表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
10/21

10.別人..?

 とある土曜日の事。

賑わう王都で2人の男女とそれを尾行する1人の女がいた。



その尾行中の女は...そう、アリスだ。


(リエル様、しっかり!!)


例の作戦会議から、2日が経った。

アリスとリエルは作戦を実行するなら、早い方が良い

という理由で王子を急遽デートに誘う事にした。

 

すると幸運にも王子との予定が合い、2日後に約束

を取り付ける事が出来たのだ。


(よく、御忍びデートが許可されたものだ。

               まあ、良いけど!)


「お待たせ、リエル。 待ったかい?」


「いいえ。私も今来た所ですの!」


そんな、お決まりのテンプレートからデートは

幕を開け2人は並んで街を歩き出す。


街はそれなりに賑わっており

デートには持ってこいの場であった。


(まさか、この中に一国の王子とその妃候補が

 デートしてるなんて...思わないよね。)


アリスは薄ら笑いを浮かべながら

少し離れた物陰に転々と移り隠れ、尾行を続けている。

きっと、アリスの方が怪しさ極まりないだろう。


そうこうして居るうちに2人は小洒落た

喫茶店に入り、アリスもそれを追う。



「ハルク様、このお店はご存じですか?」


「ああ、ここは今流行りの店だろう?

 確か...パンケーキが美味しいんだとか..。」


「ええ、そうなんです。

 ハルク様は甘味がお好きでしょう?

 私も気になっておりまして。

   その...御一緒出来たらと......」


(そうなんだ...。)


アリスは驚いた。

勿論、王子が甘味好きだった事もだが....

それを上回る程の驚きに遭遇したのだ。

そうリエルがいつに無く頬を赤らめうら恥ずかしそうに

して居るではないか!


(リエル様って、好きな人の前ではこんな表情するんだ...。

      でも、食堂ではそんな素振り..一度も....)


そんな疑問を浮かべながら、目に映るリエルの

表情に見惚れていた。


(まるで...別人..みたい。)


少しばかり時間が経ち2人はとうとう喫茶店を

出て行ってしまい、アリスもそこを後にする。


そうして、2人と1人が訪れたのは街1番の露店街。

観光客、買い物客、街の兵士。

様々な人々が集う活気溢れる場所だった。


「あ、あれ食べてみたいですわ...」

   

 リエルが上目遣い気味に指を指すそこは

ライスボールと書かれてある店があり、その店名に

アリスは衝撃を受けた。



(おっ、おにぎり!!)


店頭に並べてある商品はまるで日本のおにぎり其の物で

久しく和食を口にしていないアリスには

人のデートそっちのけで食い付きたい気持が溢れた。



(しっ、しまった..。お金。もう無い..。)


財布を漁ったのは良いものの先程、喫茶店で使った

お金で財布が底を付いてしまったのだ。


おにぎりを買って仲良く食べる彼らを横目に

アリスは悔しさを噛み締めた。


そんな時、アリスの肩にドスッと重みがかかった。

アリスは驚きのあまり素っ頓狂な声が

出そうになったのをぐっと堪え、後ろを振り返る。


すると、そこにはジャンの姿があった。


「よおっ、アリs!?んん゛っ?!」


ジャンが声を発しようとした時、

アリスは自身が尾行中である事を思い出し瞬時に

ジャンの口を塞ぐ。


「あまり大きな声を出さないでっ!! 

              今、尾行中なの!」


口を塞がれたジャンはそんな事よりも

息が出来ないと言わんばかりに手をバタつかせる。


(鼻で息をすれば良いじゃない!)


と思いながらも、ツッコむのが面倒になったアリスは

溜息を付きそっと彼の口を防ぐ手を退けた。



「誰を尾行中なんだよ。」


ジャンはひっそりとした声でアリスに問う。

アリスは向こうに居るハルクとリエルを

指差そうとした。だが、そこに2人の姿は無い。


「あれ、いない!?」


四方一面どこを見ても2人の姿は見つからず

完全に見失ってしまった。

この人だかりである。無理もない。


アリスはそれが分かった途端頭を抱えて叫んだ。


「うわぁぁー。どうしてくれるのよ!

           見失ったじゃない!!」


完全に八つ当たりだったにも関わらず

ジャンはアリスの気迫に押されたのか“ごめん”と

慌てて謝った。そしてお詫びと言ってライスボールを買って

アリスに差し出す。


(ジャン...なんて良いやつ..)


「ありがとう..。ごめんね..。」


アリスは八つ当たりをしてしまった申し訳なさと

情け無さに恥ずかしくなり言葉ごもる。


(23にもなって何やってんだろ..私。)


「あぁ、気にすんな!あっちのベンチで食おうぜ!」


そう言って2人は道に外れた木下のベンチへ腰掛けた。


「頂きます...。」


「おう!!」


一口。また一口ライスボールを口へ運ぶ。

その味はまさに生前食べていた米其の物だった。


「美味しい....。」


そう言ってジャンに笑顔を向けると

ジャンはアリスの顔を見てギョッとし、慌てて口を開く。


「おっ、お前!何泣いてんだよ!

 口でも噛んだのか?それとも、また俺なんかやった?」


そう、アリスは知らず知らずの内に懐かしいさ故

涙を流してライスボール、もといおにぎりを

頬張っていたのだ。


(...どおりで..塩っぱいなと思ってんだよ。)


「美味し...すぎ...てっ」


またアリスはジャンに笑い掛けると

ジャンは急に愉快そうに笑い出し、言った。


「美味しくて泣いたのか?ハハっ。

 なんだそれっ。可愛いなお前っ。ハハっ。」


 アリスはその言葉を聞くと同時に涙がピタリと止まり

今度は顔から火が出るような気がした。



(このっ、天然垂らしめっ...。

 今のは迂闊だった...流石と言うところか...。)










              

初めてまして、とーとです!

何とか10話を達成する事が出来、とても喜んで

居ります。

そして、そんな作品を10話も読んで頂きありがとう

御座います!

まだまだ未熟で拙い作品と作者で御座いますが、

これからばりばりと頑張って行きますので宜しくお願い致します!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