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009.初クエスト?②

「師匠! どういうことなんですか!」


 シノさんの書斎に駆け込むテトラ。突然のことで、揺り椅子で微睡んでいたシノさんは、椅子からずり落ちそうになっていた。

 俺はテトラの走るスピードがあまりにも速く、全力疾走で必死に追いかけたため、呼吸困難に陥っていた。

 膝に手をつき、肩で息をしても全然楽にならない。次々に滴ってくる汗がうざったい。


「て、テトラ……落ち着け。ちゃんと、説明……しないと、わからないって……」

「そ、そうじゃぞ、テトラ。何がなんだかサッパリわからないのじゃ」


 何とか息を整え、テトラに声をかける。テトラのただならぬ様子に、シノさんも気圧されている。

 シノさんから事前にものの数分でギルドへの登録が終わると説明されていたのに、登録には錬金術の試験が必要と言われれば、動揺もしたくなるか。

 テトラは大きく深呼吸する。スッと彼女の顔に落ち着きが戻ってくる。彼女は身なりを整え、瀟洒なメイドの様な態度をとる。


「師匠。錬金術師ギルドへの登録の件について、お伺いしていた内容と違いました。全く違っていたと言ってもよいくらいでした。何故、私に嘘を教えられたのでしょうか?」

「え? どー言うことじゃ? ギルドへの登録なんぞ、推薦状とか紹介状を渡して終わりじゃろ」


 テトラの無言の圧。シノさんは助けを求めるように、俺を見る。

 錬金術師ギルドのマスターの口振りだと、どこかのタイミングで登録手順が変更されたけど、興味のないシノさんは覚えていないって状態だよな。非はシノさんにあることは間違いないけど、テトラの様子から察するのは酷だろう。


「えーっと、ギルドで登録手続きを行ったところ、ギルドマスターから諸事情があって、ギルドへの登録手続きが変わったって説明を受けました。シノさんは錬金術師ギルドの会合とか参加しないから、知らないかもって。俺の予想ではギルドから通達がきてもシノさんは全てをスルーしてたんじゃないですか?」

「むむ、そんな通達なんぞ記憶にないのじゃが……」


 眉を寄せあげながら、シノさんは揺り椅子から降りる。そして、高く書籍や書類が積み上げられた書斎の一角に移動する。シノさんが心底嫌そうな顔で、山の一部を指で突っつくと、ブワッ! と効果音が聞こえてきそうな勢いで埃が舞い上がる。


「し、師匠ッ! そこは私が掃除しようとしたら、断ったエリアじゃないですか! いつから埃が溜まっているかわからない場所を無造作に触らないでぐださい。換気を良くして挑まないと危険なんです」

「ゲホッ! ゲホッ! うざったいのじゃ!」


 パチン! とシノさんが指を鳴らす。するとドアと窓が自動で開く。どこからともなく風か吹き、書斎を通りすぎていった。舞っていた埃が一瞬で駆逐される。


「す、すげぇ……。魔術ですか?」

「理屈は近いが、違うのじゃ。これが錬金術の実力じゃ。妾の意思に従い書斎を換気するのじゃ。その場から一歩も動かずに動作するなどなかなか素晴らしいじゃろ」

「錬金術ってモノを作るだけじゃないんですね」

「魔術や錬金術に馴染みの薄い凛太郎に、分かりやすく説明するならば、魔術を物に付与すると言えばわかりやすいじゃろ。魔術師ではない者が魔術を発動したときと同じような効果を得ることが出来るのじゃ。使用者の意思が発動条件だったり、特定の条件だったり、常時発動したりと色々あるのじゃ」

