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駆け出し冒険者ゼノ3 ルーゼンバーグの過去(2月8つけ足し)

初投稿の弊害か誤字脱字がくっそ多いです。見つけたら何らかの方法で知らせてくだせぇ


2月8日 なんかレイラとバッシュの気持ち部分足りんなと思い書き足しました





……9年前……







カーン…カーン…カーン


ミズガルド王都にある組合に非常事態を知らせる鐘がなったのは、既に夕刻を過ぎてこれから本格的な闇が訪れようという時だった。


「強制依頼じゃ!王都とその周辺の冒険者達は掟に乗っ取り、徴兵とする!」


依頼を終え、丁度酒場で1杯ひっかけていた冒険者、ルーゼンバーグ(当時22歳)は組合長のがなり声に驚き、目を見開いた。辺りの冒険者達も皆一様にザワついていて空気が一瞬で変貌、ピリついた。


強制依頼


朧げながら登録する時に聞いたそれは魔物などによって国家や都市存亡の危機にあった時、駆け出し熟練問わず周辺の冒険者達に強制的に依頼を受諾させる規約で組合所属の戦える冒険者はこの掟に反することは許されない。反した場合登録抹消などは優しいもので最悪組合による粛清の対象にもなる。これが発令される事は滅多になく、この数百年間で片手の指より少ない。つまり今、それ程の危機がこの王都に迫っている。


「組合長のじじい!!相手は何だ!!!」


遠くにみえる円卓席の冒険者が立ち上がり、叫ぶ。他の者達も気持ちは同じ様で酒場のほぼ全ての冒険者の視線が組合長を見つめている。組合長は言うべきか言わないべきかを一瞬迷ったのだろう。躊躇うように喉を鳴らして俯いたが円卓席の冒険者達の圧が尋常ではない。それはそうだ。それほどの危機、自分達の生命がかかっているのだ。聞かない訳にはいかない。やがて観念したのか震える声で叫ぶように告げた。


「ご……五大竜の内の1頭!風刃竜ウェルパルカムイじゃ!」


「ふざけるな!」


バキィッ!とルーゼンバーグの近くに座っていた冒険者が机を粉砕して立ち上がり叫ぶ。


「組合長は俺らに死ねっていうのか!!俺達の目を見て言えよ!!言ってみろよ!!もう一度、強制依頼だって、死んでくれってなぁ!!」


目に涙を溜めて言う。普段なら臆病者だと囃し立てられる台詞だが、誰もそんな茶々は入れない。みんな同じ気持ちだ。数人の冒険者等は見たことも無い神に祈っている。それほどこの五大竜と言うのは圧倒的な存在だった。


大陸に太古の昔から君臨する5体の生物の頂点。内包する膨大な生命エネルギーは天候や気候にまで影響を及ぼし、寿命は永遠に等しいと言われている。数十年から数百年間に一度の周期で人里に姿を現すと、国、街を一夜にして更地にしては去っていく正に天災。

過去に一度だけ、英雄ザクス達により撃退には成功しているもののそれ以外の五大竜関連の強制依頼を行った国や街は全て、今は地図に存在しない。


「し……死ぬとは決まっとらん!!英雄ザクス達のように、撃退出来るかも知れん!!」


「そう思うなら俺の、俺達の目を見ろよ!!」


その言葉を皮切りに、酒場と組合中に怒号が響き渡る。数十人の、それも冒険者の怒号だ。比喩ではなく、本当に建物が揺れている。


「静まりやがれぇ!!」


円卓席にいた筋骨隆々の冒険者が立ち上がり、叫んで壁を殴りつける。ズゥン!と天井からパラパラと埃や砂が落ちてきて殴られた壁はバキバキになっている。


「悲観してジジイ1人責めたって何も変わりゃしねぇだろうが!!俺達は冒険者!!頭使って使って、鼻血が出るくれぇ考えて!!そうやって今日まで生きてきた!!違ぇか!!」


その言葉に建物の中は静まり返る。


「死ぬような目にあった時も!!1度や2度じゃねぇ筈だ!!下なんて見てんじゃねぇ!!心に火を灯せ!!前を見ろ!!俺達は冒険者!!誇り高き冒険者だ!!」


ドン!!と男が足踏みをして叫ぶ。その熱に促されてか徐々に足踏みは伝染し、やがて建物内に先程とは違う咆哮が響く。生命を、死ぬ覚悟を決めた誇り高き咆哮だ。気づけばニーレンバーグも咆哮していた。


「……すまん」


組合長がその冒険者に頭を下げる。だが本人は気にすんなとばかりに手で合図した。

そして最初に組合長に質問した冒険者が再度口を開く。


「それよりじじい、周辺の冒険者も呼べるって事はまだ余裕があんだろ?奴が来んのはどのくらいだ?」


「観測隊の鳥の早文によると早くて5日、遅くとも7日じゃ……」


遠くからきこえるやり取りを聞き、ルーゼンバーグは思案する。


早くて5日……。3日を準備に割いて4日目からは不測の事態に備えて決戦を覚悟するといった所だろう。防衛設備なんかも準備して、周辺の森で素材を集めて……やる事は山積みだ。机の肉に齧りつき、人生で最後になるかも知れない酒で喉を潤すとその目は既に冒険者の顔つきになっていた。


バァン!


