第二話 帰路
※この作品は実在の人物・団体とは一切関係ありません
(あー、早く家に帰ってベッドにダイブしたい)
そういや、いつもは半田が大声で「「「一緒に帰ろうぜ―――!!」」」
とか言って突っ込んでくるんだが来なかったな、確か委員会を見に行くとか言ってたんだったか?
あいつ悪い奴じゃないんだが言葉に気を付けないとすぐ機嫌悪くするからめんどくさいし疲れるんだよな
ま、あいつと関わらなくていい時間が増えるのは願ったり叶ったりだな。
「ん?」
「ワン!」
(何だ犬か)
「犬よすまんが俺は猫派だ、じゃあな」
「クゥーン」
「ついて来いってことか?」
「ワン!」
(めんどくさいがどうせ暇だしな)
「いいだろう、案内してくれ」
「ワン!」
――???――
(ここは…神社か?)
「ワン!」
「ここに連れてきたかったのか?」
「ワン」
(見た感じ普通の神社って感じだな...別にどこか壊れてるところもない、ちゃんと手入れされた神社だな、あんまり人がいないぐらいか)
「ここに連れてきたかったのか?」
「ワン!」
(なんかこいつ普通に人の言葉を理解してないか?まぁ犬は賢いっていうし簡単なことなら理解できるんだろうな)
「誰かいますかー?」
「ワン?」
近くには誰もいないのか?探しに行くのもめんどくさいし、近くのベンチにでも座って誰かが来るのを待つことにするか、ここは桜もまだ咲いてるみたいだし適当に眺めていることにしよう。
――数時間後――
zzz
(ハッ、いつの間にかゆっくり眠ってしまっていたな、今日は気温もちょうどいいし風も強くも弱くもない、それにここは風の音が心地良い、二度寝したいくらいだが、今は何時だ?)
「4時か」
(2時間は寝ていたみたいだな、まだ暗くはないがあと一時間もすれば暗くなってくるな、家までは30分くらいだからまだ余裕はあるか)
「ワン!」
「ところでお前は何で俺の膝の上で寝そべってるんだ?」
「ワン?」
「枕代わりになってたみたいだからいいか」
(とりあえずこいつを放置して帰るのも嫌だし、ここの神社の管理人か住んでいる人がいるなら探してみるか、とりあえず住居の方に行ってみるか。)
家の前まで来てみたが、外に人は出てなかったなとりあえずノックしてみるか
コンコン
「誰かいますかー?」
(誰もいないみたいか?)
とりあえずさっきのベンチに戻ってあの犬とここの家の人を待っておくか、だけどあんまり時間がないな。
「おーい犬、戻ってきたぞ」
「ワン!ワン!」
「ん?どうした犬、誰か来たか?」
そして俺が振り返ると、そこには、まるですぐそこに植えられている桜の美しさをその身に宿したような
美しい女性が立っていた
「どちら様ですか?」
「あ、半澤 龍雅って言います、ダリ高の新入生です。」
「私も名乗っていませんでしたね、私も青國高校の新入生で神田 桜です、よろしくお願いします?」
「こちらこそ?」
「ところで、半澤さんはどうしてうちの神社に?参拝ですか?」
「最初はそのまま帰ろうとしていたら、この犬に途中で呼び止められたので付いてきたらいつの間にかこの神社についていたんですよ」
「なるほど、うちの『コリ』が」
「わん!」
(へぇ、この犬は『コリ』っていうのか)
「それでそこのベンチでゆっくりしているうちに寝てしまって気づいたらこんな時間になっていました」
「ふふっ、今日は暖かいですから私も外でお昼寝したいと思ったりしていました、もう少しで暗くなりますが家にまでの道は大丈夫ですか?」
「家まではそんなに遠くないので大丈夫です」
「そうですか?ならよいのですが、それにしてもコリが人に懐くのは珍しいですね」
「そうなんですか?」
「私や私の家族くらいにしか懐かないので結構珍しいと思いますよ」
「わん!」
(おっと、そろそろ時間がマズいな、もっと桜さんと話していたいがそろそろ帰るか。)
