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11.リエルの不機嫌。

 あれからアリスは2人を見つける事が出来ず

そのままジャンと2人で遊んで解散する事になった。

そして2日が経ったある朝。それは起きた。

アリスがいつも通り学校の

玄関口で靴を履き替えようと、靴に足を通した時。

ズキリと鈍い痛みが足の裏を貫通する。


「いたっ、なにっ?」


慌てて靴の中を確認するが其処には何も無い。

アリスはただの勘違いだと言い聞かせながらも、小首を傾げたまま教室へ向かった。


(何だったんだろう?足が疲れてるのかな…?)


教室に付くと其処には一昨日と変わらない風景があり右にはジャン、左にはリエルが座っている。

2人ともアリスが教室に入室した事を確認すると、快く挨拶をしてくれる。

そして、もう1人。ハルクもまた、アリスに快く挨拶をした。

アリスもそれに応えるように挨拶をする。


(うん!今日も平和だなぁ。)


そう思いながら着席すれば、アリスは途端に先日のデートがどうなったのか

気になりだし、リエルに耳打ちをする。


「ねえ、リエル。どうだったの?デート!」


リエルは少し考えた後、そっとアリスに耳打つ。


「えぇ、結構良い感じだったと思うわ。」


アリスは少し拍子抜けした。

アリスはエリルが恋する乙女なりにキャッキャと桃色に頬を染めて

話す姿を想像していた。少なくとも、先日のデートでの彼女の表情を目にすれば

それくらい舞いあがって居ても無理はないと思った。


だが、そんな予想と反しエリルは冷静かつ端的に話す。

そんなリエルにアリスは驚きつつも良かったねと微笑みを浮かべる。


「おい、何話してんだ?俺も混ぜてくれよ!」


その様子を見ていたジャンが人懐っこく2人に擦り寄って来る。

そのジャンを先に相手にしたのはリエルだった。


「ハルク様と私が御忍びでお出掛けしていた話よ。」


(あ、言っちゃって良いんだ…)


そう思いながら、アリスもまた頷いて見せた。

するとジャンが興味津々と言わんばかりの表情で首を傾げる。


「へぇ。で?何処へ行ったんだ?」


するとまたアリスが少し考えて口を開く。


「王都の露店街よ。あそこは賑やかで楽しかったわ。」


「ああ!あそこだろ?俺とアリスも一昨日そこで遊んだんだ〜。

 楽しかったな、アリス!」


(それ言っちゃ、私がリエルのデートを尾行してたのバレちゃう!!)


そう危惧した時には既に遅く、ジャンは一点の曇りも無い笑顔を此方に

むけて来る。


「うっ、うん。ソウダネ…。」


アリスは恐れながらもゆっくりとリエルに視線を移すと、案の定

リエルの目は此方を確実に仕留めており、視線を捕らえれれてしまう。


「へー。そうなの。それは良かったわね。」


(ひっ。目が怒っている…。尾行したのはやっぱり、良くなかったよね…。)


「ご、ごめんなさいっ。」


身を震わせながらリエルに謝罪するも、リエルは別にと言って他の方を向いてしまった。

ジャンはそんな状況はお構い無しという風にアリスに話しかける。


「そうそう!また今度、あそこで春祭りがあるらしいんだけど!

 今度、一緒に行こうぜ!皆んなでっ!」


「そ、そうだね!リエル様!楽しみですね!」


アリスはジャンの無神経な会話をも有り難く思い

決死の覚悟でご機嫌斜めのリエルに話を振る。


エリルは無表情のまま此方を向いてアリスをじっと見た。

アリスは精一杯の笑顔を向ける。


「私、お祭り好きじゃないから…。2人で行って来ると良いわ。」


そう言うとまたリエルは前を向いて動かない。

アリスはそんなリエルの反応にガクリと肩を落とした。




















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