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三題噺もどき2

集中

作者: 狐彪

三題噺もどき―にひゃくろくじゅういち。



今は本当に卯月だろうか……。

ホントのホントに、4月なのだろうか……。

春のうららかな温かさは、こんな感じだったか……?

「……っつい…」

ホコリを被っている扇風機を引っ張り出した方がいいのかと思う程に暑い。

仕舞い込んだ半そでを引っ張り出してしまったぐらいに暑い。

普段は開きもしない窓を、全開にしてしまう程に暑い。

「……」

それだと言うのに、風がないから、涼は得られないし、汗は流れる。

……扇風機本当に引っ張り出そうか。と、そうは思うが。それはそれで面倒で疲れるので、絶対にやらないが。

エアコンでもつければいいのかもしれないが、掃除もしてない状態で稼働させたくはない。し、あまり動かして電気代とられても困る。

何せ、常に金欠状態なもので。

「……」

夏場並みの暑さに体が悲鳴を上げている。

少し前まで寒さも残っていたせいもあって、寒暖差もすごいし。

元々、季節の変わり目には体調を崩しやすい方だし。

比較的、部屋の中は涼しい方なのだが…それでも暑い。

「……」

背もたれに全体重をかける。

ぐったりとした体は、いつも以上に重い気がする。

体調が芳しくないのはもちろんだが―目の前に広がる現実を受け入れたくないと言うのもある。

「……」

狭い机の上に広げられた、大量の紙。

真白な絵が広がるパソコン画面。

端の方に投げられたマーカー。

大量の通知が溜まっているスマホ。

「……」

なぁんでこんなことになっているんだかぁ。

…とかいったところで。思ったところで。何にも変わりはしないんだが。

むしろ、状況の悪化の一途をたどっているのだが。

こうやって、現実から目を背けて、暑さにかまけて何もしていないだけで。

何かが変わるはずがない。

「……」

「……」

「……」

「……」

しかしなぁ…。

このままではいけないのは分かっているわけで。

もう、どうしようもないまでに分かっているわけで。

「……」

「……」

「……やるか……」

無意識とは言え、そう漏れたのだから。

今がチャンスということだ。

自分のご機嫌伺いは、自分でしていかなくてはいけない。

「……」

脱力していた体を起こし、机の下を探る。

確か…この辺りに……。

「……ん」

コツンと当たったそれを指に引っ掛け、ズルズルと引っ張る。

こんな扱いをしていいようなものでもないのだが、あまり使うことはないからこう…雑に扱ってしまう。

「……」

それをそのまま、顔のあたりまで持ち上げる。

めったに使われない、お気に入りのヘッドフォン。

線はついていない。いわゆるブルートゥースというやつだ。

有線のものも持ってはいるが、あれは作業するには向いていない。この無線を開発した人は天才だ。

「……」

それを、携帯やパソコンとつなぐことなく、頭にはめる。

音楽でも流せばいいのかもしれないが、それだと集中できないたちである以上、無駄な行為である。

「……」

無音状態だ。

まぁ、正直ヘッドフォンだと完全な無音にはならないが。イヤホンをつけるのは少々苦手なもので。あれは耳が痛くなる。

あと、外の音がほどほどに聞こえるぐらいでちょうどいい、私は。

それと、連絡が来た時に気づけなかったことが過去にあったもので。めちゃくちゃ怒られた……。

「……」

これ以上怒られないためにも、さっさとしなくては。


よし。

集中。




お題:ヘッドフォン・外・無音


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