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駆け出し冒険者ゼノ2

初投稿の弊害か誤字脱字がくっそ多いんで見つけたら何らかの方法で知らせてくだせぇ

「ディングスにボコられた記念に見ていけよ。重太刀の使い方って奴をな」


そう言ってディングスに肉薄するルーゼンバーグ。ゼノはゴクリと喉を鳴らす。


ギャウウウ!


右の前足を威嚇する様に払うディングス。先程、ゼノが吹っ飛ばされた一撃だ。だがルーゼンバーグは


「いいか、まず重太刀は間合いをしっかり見極めろ!」


そう言ってグッと左足に力を入れるとその足を軸に時計回りに回転し、ヒラリと躱す。そして、グッと腕に力を込めるとがら空きの脇腹にゼノの重太刀を突き立てた。


ギャリン!


刺さりはしない。しないがその突いた刃がディングスの背中側に滑るとその勢いのまま背中に刃を立て、まるで棒高跳びをする様に刀を使い飛び上がった。そして右側の方へ着地する。さらに着地と同時に刀を蹴りあげ、その勢いを利用しながら下から上に切り上げた。


ブシュッ……


僅かに腹に傷がつき、赤黒い血が吹き出す。そこにルーゼンバーグは刀を突き入れてぐるんっと刃を捻りこんだ。


アアアア!!


フィングスが叫び、ルーゼンバーグは刀を引き抜いて後退する。


「重太刀は切るだけの武器じゃねぇ。突きもある。そして切るなら、切れる場所を見極めろ」


そう講釈を垂れながらも獲物からは一切目線を逸らしていない。証拠に、ディングスが尻尾を振り回しているがそれをルーゼンバーグは一定の距離を保ちながらいなし、躱し、完全に翻弄している。


「すげぇ……」


動かない身体で、ゼノはそれしか言えなかった。今まで1人で活動してきたのでこれまで、誰かの太刀捌きを見たのははじめてだった。重太刀は斬ってなんぼの武器と思っていた。今までの魔物はそれで倒せた。当たればズパンと切りさけた。だがルーゼンバーグはどうだろう。突き、切り上げ、払い、飛び、今などは突進してきたディングスの鼻先を柄元で打って怯ませている。自分には考えつかない様な使い方だ。しかもルーゼンバーグは槍使いだ。重太刀使いじゃない。

これが本物の冒険者かと、称号持ちの冒険者かと身体の芯から心底震えた。


ギュウゥゥ……


鼻から血の泡を吹き、腹側に付いた無数の傷口から生命を、血を吹き出しながらディングスはルーゼンバーグから距離を取るように後退した。あっという間だった。夢中で見て、見て、見惚れてる内に自分を死の淵に追いやった相手が今度は逆に生命を散らそうとしている。 ルーゼンはビュンビュンと空に袈裟斬りを2連すると付いた血を払う。


「てめぇに足りないのは経験、足捌き、柔軟な発想、あとは下準備。あとは……いや全部足んねぇなこれ」


言ってて気づいたのか笑いながらポイっとゼノの前に重太刀を放ると地面に刺さった槍を引き抜いて盾をひったくるようにゼノから取り上げると前に構えて腰を落とす。勝負を決める気だ。


「ま、今回のお前はあれだなあれ……」


そこまで言って、足を引きずるようにして逃げていくディングス目がけてルーゼンバーグは突進した。ディングスも気づいて後退する速度を上げるが、自分に迫る死神の速度には及ばない。


ブチュッ


そんな音と共にズブズブと脇腹の傷に埋まっていく大槍。根元まで埋まり、ディングスが痙攣しているがトドメの一撃とばかりにルーゼンバーグは槍の持ち手にある引き金を引いた。


ボフンッ!