「つまり、この部屋には、シノさんが錬金術で作った魔道具(マジックアイテム)が設置されていて、シノさんの意思で効果が発動するわけですか?」

「然りじゃ。正確には言うならば、部屋自体に錬金術で特殊な効果を付与しているのじゃ」


 なるほど、と俺は口のなかで呟く。

 前に特殊効果の付与も錬金術師の範疇ってシノさんは言ってたよな。その時は深く考えていなかったけど、錬金術は万能かもしれない。

 魔術を再現するアイテムを作れるし、馬車の荷台や"ワイルドベアーの巣穴"みたいに特殊効果のある空間を作ることもできる。魔術と錬金術がどう違うのかわからないけど、魔術より錬金術で作り出したアイテムの方が扱いやすい気がする。

 俺が錬金術に対して考察していると、シノさんは山の中から黄ばんだ封書を何通か抱えて戻ってきた。

 何年放置すれば、あんなに黄ばんだ色になるのだろうか。

 シノさんは無造作に封書を開いて、乱雑な手つきで中を取り出しては、流し読みをしていく。

 十数通目を手にした際、シノさんの動きが止まる。流し読みではなく、頷きながら中を丁寧に読んでいるようだった。

 シノさんは読み終わった後、ふぅ、と深い息を吐く。そして、珍しく引き締まった表情でテトラに向かい合う。


「今から四十二回ほど前の会合で、翌年から新規にギルドに登録する者は、手続き方法を変更するとあるのじゃ。粗悪品や偽物が市場に流通するのを防ぐためとあるのじゃ。錬金術師として一定水準以上の適正がない者を除外するためともあるの。……なんとケチ臭いことを決めたものじゃ。粗悪品や偽物を見抜いてこそじゃろ。適正なんぞねじ伏せる情熱が大事じゃろ」


 ブツブツと不満を口にするシノさん。会合の開催周期が解らないけど、年に十二回開催されていると仮定しても三年以上前。文句を言うには少し遅いですよ、シノさん。


「とりあえず、登録テストとして、初歩的なアイテムを錬成させて提出させ、品質を確認するとあるのじゃ」

「師匠は書類を提出すれば終わりって言ったじゃないですか。錬成した物を提出とか、一度も錬成したことない私には荷が重いです!」


 語尾を強めるテトラ。シノさんは呆れた表情で、肩をすくめてみせる。


「何を言っておるのじゃ。サクッと錬成して、提出して終わりじゃ」

「私は、まだ錬成をしたことがないんです」

「誰でも初めてのときがあるのじゃ。それがたまたま今であることに問題はないじゃろ」


 シノさんの淡々とした言葉に、テトラは絶句する。

 テトラには悪いけど、シノさんの言う通りだ。初めてのときは誰でも一度は経験する。だから、初めてだからは言い訳にはならない。

 シノさんは言葉を続ける。


「試験で錬成するモノはなんなんじゃ?」

「……初級ポーションです」

「素材について、全くわからないのかえ?」

「一般的に使われる素材なら、なんとなくわかります……」

「錬成陣はどうじゃ?」

「師匠が錬成しているところをみたことあるので、少しはわかります……」

「では、テトラは初級ポーションな錬成はできないのかえ?」


 シノさんの言葉にテトラは下唇を噛む。視線を落とし、ジッと床を睨む。

 どれくらい時間が過ぎただろうか、テトラは視線を持ち上げ、真っ直ぐにシノさんを見る。


「錬成、出来る……かも、しれません」

「うむ、では、素材を集めてくるのじゃ。凛太郎、直接関係はないのじゃが、テトラの手伝いを頼むのじゃ」

「うす。任せてください」


 そうして、テトラの初級ポーション作りが始まるのだった。


***


「うはっ! 視界が広ッ! さすが異世界」


 街を取り囲む城壁の外に出ると高い建物は一切なく、青々とした自然が広がっていた。

 俺が住んでいた地域は田舎だったが、見渡せば視界のどこかに人工物――電柱やアスファルト道路など――が入っていた。

 元の世界でも、開発が手つかずの地域に行けば、人工物がないんだろうけど、俺の心は軽く興奮していた。


「リンタロー、何をブツブツ言ってるのよ。知ってると思うけど、街道を外れると危ないから気をつけなさいよ」


 俺が後ろを振り替えると、メイド服に上半身を保護する革鎧を身につけたテトラの姿があった。籠手(ガントレット)とスカートから覗く脛当(グリーブ)は、金属製のようだった。