すると背後で音が立つ。組合の2枚扉を破壊する勢いでくぐって2人、男と女が息を切らして入ってきた。


30手前の短髪の男は蒼い結晶の様な鱗のあしらわれた全身鎧に燃えるような紅い重太刀、それとは対照的に青い水色の長髪の女は紅い甲殻で出来た鎧に蒼海のような重太刀を背にしている。


「おぉ……」


その姿を見て建物全体がどよめく。称号持ちにして2つ名持ち、王都に双刃ありとまで謳われる冒険者バッシュとレイラだ。2人は建物の真ん中を進み、円卓席の方へ向かう。彼らが通ると冒険者達が十戒の海のように割れた。


「バッシュ…レイラ……」


組合長が声をかける。その目は負い目があるのか伏せられている。


「知ってるわ組合長。外まで響いていたもの」


「すまん…」


「気にすんなよじじい、ガキがいるのは何も俺とレイラだけじゃないんだ。それより今は目の前の問題だ」


バッシュは自らの同胞達へ向き直ると背の重太刀を引き抜いて床へと突き立てた。


「これからいくつかの小隊に分ける!!部隊の隊長は俺達、称号持ちが引き受ける!!文句のあるヤツらはいるかぁ!!」



ォォオオオオオオオ!!!


再度咆哮があがる。全員、異議なしの合図だ。


「じゃあこれから貢献度、パーティ履歴なんかを換算してじじいが振り分ける!!いいか!!俺には息子が!!家族がいる!!大事なもんがお前らもあるだろう!!」




ォォォォォォオオオオ!!!





「生きて帰るぞテメェェエエラァァァァア!!」





ァァァァアアアアアアアア!!



今日一の絶叫だ。




俺は今、伝説の……新たな英雄達の誕生の中にいるのかもしれない。




勝てる。これなら撃退どころか討伐も夢じゃない!!



ルーゼンバーグは叫びながら、冒険者達の、いや仲間達の熱に身を委ねた。


















「ギャハハハハハ!!」


組合の酒場中に笑い声が響き渡る。ルーゼンバーグはあの後すぐに決戦の準備が始まると思ったがまずは飲み会だ!!という事になった。理由は様々あるが、住民の避難で街がてんやわんやになりどちらにしろ今は森に出れない事、組合員が組合長の指示の元に振り分けを行っているが未だに終わっていない事などが上げられる。なにせ周辺と王都の組合員全員が集まるのだ。その人数は優に200を超える。集まっていない冒険者もいるし本格的な作戦は明日以降になりそうだ……という事でなし崩し的に飲み会になった。……まぁここまでのは建前で皆死を覚悟してる以上、死ぬ前に酒の1杯や2杯は……というのが本音だ。その証拠に普段は一滴も酒を飲まない様な奴らまで飲んでいる。


「ルーゼンバァァァアグ!!飲んでるかぁぁあ?」


突然横から肩を組まれ、からまれる。名前は……よく知らん冒険者だ。ただ自分が王都で活動を始めた頃には既に見た冒険者で、称号持ちでこそ無いものの今日この日まで五体満足で生きている事から決して実力がないとは言えなかった。彼は普段飲まないような上等の酒をぐいっと呷るとルーゼンバーグの隣に座る。


「聞いたか?隊の割り振り。俺とお前はなんとな?あの双刃と同じ部隊だぜ!」


「マジか!」


これにはルーゼンバーグもドクン…と胸が高なった。今回の決戦、ウェルパルカムイを討つにせよ撃退するにせよそれを担う中心はあの2人になるだろうというのが、冒険者達の共通認識だった。


そんな2人と肩を並べて戦える。正に冒険者冥利に尽きるとはこの事だ。


「たまんねぇ……」


ブルリと震える。もしかしたら俺も伝説になれるかもしれん。そう思うと、身体がムズムズとして力が滾るようだった。


「気持ちはわかるぜ!あの2人はやるぞ!間違いなくな!」


「あぁ!俺達は……伝説になるかも知れん!!命を賭ける価値は十分にあるぞこれは!!」


ガシャン!と樽ジョッキをお互いにぶつけ合い一気に飲む。


堪らん……堪らん堪らん堪らん堪らん!!!