「それじゃ、俺はそろそろ家に帰らないと親がうるさいので帰ります」
「はい、明日学校で会えたらいいですね、お互い頑張りましょう!」
「わん!」
(少し急いで帰るか)
――龍雅の部屋――
「今日は色々あったな」
今日は高校デビューらしく色んな奴と出会うことができたな、隣のバーニャとは仲良くできそうだし、今日はあんまり話せなかったが、榊原さんや神田さんともクラスは違うが2人とも美人だし仲良くしておいて損はないだろう、半田は......あんまり関わりたくはないが一応友達ではあるから会話ぐらいはしないとな、かなり性格がめんどくさいことを除けばいい奴なんだがな、今日の昼のこともあるし変わっているわけではないようだな。
「とりあえず明日の用意でもするか...と言っても明日は別に用意するものはないんだがな」
明日の予定は...授業はあるみたいだが筆記用具だけでいいなら恐らく配布物や教科の説明だけなのだろう。とりあえずバッグに必要なものは入れたし課題も無し、この後は自由時間だな。
「七時か...寝るにも早いし特にやることもないな、暇だし掃除でもするか」
俺の部屋、八畳ほどで広めなのはいいんだが実際は本とか剣道の防具とか竹刀で5畳くらいになってるからな、高校生にもなっていうことではないと思うが狭い部屋の方がなんか秘密基地感あって好きなんだよな、だけどあんまりごちゃごちゃしてるのも不味いしな、物を捨てるのはめんどくさいから今日は整理するくらいにしとくか。
「っと、奥の方は結構埃っぽいな本格的に掃除するときはマスクした方がいいかもしれないな」
……約一時間後……
「とりあえずこんなもんか?」
俺が一時間でやれることは限られてるが、結構コンパクトに纏められたんじゃないか?感覚的には一畳くらい広がった感じがするな、一畳がどのくらいかわからないから本当に感覚だが
「よし!我ながら上出来といったところか」
ピロン
「ん?半田からメッセージか」
うわ、100とか来てる、掃除に夢中になって通知に気づかなかったな、まだ既読もつけてないしマナーモードにして今日は無視しようそうしよう、明日なんか言われても寝てたっていえば何とかなるだろ、あいつが今外から俺の部屋をを見てたりしない限りバレることはないな...フラグか?これ。
(…なんかあいつならやりそうな気がしてきたな、なんか胸騒ぎがしてきた影ができないようにしながらカーテンから覗いてみるか。)
……うわーほんとにいたよ、あれは半田で間違いないな、いくら家が隣だからってそこまでするか?なんかピンポイントでこっち見てね?目が合ってるみたいで怖いんだが
(これは返信しないと家にまで入ってくる勢いかもしれないな、とりあえず適当に返信するか)
〔 すまん寝てた 〕っと
ピロン
〔 寝てただけか~既読もつかないから心配したよー寝てるとこ起こしちゃってごめんね? 〕
〔 いや大丈夫だよ 〕
〔 本当にごめんね 〕
〔 ところでなんか伝えたいことでもあったのか? 〕
〔 別にないよ、ただ少し話したかっただけだから 〕
〔 そうか、じゃ俺は寝るからまた明日な 〕
〔 うん、おやすみ 〕
ふぅ、半田は自分の家に戻ったみたいだな、こんな夜に押しかけようとしてくるとか怖すぎだろ、あとはゆっくり眠るだけかと思ってたから余計に疲れたな、半田が俺から勝手に離れていってくれればいいのにななんで俺にそんな執着するんだろうな。
さて、時間はまだちょっと早いが寝るか。
「ベッドにダーイブ」ボフッ
(明日はもう少し頑張っていろんな人に話しかけてみるか。)
そんなことを考えながら龍雅は眠りに落ちるのだった
龍雅のプロフィール
半澤龍雅 日本生まれ日本育ち
誕生日は6月6日 身長173cm 黒髪黒目 趣味は運動、読書
剣道の影響か履物を揃えて脱ぐ癖がある