 さらに腰には鞘に収めたショートソードが下がっている。

 如何にも冒険者と言える格好ではないが、ファンタジー感が増して、俺の厨二病魂(こころ)が揺さぶられる。


「街の外に出るから危ないんじゃないのか? 街は壁で囲まれているから安全なんだろ」

「本気で言ってるの? まさか飛んでいる記憶に一般常識も結構含まれているの。……危険だわ」


 テトラは額に右手をあてながら、頭を左右に振る。ため息のおまけ付きだ。

 俺の発言はだいぶ良くなかったらしい。


「主要な街道には、魔物避けの結界が張られているわ。ただし、結界発生器(タリスマン)は、設置間隔や作成した錬金術師の技量による効果差異、マナが非活性化する朔日のときとか、百パーセント安全とは言えないけど」

「ほえー、そんな仕組みがあるのか。街道に魔物が溢れ返っていたら、物流が安定しないし、必要な仕組みか」


 ゲームだと、街の外は道だろうが森だろうが、魔物とエンカウントすることが多いので、新鮮だ。

 ふと、俺は自分の格好とテトラの格好を見比べる。

 そこで俺は、今更ながら重要なことを忘れていた。俺の装備は、"ぬのの服"のみだ。武器になりそうな物は何も持ってない。

 魔物と遭遇する可能性がある場所に行くのに、無装備すぎないか。レベル最大で、雑魚魔物からダメージゼロって、オチでもない気がする。


「ちょっと気になるんだけど、リンタローは、そんな軽装で大丈夫なの?」

「大丈夫じゃない気がしてきた。そもそもシノさんに買ってもらった日用雑貨以外、持ち物はないんだけどね」

「……そーだったわね。リンタローの装備にも気を回すべきだったわ」


 こめかみを指でつまみながら、何やら考えるテトラ。

 工房に戻ってシノさんに相談すれば、一番安い鎧とか買ってくれそうではあるが、今日の素材集めは中止だろうな。

 テトラは腰の後ろから、鞘に収まったナイフを外すと、俺の方に付き出してくる。


「今日、向かう場所は魔物の出現がほとんどない場所だから、このまま向かいましょう。でも、何かあったときに丸腰では危険だと思うから、私のナイフを貸してあげるわ。……思い入れのあるナイフだから、手荒に扱わないでね」

「あ、ありがとう」


 受け取ったナイフは思ったより軽い。包丁より重いけど、扱うのが困難というほどでもない。

 俺はテトラに視線を送り、鞘から出しても良いか確認する。テトラは小さく頷いて了承してくれる。

 ゆっくりと鞘から抜き放ったナイフ。刃渡りは、大きな定規より短い気がするので、十五センチメートル以下だと思う。湾曲刀で、内側に刃がついていた。鉈のようなナイフだ。手入れが行き届いているナイフにはくもりひとつなく、陽光を受けて輝いていた。


「……すっげーいいものじゃないのか? 俺が扱って大丈夫か?」

「特殊効果が付与されているわけではないから、そんなに高いものではないわ。ただ、小さい頃から使っているから、愛着があるのよ」


 フッ、とどこか遠くを見つめるような表情になるテトラ。なんとなく、それ以上、尋ねることは憚られた。

 俺はテトラがしていたような、受け取ったナイフをベルトの腰あたりに固定する。ぎこちないが、何度かナイフを鞘から抜いてみて、位置に問題ないかチェックする。

 ……よし、大丈夫そうだ。


「問題なさそうね。今日採取する素材は、カミーレ草。今の時期だと、タレハ草の二つになるわ。リンタローは、薬草に疎いと思うから、イラストを用意してきたわ。カミーレ草は、中央が黄色で白い花弁をつけた小さな花が特徴で、果物のような香りがするわ。タレハ草は、草丈が腰くらいあって、鋸のような葉をつけるわ。両方とも、よく見かける雑草に分類されるから、見つけるのには苦労しないはずよ」