はやる気持ちを抑えられず、ルーゼンバーグは椅子から立ち上がる。


「よぉし!!ちょっくら俺達の隊長様に挨拶してくらぁ!!」


「あぁん?そりゃ止めとけよ。称号持ちは今、上で話し合ってんだろ?」


「うるせぇ!!そんなもんは明日の朝でいいんだよ朝で!!部隊の隊長に部下が挨拶に行くんだからよ、迷惑な事なんかあるか!!」


言うが早いか上へ向かう階段を駆け上がるルーゼンバーグ。俺の事もよろしくなぁ!と言う声が聞こえたが、覚えてたらなぁ!と返してやった。


(レイラ…バッシュ……あの2人はどこだぁ?)


ふふふんと鼻歌交じりで2階の通路をいくルーゼンバーグ。すると数人の称号持ちがこちらへ歩いてくるのが見えた。


「おや…?君は……?」


ルーゼンバーグの顔に見覚えがあったのだろう。横に自分と同じ位の歳の弟子?をつれた中年の男性魔術師がこちらに声をかけてきた。


「確か、ルーゼンバーグだね?」


「ほう?称号持ちの魔術師、ウィッドベレンさんが俺みたいなのを知ってるのかい」


ルーゼンバーグがそう言うと男、ウィッドベレンが笑った。


「王都で新進気鋭の冒険者は大体頭に入ってるからね。今回の決戦でも君には期待してる。それよりどうしてここへ?」


「あぁ、配属される部隊が決まったもんで隊長のレイラさんとバッシュさんに挨拶をと思ってね」


するとウィッドベレンは目を細める。


「へぇ……双刃の部隊にね」


その目は何かを言いたげだ。だがそれも一瞬の事で横にいた弟子らしき男が「お師……」と袖を引っ張ると直ぐに表情を繕った。


「分かってるよヴァルガジン……。じゃあ僕らはこれで失礼するよ。あぁ、それと2人なら話し合いが終わってすぐに外の空気を吸いたいって屋上に行ったよ。それじゃお互い、ご武運を」


そう言ってルーゼンバーグの来た道を進む2人。


(なんだ?)


よく分からないが、2人の場所を聞けたのはラッキーだ。少し酔いが覚めたがルーゼンバーグは屋上へと向かって走っていった。














(いたいた!)


屋上へと続く階段を登ると、半分程開いた扉の隙間からバッシュとレイラの姿が見える。

2人は何事かを話しているようで、レイラはバッシュの腕に絡まりしなだれかかっている。


(あー……あの2人、そういや夫婦だったんだっけか)


ボリボリと頭を搔く。流石に今行くのは野暮だろう、酔っぱらいでも分かる。


出直そう……と来た道を引き返そうとしたその時だった。


「レイラッ!……俺は……俺はぁ!!」


そんな声が聞こえてきて、思わず足が止まった。震えるような、嗚咽の交じったその声に足が止まったのだ。


「分かってる、分かってるよバッシュ」


レイラが慰めている。だがそのレイラの声も、震えているとルーゼンバーグは感じた。


「死にたくねぇ!!息子を残してっ…アイツはまだっ!6歳なんだぞっ」


自分たちの希望。それが今、人知れず弱音を吐いている。見てはいけない、聞いてはいけない……だがルーゼンバーグは階段を降りる事が出来なかった。


「あの子の事は、きっとザクスがなんとかしてくれる…村には救護院だってある。大丈夫…大丈夫だから……」


「でも、あの作戦はあんまりだろうがぁ!!」


「バッシュ!」


レイラが、辺りをキョロキョロとしてバッシュを咎めた。作戦?……なんの話だ?ルーゼンバーグは瞬時にしゃがんで身を隠す。幸い、レイラはこちらに気づかなかった様だ。


「……聞かれてたらどうするの?皆を死地に扇動する以上、私達には責任があるの。それはあなただって分かるでしょ?」


「っ!……すまねぇ」


バッシュはそう言うと荒い息を整える。スぅー……ハァー……深呼吸だ。

やがて落ち着いたのか自分の顔をパン!と平手で打つといつもの威厳のある声色に戻った。


「もう……大丈夫だレイラ。大丈夫……そうだ、俺とお前なら……いや、俺達ならやれる!」


「……えぇ、そうね。生き残りましょう、皆で」


そう言って2人が口付けを交わす。




ルーゼンバーグは隠れる様に来た道を引き返していった。




頑張るんでブクマ、高評価、感想おなしゃす


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