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忘れ去られた英雄魔道士  作者: ゆあ
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子育ての準備

森で、双子の赤子を拾いました。

 あれから、とりあえず家に帰って見たものの、赤子が食べるものがないことに気づいた。いくら育児の経験がないと言っても、赤子が母乳か、それに準ずるミルクしか飲まないことは知っていた。そこで、少し遠出して町へ子育てに必要なものを買いに行くことに決めた。


 町へ行くには馬を走らせて、5日ほどかかるが、男は、腕のいい魔術師であるため、一瞬で行くことが出来る。ただ、双子が魔術に耐えれるのかは疑問だったが、無事に町へ着くことが出来た。


 町の通りは賑わっており、色々な屋台が並んでいた。しかし、屋台では目的のものが買えないことはわかっていたので、とりあえず、開けた通りの右の角にある、薬屋に行くことに決めた。ここの薬屋は夫婦で営んでおり、子供も3人いるので、先輩として話も聞けれればとおもっていた。


 木でできた店の扉をゆっくり開けると、ふくよかな体つきの笑顔が良く似合う奥さんが出迎えてくれた。


  ーいらっしゃい!どんな薬が欲しいんだい?おや?子連れかい?可愛いねぇ。


  ーこの子達の食べ物が欲しいんだが、この店で買えるだろうか?


 男の質問を聞いて、奥さんは驚き、そして笑った。


  ーこの店は薬屋さ!あいにく、子供のミルクやおしめは売ってないよ。もし、買いたければ向かいの店に行きな。あそこなら、町の中でも安く買えるよ。ところで、子連れで旅をしている人はあんまり見ないけど、もしかして最近引っ越しできたのかい?


 彼女の返事を聞いて、男は、またか、、、と思った。


 男が、彼女の家族と店について知ってるにもがかわかず、相手が男について知らないのは、男に忘却の呪いがかかっており、誰も彼を認識することが出来ないからだ。いや、正しくは、認識して会話もすることができるが、時間がたつとその会話も男の存在すら人は忘れてしまうのだ。


 その結果、男は、何度もこの町に来て、この薬局にも訪れているにもかかわらず、毎度、旅人なのか、引っ越してきたのかと質問されている。


 これは、子供を拾う時にも悩んだことだ。子供が男のことを寝て、起きる度にわすれていたら、起きる度に見知らぬ男が家にいるという恐怖をあたけるのではないかと悩んだのだ。しかし、それは子を見捨てる理由にはないことを知っていたので、結局育てることに決めたのだ。


 男は、めんどくさいと思いながらも、


  ー実は、嫁が亡くなった報告と娘たちを嫁の家族に見せるため、近くの村から…。これから、子供たちをどうやって育てていくかも、決めていこうかと。


 自分で作った設定にもかかわらず、思ったよりもヘビーな話になったため、奥さんの慰めと、子育てのアドバイスを受け取ったあと、暗い雰囲気をどうすることも出来ず、足早に店を出ていった。申し訳なく思いながらも、


  (まぁ、結局その会話も忘れるんだろうけど)


 と思い寂しくなっている自分に気づき、まだ忘れられることに慣れていないのかと、自分で自分を嘲笑した。


 その後、向かいの店で買い物を済まし、魔術で家に帰り、薬屋の奥さんのアドバイスにしたがって、赤子たちの世話をして、寝かせ、自分も寝ることにした。



 

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