「わかった。量はどれくらい必要なんだ?」

「持って帰れるだけ欲しいわ。一度で初級ポーションの錬成に成功するとは思えないし……」

「りょーかい。余って困るものじゃないし、採りまくるわ」

「期待しておくわ。あと、採取した薬草を入れる袋と円匙(えんし)を渡しておくわ」


 テトラから薬草のイラストを描いた紙と麻袋を二枚、円匙(えんし)――シャベル――を受け取る。


「少し街道を進んだ場所から、脇にそれた日当たりのいい平原で、採取するわよ」

「りょーかい。さっさと採取してしまおう」


 俺はテトラの後を追いかけるようにして、目的地に向かって歩き始めた。


***


「さて、どーしたものかな」


 テトラから手渡されたイラストを元に、初級ポーションに必要な素材を探しているわけだが、すぐに見つかった。

 テトラが"よく見かける雑草"と表現したのも頷ける。

 草原を見渡せば、群生しているところを何ヵ所もあたりをつけることが出来る。


「テトラ――って、いねーし。予想以上に機動力あるよな……」


 平原だけど、なだらかな丘って、感じの場所はあるし、草丈が腰くらいある場所もあるから、近くにいても見つけれない可能性があるけど。

 俺はテトラが大声を出せば聞こえる範囲にいると信じて、薬草の採取を始めることにする。

 まずはカミーレ草。集まってワサワサ生えまくっている。黄色と白で目立つので、遠目でもすぐわかる。


「問題は、どーやって採取するかだよな。どこが一番重要なんだろうか。花弁、葉、茎、根。だいたい分類すると四つだよな」


 ジッとカミーレ草を睨んで考える。とりあえず、円匙(えんし)てか、シャベルで掘り起こすか。根っこ付きで掘れば、たぶん大丈夫だろ。土を完全に取っちゃうと良くないとか、なんかで見た気がするので、土は軽く落とす程度にする。

 何株か抜いた後、何気なく麻袋の上に並べてみる。特に大きな違いはないように見えるが――


「なんか、コレは良さげな気がするな……」


 一株つまみ上げて、しげしげと眺める。日に透かしてみるけど、特に大きな違いはないと思う。でも、なんか気になる何かを感じるんだよな。


「リンタロー! 避けて!」

「え?」


 突然、テトラの声が響く。反射的に俺は身を前に倒すようにしゃがみこむ。

 ヒュッ! と風切り音が、俺の耳に飛び込んでくる。


「な、なんだよッ!」


 慌てて立ち上がり、身構える。睨んだ先には蠢く不定形な何かがいた。


「リンタロー、スライムよ。雑魚魔物だけど、顔に張り付かれたり、口から体の中に入られると危険だから。油断しちゃダメ」

「うへっ、窒息死とか寄生死とかノーサンキュすぎる。スライムって、倒せんの?」


 某ゲームだと、スタート直後のフィールドでエンカウントする文字通り雑魚魔物。だけど、作品が変われば強さも変わると言うか、極端に強さが違うんだよな。物理攻撃無効とか、レベル最大でも倒せないような特性がある場合もあるからな。

