法に触れている場合は例外とする。
以上を約束する。
「確認したら二人のサインをお願いします」
言われた二人は、契約書を確認しサインをした。
二人のサインを確認したフェスは、契約書を右手に持ち魔力を流して【契約】と唱えると契約書は、燃えて灰になり消えた。
「えっ!? どうして燃えたの?」
ユニスが言葉を発し、知らなかった者達も頷いていた。
「安い契約書は、今のように燃えたりしませんから奪って契約をなかったことにする人も多くいます。一番高い今の契約書は、僕と隊長の二人の魔力に反応するようになっています。燃えていますから奪うことができませんから契約破棄が出来ません」
「一番高いってどれくらい?」
流石、アルマは商人の娘だけあって値段が気になったのがフェスに聞いた。
「一枚、金貨十枚です」
「…………」
最上級契約書の値段を聞いて知らなかった者達は、目を見開き口を開いたまま閉じるのを忘れていた。
驚くのは無理はなかった。商人は別として平民の一日の収入は、銅貨十枚から銅貨二十枚多い人でも三十枚で、年収は銀貨三十六枚から金貨一枚だったからだ。平民の十年から三十年分の年収と契約書の紙一枚が同じ値段なのだから驚かない人はそんなにいない。下級貴族の娘のセシリアやアリーナでさえ例外ではない。
準男爵家の貴族俸祿は年に金貨五枚、男爵家で金貨十枚だった。平民よりはかなりもらっているが、貴族の付合いやら貴族として恥ずかしくない生活をするのには少ない。そのため多くの貴族は、副業をしていた。ある者は農業、ある者は商業、家族でパーティーを組んで冒険者をしている家もあった。
貴族の娘二人でも驚くほどの金額の契約書だった。
「フェス君、どうして、そんな高価な契約書を使ったの?」
「本来なら高額な取引に使用します。取引では、白金貨数十枚から数百枚の取引もしますから必要なんです」
「は、はあ……」
商人の娘アルマは、聞くんじゃなかった。と頭を抱えていた。
話が終わったとみたフェスは、ウエイトレスに声をかけた。
「トゥーナさん、新作のブルーベリーのケーキと一番高い紅茶を全員にお願いします」
トゥーナ……アーシャとマインが盗賊に捕まっていたところをフェスとトゥーナの兄アーセファに助けられフェスの屋敷で厄介になっていたのだが、兄アーセファが迷宮に潜り滅多に帰ってこないために暇を持て余していた。フェスに喫茶白鳥で働かないかと提案され働くことになった。
「支払いはどうされますか?」
「そこの隊長二人にお願いします。弟の命に比べたら安いものでしょう」
トゥーナの言葉にフェスが答えた。……支払いを頼まれたクロードとカロンの二人はメニューの値段を見て頬が引きずり蟀谷を微かに震わしていた。他の人も値段を確認すると苦笑しか出て来なかった。
「……では、行って参ります」
【空間倉庫】から刀を取りだすと左手に持ち二階のオーブンテラスから縮地で飛び降り悪魔族の女インナの後方に降り立ち向かい合った。




