駆け出し冒険者ゼノ4 ルーゼンバーグの過去
癒し要員登場!予定ではあと2、3話ルーゼンバーグの過去話が続きます。
それと前話書き足したのでまだの人は見てね。
初投稿の弊害か誤字脱字が多発してます。見かけたら何らかの方法で知らせてくだせぇ
朝になった。
班の振り分けは既に終わっていて、夜が開ける頃には既に王都にいた冒険者全員に伝えられていた。
「双刃と同じ部隊とは羨ましい野郎だぜ!」
と何人かの冒険者にルーゼンバーグは背中を叩かれたが、彼はおう…と曖昧な返事を返していた。酒場で酒を呷っていた時とは違い、どこか冷めた返答だ。
ルーゼンバーグは街の外に部隊の皆と弩弓を運び出しながら昨夜の夜のことが頭から離れずにいた。
(何を隠していやがる)
同じく弩弓を押しているバッシュとレイラを見る。
「あの作戦はねぇだろうが!」
バッシュのあの言葉が頭から離れない。
しかし2人は昨夜の屋上での出来事がまるで嘘のような真剣な顔つき。あれは夢だったのだろうか。いやそんなはずは無い……。あの時バッシュとレイラの慟哭、そして表情。酒を飲んではいたがあれを夢だったと断言する程ルーゼンバーグは耄碌していない。
「…ん?どうしたルーゼンバーグ」
こちらをじっと見るルーゼンバーグに気づいたのだろう。額に汗しながらバッシュがこちらに声をかけてきた。
「え?あぁ…いや、なんでもありやせん」
訝しむようなバッシュの視線。ルーゼンバーグは表情を取り繕ってそう返す。
「そうか?まぁ緊張する気持ちも分かるけどよ、奴が来るのはまだ先なんだ。今から緊張しても仕方ないぜ。ま、それでも不安な事があるっつうなら俺が相談に乗ってやってもいいけどな!」
(相談できるかっつの!)
ガハハハと辺りの連中と笑いながら、ルーゼンバーグは心の中で愚痴る。同じ部隊の連中が茶化して来たがそんなのは無視した。あんたの事で悩んでんだぞ!こっちは!
正門をくぐり、空いている場所に弩弓を固定して設置する。既に何班かの部隊が設置しえたのだろう、既に10台ほどが城壁を取り囲む様に置かれている。これをあと数十台、王都を取り囲むように設置するのが今日の俺達の仕事だ。森に行っている採取組と比べたら楽な仕事なのだが今のルーゼンバーグは正直そちらに合流したかった。弩弓を運んでいる間中昨日の事がぐるぐると頭の中で巡るのでなんというか…落ち着かない。
チラホラと周辺から集まってきた冒険者が王都に入っていくのを見ながら、ルーゼンバーグはハァ……と1人溜息をついた。
「ハァ……」
「どしたのー?元気ないワンね」
正午になり、一旦飯にしようとなったので弩弓を設置した近くの原っぱに1人寝転がったルーゼンバーグ。そこに、妖精族の給仕が食事を持ってきて話しかけた。
「別になんもねーよ」
食事を受け取りながらぶっきらぼうに返す。犬耳に6歳くらいの少年の見た目、だが彼ら妖精族は立派な組合員だ。
妖精族は6歳ほどの少年、少女の見た目に猫や犬、熊など多種多様な耳と尻尾を持った種族で彼ら曰くある日突然森から生えてくる?らしい不思議な一族だ。事実組合の冒険者達は狩場で妖精族を保護したら近くの組合まで丁重に連れて行かなければならない掟もある。古からの決まり事らしい。
保護された妖精族は手先が器用なので料理や会計、育児や洗濯など組合では重宝される。救護院での保母や酒場の給仕としてが冒険者のよく見る妖精族の姿で、その面倒みの良さと愛くるしい見た目で冒険者や孤児達を癒している。
この犬耳の妖精族も酒場ではよく見た顔だ。彼はルーゼンバーグの膝に腰を下ろす。
「ルーゼンバーグはなんかあるとすぐ顔にでるワン。ここ!ここに皺がよるワン」
「うわ!やめろや、スープこぼれんだろが!」
ぐりぐりと眉間に肉球のついた指を押し付けてくる。これが冒険者ならぶん殴ってる所だが流石に幼児ほどの見た目の妖精族に手荒な真似はできない。身を捩って躱そうとするルーゼンバーグ。犬耳の彼はニヤニヤとした笑みを浮かべた。
「もしかしてぇ…ルーゼンバーグビビってるワン?励ましいるワン?」
「励まし!?」
「励ます?励ます?」
すると近くで他の冒険者に給仕していた妖精族の少年少女が呼応する様に目を輝かせてこちらを見た。