そんな音と共に傷口から僅かな火が吹き上がり、ディングスは体内から身体を膨張させると、その目から光が消えてズゥンとその場に崩れ落ちた。そして槍を引き抜くとゼノを見て先程の言葉の続きを口にした。


「井の中のクソガキ、大海を知る。だな」


ハハハハと大声で得意げに笑いながら。


















ホー…ホー…


夜になった。遠くで鳥の鳴き声が聞こえる。

あの後ルーゼンバーグはディングスからめぼしい素材を剥ぎ取ると、動けないゼノを荷物のように肩に担いで天幕に戻った。

獲物を狩り終えても迎えの馬車が来るのは3日後なのでそれまでは採集や釣りなど、小遣い稼ぎ兼バカンスだ。ルーゼンバーグは鼻歌を歌いながらそこらで適当にくびり殺した鹿肉を捌き、対照的にゼノは沈んだ表情で座り込んで下を向いている。


「……重太刀、使えたんだな」


「あん?」


皮を剥ぎ終わり、岩塩を刷り込んでいたルーゼンバーグ。小馬鹿にして遊んでやろうと振り返ったがゼノが沈んでいてそんな雰囲気でも無かったので真面目に答えてやるかと思い直す。


「そりゃ……な。近接武器に適正ある奴なら殆ど基本的な使い方くらいは知ってるんじゃないか?自分に合った武器を探す段階で覚えるし。お前はそうじゃなかったのか?」


ルーゼンバーグの問いにゼノは縦に振った。


「父ちゃんと母ちゃんが重太刀使いだったんだ。それで俺も重太刀を使おうと思った」


ルーゼンバーグは仕込んだ鹿肉を遠火になるように焚き火の傍にセッティングするとゼノの対面の丸太に座った。


「まぁ、ありがちな話だわな。でもその割にゃお前、重太刀の基本ができてねぇな。父ちゃん母ちゃんに教わらなかったのか?」


「……2人とも俺が6つの時から帰ってきてねぇ。多分……」


「………そっちの話もありがちか。悪かったな」


「いいよ。慣れたし。それに父ちゃん母ちゃんはすげぇ冒険者だったらしいから、知ってる奴の胸の中で今も生き続けてるよ」


そう言って遠い目で夜空を見上げるゼノ。両親は星になったとでも言いたげだ。

なんかロマンチスト感が出てムカつくなこいつ……とルーゼンバーグはゼノの額にデコピンした。


「痛っ!何すんだよ」


「悪ぃ、なんかムカついてよ。反省はしてねぇ」


「……タチ悪いなこのおっさん」


額を擦りながらルーゼンバーグを睨むゼノ。だが高笑いするその姿に何だか毒気が抜け、ぷっと口から笑いが漏れた。


「なんだクソガキ。今笑ったろ」


「……いや、なんつうか…初めてあった時とおっさん印象が違ぇなと思ってよ」


「あぁ?」


「いや、だってよ。いきなりぶん殴られてさ、ここまで来るまでの馬車の中だってだんまりだったし、もっと怖ぇ奴かと思ってた」


「そりゃお前の見方が変わったんだよ。あん時ぶん殴られた理由も、今はなんとなく分かんだろ?」


ゼノは頷く。あれだけ力の差を見せつけられれば嫌でも分かる。口に出すのは難しいが、なんというか……自分はまだ足りない。何もかも。そんな奴が生命をかけてあんなのと戦ってる一人前の冒険者達にすぐ称号持ちになれると啖呵を切ったのだ。殴られて当然だ。


「分かったんなら成長できた証だな。……ったくザクスに感謝しろよ、あの人の弟子じゃなかったらディングスの時だって助けてねぇぞ」


「弟子?」


思いがけない言葉にゼノは顔を上げる。ルーゼンバーグはそれを見て驚いた。


「なんだ、違ぇのか!?」


「違ぇよ。じっちゃんは昔から父ちゃん母ちゃんに頼まれてそのまま俺の面倒見てくれてんだ。感謝はしてるし依頼とかは回してくれるけど弟子って言うより……家族みてぇなもんかな」


