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とある書き手のエッセイ集

ある夏の日に見たUFO

作者: 空野 奏多

 これは私の中学の頃の話。

 たしか中2の夏だった気がする。


 でもその日がなんの日だったか覚えてるのは、それが中学の運動部だけいなくなる日だったから。スポーツ大会があって、近隣の運動部系中学生はみんないなくなる日だった。


 だからその日は先生の数も少なくて、どのクラスも文化部しかいない。プリントだけ配られて、ただ自習の時間が過ぎていく夏の日。これは毎年あった恒例行事だった。


 残る文化部は割と真面目で内気な人がほとんどだから、プリントをちゃんとやる人の方が多かった。まばらに散らばった数人が、ただ解答を書く音だけがしていた。


 その当時はクーラーも扇風機もない教室だったから、窓が全て全開にされていた。夏風が吹いてカーテンが揺れている中、そんな比較的暑さがマシな日のことだった。




 だから、窓際の誰かが気づいた。




「あ、UFO!」




 みんながその窓際に集まった。

 山の上に、光があった。



 この地域は自衛隊の駐屯地が近くにあるので、みんなそれは見慣れている。だからこそ間違えるはずがない……あれは飛行機やヘリコプターの類の動きではない。


 ぐちゃぐちゃな、8の字のような動き。


「え、飛行機?」

「違うよね……?」


 そんな話ができるくらいの時間は、ぐちゃぐちゃと光は動いていた。形は見えない。ただの光だった。私の目が悪かったから、見えてないだけでなければ。


 ただ茫然と眺めていた。

 クラスメイトたちも黙ってしまった。


 あの山は山といっても雑木林で、通り道にできる範囲の小山で、だけどそんなに手入れもされてないから何かを打ち上げられるほどの空間もない。



 そのあと光は、突然真ん中で止まってすーっと、嘘みたいにまっすぐ上空へ上がって消えてしまった。



「あれ何?」

「え、UFOじゃない?」

「えー! やば! 今日自慢しよ! 他の人見たか聞いてみたい!」

「てかあの方向高校あるよね? 見えたかな?」


 たいして仲良くもないクラスメイトたちが、その時だけは一緒に盛り上がり、各々感想を言いながら席に戻っていった。3時間目の終わりぐらいのことだった。


 だけどその後、だれもそのことを話さなくなった。


 他の人に見たか聞いてどうだったかだけは話したけれど、結果他のクラスはだれも見ておらず、近くの高校からもそんな噂は全く流れてこなかった。


 私も他のクラスの文化部の子に聞いてみたけれど、そもそもその時間に窓の外を見てなかったから話にならなかった。



 だからあれは、白昼夢だったのかもしれない。

 集団幻覚だったのかもしれない。

 なんとなく、話さない方がいいかも。

 あの日見た私たちはそういう空気になった。



 時間が経つほどそう思う、もしかして嘘だったのかもとみんながしまい込んでしまった、あれはそんな嘘みたいな本当の話。

私は別に霊感とかもないので、本当にあの時1回きりでした。オカルト系はまぁ好きだけど、絶対あるとは言えないし、話として面白くて好き……みたいな、私の中ではファンタジー的存在だったんだけどなぁ。


今ならドローンとかあるけど、あの大きさはドローンじゃありえないし、そもそもこれ十数年前の話なんですよね。いつか忘れそうなので残しておきます。


夢かなと思うときもあるけど、私そもそも夢をあまり見ないし、実際の場所とか夢に見ない人なんです。あと見てもすぐ忘れてしまうタイプ。だから多分夢ではない……。


みなさんは何か不思議なもの、見たことありますか?

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お久しぶりです AIイラスト 桃色かなにゃん <i944249|34709> AIイラスト 桃色かなにゃん2 <i944250|34709> AIイラスト 桃色かなにゃん可憐だー3月 <i944…
私、めっちゃありますよ~。多分数十回くらい? 一人の時が多いですけど、家族とか友人と一緒に見たこともあります。バリエーションも豊富(笑) 鶴舞さまと同じく活動報告だったような気が……? そして――――…
UFOは、残念ながら無いですねー。 山中の林道で、あったはずの分かれ道が、後日通ったら消えてたことはありましたけど。 このお話、私もどこかで拝見した記憶があります。もしや活動報告とかでしょうか?
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