ベイリンガル侯爵夫妻
私の母ジョアンナは、16歳の時に私を産んだ。
そう、私と3人のお兄様たちとは、異母兄妹。
私はお兄様たちのお母様とは、お会いしたことがない。
お兄様たちのお母様は病弱で、3番目のダレルお兄様を産んで1年と経たずに亡くなってしまったそうだ。
これは、ベイリンガル侯爵家長男の、ブライアンお兄様から聞いたお話。
クリストファーお兄様が貴族の子女のための6年制の学園に通うようになって、1年ほど経った頃のこと。
学園でも人気が高かった、公爵家のお姫様であるジョアンナ公爵令嬢とクリストファーお兄様が、急速に仲良くなった。
その時の長男ブライアンお兄様は16歳、次男クリストファーお兄様は13歳、三男ダレルお兄様は10歳。
そして、公爵家のお姫様であるジョアンナお母様は15歳だった。
見た目もお姫様なジョアンナ公爵令嬢に憧れていたクリストファーお兄様は、ジョアンナ公爵令嬢に声をかけられて、誰の目から見ても有頂天になっていてるのが分かる程だったそうだ。
クリストファーお兄様は、年上のジョアンナ公爵令嬢が自分に惚れていると、大きな勘違いをしていた。
(確かにクリストファーお兄様は、かなりレベルの高い美男子ではあるのだけれど…)
2歳差なんて愛があればと、結婚をも妄想するようになっていたらしい。
ジョアンナ公爵令嬢の狙いに気付いていた実の母ラブのブライアンお兄様は、クリストファーお兄様に何度も「お前に惚れるなんてことがあるか」「冷静に考えてみろ」「気をつけろ」と忠告し続けたが、クリストファーお兄様は聞かなかったという。
そんなある日、ジョアンナ公爵令嬢が、ベイリンガル侯爵家に遊びに行きたいと言い出した。
もちろん、クリストファーお兄様は即了承。
その週の週末に、王都内のベイリンガル侯爵家の午後のお茶に招待した。
ジョアンナ公爵令嬢はそのまま夕食後のお茶の時間まで滞在して、帰宅した。
一度許されると、毎週のようにジョアンナ公爵令嬢はベイリンガル侯爵家を訪れるようになった。
ブライアンお兄様は、年頃の貴族令嬢が、男兄弟しかいない家に遊びに来るのは良くないとジョアンナ公爵令嬢を窘めていたようだが、ジョアンナ公爵令嬢は聞かなかったそうだ。
毎回ジョアンナ公爵令嬢が家に遊びに来ると上機嫌になり、婚約も夢じゃないと浮かれるクリストファーお兄様。
誰の目にも、ジョアンナ公爵令嬢がベイリンガル侯爵家当主アルバートに猛烈にアタックしていることが明らかだったようなのだけれど、恋するクリストファーお兄様はまったく気が付かなかったらしい。
遂に、ジョアンナ公爵令嬢はベイリンガル侯爵家当主アルバートを押し倒し・・・
私ができて、結婚することになった。
現国王はその頃、隣国の王女と結婚し長男を授かったため、側室を取ることを許され、ジョアンナ公爵令嬢に猛アタック中だった。
そして、国王のグランベルト公爵家とベイリンガル侯爵家への嫌がらせが始まった。
目の前でいちゃいちゃする、19歳も年の差がある両親を見ながら思う。
障害が多いほど、恋愛は燃え上がるものなのか、と。