「びびってねーよ!つか絶対やめろよ!?」
辺りの冒険者が給仕につられてこちらを見ている。そんな状態で妖精族からいっぺんに励まされたら……考えるだけで寒気がする。膝の上の犬耳はルーゼンバーグのその様子を見てコロコロと笑っている。こいつ分かって言ってやがる。
つんつんと頬をプニプニしてくる犬耳にゲンコツ1発くらいなら許されるか?と思案するルーゼンバーグ。だが不意に自分の前に影が出来て、顔をあげた。
「よぉルーゼンバーグ、モテモテだな」
昨夜自分に配属先を教えてくれた冒険者だ。彼はよっとルーゼンバーグの前に腰を下ろすと膝の上の犬耳に声をかける。当の本人はその姿を見るとゲッという顔をした。
「なぁ〜マイティ、俺もほっぺたプニプニしてくれよぉ〜」
「やだワン、レイモンドは元気だし気持ち悪いワン」
どうやら犬耳はマイティ、男はレイモンドという名前らしい。レイモンドは逃げようとしたマイティを捕まえて自分の膝に連れていった。
「そんなツレねぇ事言うなよぉ〜俺ってばビビっちゃってさ〜、励ましてくれよぉ〜」
「ぎゃー!」
じょりじょりと頬ずりされて絶叫するマイティ。それを見て近くの冒険者は笑っている。必死に抵抗しマイティはなんとか魔の手から逃れるとハァ…ハァ……と肩で息をした。
「レイモンド!お前それ次やったら酒場出禁ワン!」
「いいじゃねぇか照れんなよ。プリンもこれ大好きなんだぜぇ?」
なぁプリン〜!とレイモンドが遠くで給仕をする猫耳しっぽの少女に手を振る。彼女はそれに気づくと顔面を蒼白にし、たっと駆けて逃げていた。
「なんだよあいつも照れてんなぁ?」
「今のが照れだと思ったならお前は診療所に行った方がいいワン」
げんなりとした様子で答えるマイティ。彼はレイモンドがよほど恐ろしいのかルーゼンバーグの背後に隠れる様にして去っていった。
「つれねぇな」
肩をするめるレイモンド。パンをちぎって食いながら一瞬、こいつとの付き合いを考え直した方がいいなとルーゼンバーグは思った。
「それで?」
レイモンドはスープを椀に口をつけてそのまま飲むとルーゼンバーグに視線を向ける。その目は先程と違い真剣だ。
「それでって…逆になんだよ」
「なんだよって、お前なんか悩んでんだろ?妖精族ってのはそういうのには敏感だ。特にマイティはな……別に言いたくねぇならもう聞かねぇが、戦いが始まったらそんな暇はねぇんだぜ?…言える内に言っちまった方がスカッとするやな。なにより俺は口は固ぇ」
レイモンドに言われ…スープの中のジャガイモをスプーンでころがしながらルーゼンバーグは考える。言っていいものか?もしかしたらバッシュとレイラにレイモンドは幻滅するかも知れない…そうなれば士気に影響も出る。ただあの作戦云々の話……それは同じ部隊のレイモンドは知っておいた方がいいんじゃないか?
悩む。悩む……悩んで悩んで悩んで……そうして、ルーゼンバーグはレイモンドの口の固いという言葉を信じて話してみる事にした。
「実はよ……」
飯を食いながら、ルーゼンバーグは昨日見た光景をレイモンドに話す。
バッシュとレイラのやり取り、慟哭……そして何かを隠している事。
レイモンドは黙ってルーゼンバーグの話を聞いていたが話し終わったと判断するとハァー……とでかいため息を一つついた。
「お前そんな事悩んでたのかよ。俺はむしろ今の話を聞いてホッとしたくらいだぜ」
食い終わり、歯の隙間の肉片を取りながらレイモンドが言う。
「はぁ?今の話のどこにホッとしたんだよ」
「あのレイラとバッシュも、俺たちと同じ人間だって事さ。なんか隠してるって?そりゃ指揮官なら言えねぇこともあるんだろうさ」
レイモンドは立ち上がると最後に
「まだモヤモヤすんなら本人に直接聞いてみろよ。別にやましい話って訳でもねぇさな……ったく心配して損したぜ」
そう言ってボリボリと頭を掻きながら去っていく。ルーゼンバーグはその後ろ姿を、なんとも言えない面持ちで見送った。
頑張るんで良かったらブクマ、高評価、感想おなしゃす。
合計PVが120を超えました!見てる人いるなぁ!とくっそ嬉しかったです




