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コミュ障吸血鬼、衝撃の事実を知る

お待たせしました。

今回の展開に関しては、賛否両論あるかと思いますが、ご了承ください。


 その後、起き上がったリオナが、僕をベッドの端へ座らせてその隣へ座った。

 すると、リオナが鬱陶しいくらい自分をアピールしてきた。


「改めて、私の名前はリオナ。18歳。Gカップで、ウェスト59、ヒップ74。北にあった村、北村(きたむら)から来たの。家族構成は、今はもういないけど父と母、そして私の3人。こんな私だけど、これからよろしくね」


 一度聞いたはずの名前から始まり、年齢、あることに驚きだけどスリーサイズ、出身地、家族構成と続けざまに個人情報を述べるリオナ。

 おかしい……自己紹介なら言わなくてもいいことまで言ってる。

 というか、出身地〝北村〟って……日本人っぽい名前。

 しかも、スリーサイズって概念、この世界にもあったんだ。

 それも、そういう概念が行き届いてなさそうな国外れの村の人が知ってるなんて、不思議なこともあるもんだ。

 まぁ、統治してるのがあの女王(まだよく知らないけど)だし、きっちりやってるんだろう……たぶん。


「ねぇ、ティアナ、聞いてる?」

「!?」


 急に目の前にリオナの顔が現れたことに驚く。


「にゃ、にゃに……?」


 驚きすぎて噛んじゃった……。


「か、可愛い……! お願いティアナ、もう一回、もう一回だけ言って!」

「やだ」


 そう言った僕は、そっぽを向く。


「あぁもうっ、拗ねてそっぽ向くティアナも可愛い! 抱き締めちゃう!」


 いや、どんな理屈なのそれ?

 しかも、抱き締めた上に頬擦りまでしてきてるし。


「ティアナの顔、冷たいね。死体みたい」



 ――冷たくたっていいじゃない、吸血鬼だもの ティアナ



 じゃなくて、死体みたいって、それ軽く悪口だよね?

 確かに、体温が冷たくてこれ以上成長しないところは死体と同じだよ?

 でも〝死体みたい〟は無いと思うな。

 先に、某〝書の詩人〟みたいな文言が思い浮かんだけど、本当は傷ついてるから。

 というか、だんだんリオナの言動がアンナに似てきてる気がするんだけど、気のせいだよね?

 もしそうなら、これからリオナを〝アンナ2号〟と呼ばざるを得ない。

 というか、アンナが二人になったらキツイ。

 一人でもこっちの精神が削られるのに、二人になられたら今以上に精神がすり減っちゃう。

 絶対に相手にしたくない。

 めんどくさいにもほどがある。

 なんで僕の周りはちょっと変わってる人が多いんだ……。

 まぁ、あのゆるふわ神様からして変わってるから、今さらって感じだけど。

 そっぽを向いたまま考え事をしていると、リオナが僕の顔を覗き込みながら話し掛けてきた。


「ティアナ、私が悪かったから、機嫌直して?」

「……」


 根に持つタイプの僕が、すぐに機嫌を直せるはずもない。

 黙り込んで返事をせず、またそっぽを向く。

 すると、また僕の顔を覗き込みながら話し掛けてきた。


「どうしたら直してくれる?」

「……」

「……わかった。私の秘密を教えてあげるから、それで許して?」


 秘密? 気にはなるけど、許すかどうかは秘密の内容によるよ?


「私ね、実は勇者の末裔なの。今は魔族なんて存在してないけど、100年前までは魔王がいて戦争をしてたんだけど、魔族が強すぎてこのままでは勝てないと思った当時の国王が、異世界から勇者を召喚したの。その勇者が、私の祖先である〝北村隼人(きたむらはやと)〟」


 北村? 北村って、もしかして……。


「魔王を倒し、魔族を絶滅させた勇者は、その強さから次第に人々から〝次の魔王になるのではないか〟と噂され始めたの。勇者はその事を国王に話して、今の北村がある場所に行って村を作り、一緒に魔王討伐に向かった仲間達と一緒に暮らすようになったの。村の名前はその時に決めたんだって。国の北にある村なのと、勇者の名前が北村だから、〝北村〟って」


 やっぱり〝北村〟ってそういうことだったんだ……。

 というか、それ絶対仲間の人達が決めたでしょ。

 普通、自分の名前を村の名前にしたりしないはずだから。

 よほどのナルシストか強靭な精神の持ち主じゃないと、村の名前に自分の名前なんて付けない。



 ――と思うのは僕だけ?



「勇者の末裔である私達も、子ども一人ですら魔物の軍勢を圧倒できるくらい強いんだけど……吸血鬼には、勝てなかった……」


 急に言葉が途切れ途切れになったことに驚いて、咄嗟に隣にいるリオナを見る。

 そこには、顔を俯かせ、拳を震えるくらい握りしめて悔しそうな顔をしているリオナがいた。

 どうでもよくなったと口では言えても、やっぱり、悔しいものは悔しいよね。

 そう思っていると、リオナがパァンッと自分の両頬を叩いた。

 そんなリオナを、唖然と見詰める。


「あ、気にしないで。気合いを入れ直しただけだから」


 いやいや、発砲音みたいに大きな音だったよ?

 それに、ハムスターが餌を頬張ったみたいに頬が腫れてるから、めちゃくちゃ気にするよ?


「……ちなみに、なんの、気合いなの?」


 恐る恐る訊ねる。

 すると、リオナは、満面の笑みを浮かべてこう言った。


「なにって、村の人達の敵討ちに決まってるでしょ?」



 ――全然どうでもよくなってないじゃん……!?




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