 うごうご弾んでいる水色がかったスライムを睨み付けながら、ジリジリと距離を取る。

 テトラが近づいてくる気配はあるが、スライムが次の瞬間、飛びかかってくる可能性はゼロじゃない。

 俺はスライムを刺激しない様に、ゆっくりと腰のナイフを引き抜く。持ち直す余裕はなく、逆手のまま、顔のあたりまで持ち上げて構える。

 次の瞬間、スライムの姿が霞む。


「右に飛んで!」

「ッ! どらぁ!」


 テトラの声に反射的に横に飛ぶ。次の瞬間、耳にチリッとした痛みが走る。その痛みで、スライムが飛び掛かってきたことを認識する。


「散れッ!」


 肩越しに後ろを確認すると、テトラが裂帛の気合いと共に、ショートソードを一閃。スライムが真っ二つになって霧散していた。

 ショートソードを振るテトラの姿は、素人目にも無駄がなく、洗練されているように見えた。


「錬金術師になるより、剣士とかになった方がいいんじゃねーの」

「……イヤよ。私は錬金術師なのよ」


 テトラは、ぶっきら棒に言い捨てる。俺、何かマズい事、言っちゃったのかな。

 警戒を解かないテトラのそばに移動しながら、俺はナイフを順手に持ち替える。

 テトラは目を細めて、周囲を射抜く様に見渡す。肌越しにピリピリとした緊張感が伝わってくる。ナイフを握る俺の手に汗が滲む。


「運が悪かったみたいだわ……」

「い、いきなり何なのさ。思わせ振りな台詞は心臓に悪いからやめてくれ」

「あと数体、潜んでいるわ。この平原は、ほとんど魔物の報告なかったはずなのに。リンタロー、運が悪い人?」


 横目で俺を見るテトラ。

 運の良さには自信はない。いや、異世界に飛ばされるなんてレアな体験をしているから、運が良いのか? いやいや、普通に生活して、死ぬ確率が圧倒的に高いのは異世界だ。運が良いとか思って誤魔化したらダメだ、俺。


「……俺の運は普通だ。いや、シノさんに保護してもらえたことを踏まえると、運が良いんじゃないか」

「そうだった。師匠と知り合えた時点で、豪運だわ。でも、それでリンタローは、人生の全ての運を使い切ってるかもしれないけど」

「……あり得そうだな」


 俺が肩をすくめると、テトラが小さく笑う。状況を考えると不謹慎だろうが、やっぱり笑うテトラは可愛いと思う。


「リンタロー、出てきたみたいよ」

「お、おう」


 草の茂みから、スライムが三体、飛び出してくる。某ゲームだと愛らしいスライムだけど、不定形で蠢く姿は不気味で気味悪い。

 ゴクリ、と無意識に俺は生唾を飲み込んでしまう。


「私が相手をするから、リンタローは戦わなくていいわよ。ただ、飛び掛かってきたときは、自衛して。ここのスライムは核を潰さなくても、真っ二つにすれば倒せる。体力が低くて、復元する前に力尽きちゃうから」

「りょーかい。飛び掛かってこないことを祈っとくよ」

「速攻で片付けるわ」


 次の瞬間、金髪をなびかせながら、スライムに突貫する。

 上段から一気にショートソードを振り下ろし、地面ごとスライムを切り裂く。一体がテトラに飛び掛かるが、体を捻りながらショートソードを一閃。

 ほんの数秒で、スライム二体が霧散した。

 すげぇ、と素直に見とれてしまう。


「――ッ! リンタローッ!」


 テトラの言葉に我に返る。

 残りの一体が、カラダを広げて俺に飛びかかってきた。テトラの体勢が悪く、動きがワンテンポ遅い。

 耳障りなスライムの雄叫びが、ゾワリと俺の恐怖心をかきたてる。


 やばい! やばい! やばい!


 時間がゆっくりと流れる。空気が身体にまとわりつくような感覚。

 俺は何かを口にしながら、ゆっくりと流れる時間の中で、苛立つほど遅いスピードで、ナイフを振るう。

 スライムが俺に振れる前に、ナイフを振り抜けた事を認識した瞬間、安堵感に俺の意識は途切れた。


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[良い点] 主人公がサポーターに回るというのは斬新で面白いですね。 ヒロインのテトラちゃんと良いコンビとして活躍するのが楽しみです。 [気になる点] 師匠であるシノさんの、のじゃ語尾が少々多いかな、と…
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