コミュ障吸血鬼、処遇を任される
更新が遅れて申し訳ありません。
タグに設定している通り、ネット小説大賞に応募しており、先日、一次選考の発表があったのですが残念ながら通っておらず、そのショックで他事に現を抜かして現実逃避をしておりました。
そのお陰で、今はもう立ち直りましたので、更新速度も週2に戻ると思います。
ですので、これからもお読みくださるようお願いいたします。
リオナと北村の人達の戯れを羨ましく思いながら見ていると、後ろから足音が聞こえてきた。
振り向くと、アンナが宙に浮いた巨大な灰色の煙り(?)のようなものの塊を連れて歩いてきていた。
それと、腰にはなにかが入った袋を複数ぶら下げている。
「お待たせ、ティアナ」
「……なに、それ……」
「あ、これ? さっきの吸血鬼を燃やした時に出た煙り」
燃やした!? あの見た目が僕より幼い吸血鬼を!?
相当怒ってたんだな……容赦ない。
「……じゃあ、そっちは……?」
腰に下げている袋達を指差しながら訊ねる。
「こっち? こっちは、あの吸血鬼の燃えカスを分けて入れてあるの。復活されたら面倒だから」
「……あ、うん……そう、なんだ……」
今は夜だからそうするのがベストだけど、ちょっと可哀想かなって思う僕は、甘いのかな……。
「ところで、あれはなにやってるの?」
煙りの塊を空に放って霧散させたアンナが、未だに戯れているリオナを指差しながらそう訊ねてきた。
「……戯れ……?」
「……まったく、ティアナをほったらかしてなにやってるんだか……」
そう言いつつも、リオナを止めようとはしないアンナ。
チラッと表情を見ると、少し呆れた感じだけど微笑んでいた。
どうやら、感動の再会に水を差す気はないらしい。
……あれ? アンナって、リオナに対してこんなに優しかったっけ?
あぁ、なるほど。
どんなに僕が最優先なアンナでも根は優しいんだ。
じゃなきゃ絶対に止めに行くはずだから。
あ、でも、今回だけ特別っていう可能性がなきにしもあらずか。
まぁでも、どちらにしろ優しさがあることに変わりはないんだけど。
「そうだティアナ。これ、あなたにあげるわね」
唐突にそう言いったアンナが、腰に提げていた袋達を僕に渡してきた。
えっ、僕に渡すの?
女王にじゃなくて?
「好きにしていいわよ? 復活させたいならさせてもいいから……あっ、その場合は私がきちんと躾るから言ってね?」
微笑みながらも言ってることはどことなく不穏なアンナ。
アンナが躾と言うと、躾以上の、恐怖を伴ったものな気がしてならない。
これ以上酷い目に遭うのは可哀想だけど、この状態なのも可哀想だし……迷うな。
「べつに今無理に決めなくていいのよ? ゆっくりと考えてくれればいいから」
僕の考えを読んだのか僕が顔に出してたのかは定かじゃないけど、優しくそう言ってきた。
うーん、復活させてあげたいけど勝手に復活させて問題になっても困るし……取り敢えず、帰って女王に相談してからにしようかな。
話せるかわからないけど。
そう思っていたところへ、リオナがこちらに戻ってきた。
「あっ、アンナ、戻ってたんだ! お疲れ様!」
……えっ? 今、なんて?
いや、聞き間違いか。
リオナが言うはずないし。
「お疲れ様じゃないでしょう? ティアナをほったらかしてどうするのよ? 村の人達との再会だから仕方ないとはいえ、もう私が言ったことを忘れたの?」
「そ、そんなことはないんだけど……みんなが全然離してくれなくて……」
「まぁ、私も見てて止めなかったから、今回はなかったことにするわ。でも、次はないから、覚悟しておくことね」
「わかった。それでアンナ、今後のことなんだけど……」
やっぱり、聞き間違いじゃないよね?
あのアンナのことを変態としかよばなかったリオナが、アンナのことを名前で呼んでるよね?
――僕がいない間に、二人の間になにが……?




