強さを求めるその先に...
暇潰しにかいたものです。疲れましたw
これは、西暦1567年バーレー王国の一端のシャルバという村で生まれたウィザードの物語である。
今日で俺も15歳。素直に喜ばしいと言っていいだろう。何せ成人したのだから。俺の親父とは訳あって今は疎遠状態になっている。理由としては俺の名前に原因がある。
時は遡り10年前のことになる。「父さんカオスってどういう意味?」
カオスとはもちろん俺の名前だ。すごく悪そうな名前をしている。
「それはな勇敢な勇者になって魔王を倒すものという意味だよ」
今になれば嘘だと分かるがまだ5歳だったのでその時は信じていた。
夜、部屋で絵本を読んでいると"カオスドラゴン"と呼ばれる邪悪なる龍と呼ばれる存在が悪役として登場していたので疑問に思い父さんに問い直すことにした。
「父さん。カオスドラゴンと呼ばれる龍が悪役として登場しているんだけどもしかしてカオスって悪い言葉?」
すると返ってきたのは意外すぎる返事だったのだ。
「ふふっ、気づいたか、ついに気づいてしまったかこの我魔王ディアヴロスの息子であることに!」
意味が分からなかった。何せ答えになっていないのだから。だが親父が魔王であるはずがない。なぜなら魔族には角や目の色が赤色をしていることぐらいは知っていたから。今に思えば例外もいるのかもしれないが、親父が魔王だったら他の魔族の方々が不憫すぎる...
「すまん息子よ、ほんの出来心でつけた名なのだよ。」
このときから親父は何か病気を患っているのではないかと心配している。それから少し親父と疎遠になってしまったと言うことだ。と言うのは嘘で普通に魔術師としての遠征に出ていて疎遠なだけだ。
ちなみに母親は俺を産んでから衰弱して亡くなったそうだ。
あと半年後には魔法ギルドへの入団試験も控えていたので魔法の鍛練を日々続けていた成果か並みの魔術師以上の身体強化魔法だけは使えるようになった。平民にしてはすごいことだと思っている。
魔法ギルドにも種類がある。それは単に強さだけではなく、周囲の人気によるものもある。試験の方式は10ある内のすべての団長が試験会場に赴き、それぞれの課題をクリアして団長がそれを見て判断して推薦すると言うもの。俺が狙っているのは勿論現在トップのギルド漆黒のアビス団と言う如何にもな名前のギルドだが実力は本物だ。
俺が得意とする魔法は身体強化魔法だ。割りと地味目だがなかなかに使い勝手が良い。他の魔術師達は地味だとか、魔術師っぽくないと思っているだろうが俺的には強くなれれば何でも良い。身体強化魔法は自身の身体能力が上がれば上がる程強化に対する負荷に耐えることができ、割合で身体能力が強化されるので、身体強化魔法の割合上限も上げる事が出来、体力が付くので一石二鳥と言ったところだ。
普段鍛練には筋肉トレーニングを行い、常に身体強化魔法をかけてその負荷に耐えられるようにしている。そのため並みの魔術師なら30%が精々なのだが俺は身体強化魔法のみを鍛えているのでこの年にして50%まで上限を引き上げる事が出来た。それも精々20分がいいところだが。そんなこんなで俺は今日も鍛練に向かう。何故俺がそこまで強さを求めているかと言うと、特に理由はない。強くなりたいことに理由は要らないと思っている。強いて言うなら自分の身ぐらいは守れるようにしたいからかな。
今日は近くの森に行くことにした。ここは他の場所よりも魔物が多く住み着いていて鍛練にもってこいだ。早速目の前に3匹のケルベロスが現れた。
「ケルベロスか、少し骨が折れるがやるしかないか...」
ケルベロスはDランクの魔物に位置する。一匹なら何てことはないが3匹になると話しは変わってくる。長期戦は望めないので短期で決めにいこう。
「身体強化30%」そう声にだしケルベロスの間合いに入った。ところが流石に3匹ともなると間合いに入ってもなかなか致命傷を与えられない。ここは確実に1匹づつ殺っていくしかないか。「身体強化50%」そして一気にケルベロスの裏を取りまず1匹を仕留めた。
「裏を取っても興奮して声を出さないようにしないとな。位置がバレちまう。」そうして俺は同じように2匹も仕留めた。15のガキにしては上出来だろうと我ながら思った。そして月日は流れついにバーレー魔法学校の試験1週間前となった。
身体強化魔法俺も使いたい