序章
初投稿です。文章めちゃめちゃの亀更新予定。だいぶ長くなりそう。。
だだっ広い部屋に赤と金の絨毯、金やら銀で輝く壁、赤と銀のみで作られた寝台、ソファ、……。
沈岡、ムズ領の城の一角。
落ち着かないその部屋でダラダラ過ごしていた、何ともない平然な日。
の、はずだった。
「だから!俺はやんねーっつってんだろうがッッッ!」
「なんだっ、その口の利き方はっ!」
「……いいのだ。下がれ」 「っはッ」
怒鳴り散らす兄、止めようとする護衛、それを止める父、それに従う護衛。
そして、それを傍から見るように佇む俺。
ムズ城王室。赤と銀に張り巡らされたその部屋に俺が呼び出されたのは、ほんの二十分ほど前のこと。
「トウリ様、スズマ王がお呼びです。至急王室へ、とのこと。」
部屋に入ってきた一人の護衛にそう聞かされ、王室へと足を運ぶ。
無駄にでかい城、必然的に無駄に長い廊下。赤銀づくしの廊下を歩き続ける。
「んだよ、どうせ将棋だっつのに…………こんにちはぁっ」
「っトウラ様!きゃあ、トウラ様が私に挨拶してくれたわ!」
「何を言ってるのかしら、私に挨拶してくれたのよ!今日も最高にお美しいわ〜!」
「はぁ?!私ですわ!勘違いも甚だしいこと!」
「そっくりそのままお返しするわ!」
っぶね、バレたら大変だ……。
”品行方正で愛嬌があって可愛らしい、武道も勉学も秀でている美男子のトウリ様”。
世間一般に思われているイメージはこんなところ。
だから俺はその通りに演じる。
「あっはは……ご機嫌なようで〜」
足早にその場を去った。
「……あぁあ、うっざ。ぎゃあぎゃあうるせぇっつのクソ豚メイドが。なにがトウラ様、だよ。
スングんとこの視察なんて早いうちに切り捨てておきゃあいいものを。父さんは何を考えていられるんだろう」
早足で王室までたどり着くと、ノックをして入室。
「トウリです。入ります」
「おう、トウリ。遅かったな。ムルの横に掛けてくれ」
「はい、父上。」