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テディ 6

寝間着のまま部屋から飛び出そうとするエレノアに、やっとのことで着替えをさせたベアトリスは、卵を抱えて全力疾走しているエレノアを追いかけていた。


「7歳の癖に!速すぎるでしょ!!」


憎まれ口を叩きながら全力疾走をしている15歳のベアトリスと7歳のエレノアの間の距離は、ぐんぐん広がっていた。


「シャーリー!卵が私のベッドの中にいたんだけどっ・・・!!」


ドラゴンたちのねぐらに飛び込んだエレノアは、イチャイチャしていたヒューとシャーリーに威圧され、ひゅっと息を飲む。


『いくらご主人様でも、夫婦の寝室に黙って飛び込んで来られては、迷惑だ。』


ヒューに叱られた。


「ご、ごめんなさい~。でもでも、あなたたちの卵が・・!」


『ああ、その仔はもうご主人様を自分の主人と決めて、付いて回っているのだろう。』


「・・卵だよ?」


『卵でもドラゴンだ。』


「意味不明だよ?」


卵を抱えて首を傾げるエレノアを見て、シャーリーが溜息をつく。


『あなた、この仔が生まれてテイムされる前に、教えてあげた方がいいわ。』


更にシャーリーが意味不明なことを言い出した。


『ご主人様。私の観察眼が間違っていなければ、ご主人様は一般的な人族の子供であろう?』


「そうね。今年7歳になったわ。」


『テイムし続けるには魔力が消費されていることは、理解しているか?』


「・・いいえ?」


『我らのように大型のドラゴンをテイムし続けるには、大量の魔力が必要だ。今のご主人様の魔力量では、我々をテイムするだけでギリギリであろう。ご主人様が我らをテイムしながらその卵から孵った仔をテイムすると・・恐らくご主人様の魔力は枯渇し、命が無くなるだろう。・・・それ以前に、その仔が成長するためにご主人から魔力を吸い続けているだけでも、命の危険があるやもしれん。』


「まさか・・」


『幸いご主人様は、我ら《《異種族とも会話ができるスキル》》をお持ちのご様子。』


ドキンとエレノアの心臓が跳ねる。


『当たりか。その仔を手放す気がないのであれば、我らとのテイムは解消した方がいい。』


「でも、そんなことしたら、あなたたちいなくなっちゃうでしょう!?」


()()をすればいい。』


「契約?」


『テイムと違い魂の結びつきはなくなるが、我らは人語を解すことができる。ご主人様が望むのであれば、この地に住み続けよう。まぁ、逃げても掴まってまたボロボロにされてしまうのだろうがな、はは・・』


ヒューが遠い目をして笑う。


「じゃあ、この卵が孵ったら、ヒューとのテイムを解消して契約をする。やり方を教えて。」


『卵の状態で動き回るような仔をテイムするのに、我とのテイム解消だけでは足りぬと思うがな。契約をするから、すぐ我らとのテイムを解消しろ。ご主人様ほど魔力に敏感であれば、その卵に自分の魔力がどれほど吸われているか感じることができるであろう?』


そう言われても、やっと憧れていたドラゴンのテイムができたエレノアは、ヒューとシャーリーのテイムを解消しなかった。


それから数日。

ベイリンガル侯爵領内で、コロコロ、ふわふわ、エレノアの後をついてまわる卵の目撃情報がちらほら出始めるようになる頃には・・・エレノアは体調の異変(不調)を感じていた。


(これはヒューの言う通り、この卵にかなりの魔力吸われてるなぁ・・このままだと、本当に、やばい・・かも・・)


背に腹は代えられぬと、エレノアはヒューとのテイムを解消して契約をした。

それでも体調は元に戻らず、やむを得ずシャーリーとのテイムも解消して、やっと体調が改善した。


暫くして、シャーリーの温めていた卵たちが孵った。

2頭ともヒューに似た、風属性の雄のドラゴンだった。


エレノアについてまわっている卵が孵ったのは、それから半年ほど後のことだった。

生まれてきたのは、深い紅い色の鱗を持つ、火属性の雌のドラゴンだった。


兄ドラゴンたちと違い、エレノアの魔力を吸いに吸ってふくふくに育ったその仔ドラゴンは、かなり丸めのフォルムで生まれてきた。

そのせいで、ドラゴンにしては不名誉な「クマのぬいぐるみみたいだから、テディね!」という理由で、名前が決まってしまった。

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