これにはルーゼンバーグも肩を落とした。


「なんだよ……なら連れてくんじゃなかったぜ。恩を売れるかと思ったのによ」


「な、なんだよ。じっちゃんに恩が売りたかったのか?なら俺から言ってやろうか?」


「ばーか。預かってるガキ助けんのと弟子助けんのじゃ意味が違うんだよ。それだけ冒険者の師弟関係ってのは特別なの」


そう言ってナイフで焼けた鹿肉の表面を削って口に入れる。ぼーっと見てるゼノに何してんだ、早く食えよと肉を進める。


「食っていいのか?」


「1人で全部食えるかよ。食わねぇならそこらに捨てるぞ」


そしてお互い食べながらぽつぽつと雑談をした。


「しっかしお前の父ちゃん母ちゃんすげぇな。あのザクスに頼み事ができるなんてよ」


「じっちゃんに頼み事が出来るとすげぇのか?」


ゼノは水を、ルーゼンバーグは懐から蒸留酒の入った鉄のボトルの中身を呷る。


「ばっか《英雄》ザクスっていったらでかい町の冒険者で知らねぇ奴はいねぇんだぞ?あの歳になってそりゃ戦えねぇかもしんねぇけど影響力っつうの?そういうのは残ってんだよ」


「じっちゃんがねぇ……なんか嘘くせぇ話だなそれ」


「お前が知ってようが知らなかろうがとにかく、すげぇ人なんだ。その人に頼み事出来てる時点でお前の父ちゃん母ちゃん只者じゃねぇぞ、冒険者は貸し借り無けりゃ基本的に義理を果たさねぇからな。お前以外にあの人、村の身寄りのねぇガキ預かってたか?」


そう言えば……と思い直す。

確かに自分以外の冒険者の身寄りのない子供は、冒険者基金で建てられた救護院に預けられて育てられている。ちなみに冒険者基金とは積立の様なもので、子持ちや家族持ちの冒険者が不測の事態で亡くなった場合その遺族をサポートする為の制度である。


表情から察したのかルーゼンバーグは得意げに


「だろうが」


とゼノを小突いた。別に小突く必要は無ぇだろうが……と言いたかったが自分の両親が褒められているので悪い気はしない。いや、むしろめちゃくちゃ嬉しそうに両親を自慢した。


「まぁ、そりゃ〜?俺の父ちゃん母ちゃんは称号どころか2つ名持ちだったらしいしぃ?じっちゃんに頼み事くらいできて当然っちゃ〜当然だよなぁ〜」


「息子は愚息だけどな」


「うるせぇよ!俺はこれからなんだよ!」


キィーっと騒々しいゼノをからかってルーゼンバーグはご満悦だ。ぐぃーっとボトルの酒を飲んで焚き火で煙草に火をつける。


「で、父ちゃん母ちゃんの2つ名は?お前の歳考えりゃ俺が駆け出しくらいの頃の話だろ?名前くらいは知ってるかもな」


「あん?なんつったかな。俺もじっちゃんに聞いたからな……」


ん〜……と首を捻るゼノ。その様子にルーゼンバーグはニヤリと笑って立ち上がるとゼノを羽交い締めにした。


「なんだよ〜勿体ぶってねぇで早く言いやがれ!おら、これで思い出したか?」


「うわっ!なんだよ!ちょっ、咥え煙草が熱いし臭ぇよ!つか小突くな」


元々取っ付きやすい性格のルーゼンバーグだ。酒も入ってもう距離感に遠慮がない。いででで……と言いながらゼノは必死に両親の2つ名を思い出していた。


「思い出した!《双刃》だよ!《双刃》!」


「……は?」


ゼノが叫ぶ様に言うとルーゼンバーグが突然固まり、瞬間その腕から力が抜ける。ゼノは身を捩って脱出すると装備についた砂を払った。


「お……お前が《双刃》レイラとバッシュの息子……?」


ルーゼンバーグはそのままの体勢でゼノに問いかける。その目にはどこか負い目の様な……言い様のない恐怖のようなものが宿っている。


「な……なんだよ突然。つかなんで父ちゃんと母ちゃんの名前を……?」


そんなルーゼンバーグを不審に思ったのか訝しむように見つめる。

そして何か思い当たる節でもあったのかゼノも大きく目を見開いた。


「まさか…おっさん……」


震える声で問いかける。ルーゼンバーグは瞬間、自分の過去の薄暗い記憶へと沈んでいった。





頑張るんでブクマ、高評価、感想おなしゃす

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