何もしなかった悪役令嬢
いつだってリリー・グラジラートは見ているだけだった。悪さをする事も悪口を言う事もせずに、いつも崩さない小さな笑みを浮かべてそこに居るだけ。たとえ、リリー自身について悪口を言われようと紅茶をかけられようと何もしなかった。それだけならば、リリーはまるで誰のことも恨まず憎まずの聖人君子のように聞こえるだろう。実際は違うと、リリーははっきりと否定できる。
それはとても幼かった頃。リリーは前世なるものを思い出した。そして、理解した。私は、所謂物語の構成上必要な悪役という奴で、私は両親の不正とともに自らの主人公への悪行を裁かれるのだ、と。勿論、リリーはそんな事になるなんて嫌だと思った。処刑まではいかないが、国外追放。断罪される年齢は十七歳。そんな小娘が何も知らない異国の地で、おそらくこれでも伯爵家の令嬢なのでこれからも知ることは無いであろう地で、誰の助けも無いまま生きるなんて出来るはずがない。
兎に角、今のままでは駄目だと行動を起こした。護身術でも学ぼうと思い両親に願ったが、その願いは受け入れられなかった。その代わり、優秀な家庭教師がついた。必死で学んで考えて出した答えは、断罪されるしかないのだろうな、という事だった。
グラジラート家の不正を知ってしまった。どれだけ両親が法に触れているのかを理解してしまった。そのせいで多くの人々が苦しんでいるのかを思ってしまった。
幸いにして、リリーは、主人公を虐めさえしなければ爵位剥奪のみで平民になるだけで済む。前世は一般市民であるリリーにとって、平民になるくらいならば生きていけるだろう。
両親を止められるかと言われれば、止められないとリリーは答える。何故なら、娘だから。子は親に逆らえない。この世界では当たり前のことだ。止められないのならばせめて、来るべき断罪の日におとなしく断罪されよう。法を犯す両親が悪である事は明白であり、それを知っていて止めないリリー自身にも罪があるのだから。
ある日、両親が一人の男の子を連れて来た。お父様曰く「次期当主とするために連れて来た」らしいが、恐らく隠し子だろう。数年前に侍女が一人辞めていったという噂を聞いたので、その元侍女が母親だろうか。セシルというまだ七歳の男の子は、可哀想なことにお父様に目元が似ていた。
セシル・グラジラート。リリーは彼のことをよく知っていた。正確には彼の未来を知っていた。主人公の可愛らしい令嬢に恋をする者のうちの一人だ。恋愛シミュレーションゲームの中で彼は飄々とした美しい青年として登場するのだ。幸いにも、お父様似の目元は神秘的な雰囲気を醸し出すことに一躍買う。お陰で彼は、人気攻略対象だった。
お母様がセシルに意地悪をするのを見ていた。使用人達がお母様の側について、セシルのご飯を減らしたり物を奪ったりするのを見ていた。お父様がそんな彼を助けず、しっかりしろと怒るのを見ていた。
知っていた。だって、セシルのあの飄々として、けれど他人とは一線を引いたような性格は、幼少期からずっとお母様と使用人に虐められてきたからだった。その荒んだ心を主人公が癒す事で恋に落ちるのだ。
セシル・グラジラートは、前世からのお気に入りだ。今でも、お気に入りである。それなのに助けないのは、別に彼の幼少期にこの経験が必要だからではない。自分は自分が一番可愛いのだ。少なくとも、リリーはそうだ。だから、知っていてリリーは助けなかった。お母様を止めることも、使用人を叱ることも、セシルを慰めることもしない。セシルとたった三ヶ月しか歳の違わない少女が何をしたって無駄であろうし、なによりも、お母様を敵に回すなんて恐ろしくてできなかった。
十五になった時、学園へと入った。セシルと共に行きたいと言ったのは、護身術を習いたいと言った時以来の我儘だった。なにせ、両親の中ではセシルは学園にいかない予定だったのだ。それでは物語が始まらないので焦った。何よりも、セシルが学園にいなければ我が家の断罪が無くなってしまうと思ったのだ。
学園で見かけた主人公は、画面で見た時よりも可愛らしかった。頭もいいらしく、正義感が強い。しっかりしていて、これなら未来の王妃でも公爵夫人でもなんでも任せられるだろうと思った。この国は安泰ね、と。
それぞれの攻略対象に一人ずついる悪役令嬢は主人公への嫌がらせに忙しそうに駆け回っていた。彼女達への罰は家が不正を働いているリリーの罰よりも軽いので大丈夫だろう。なんだかんだ言って主人公と仲良くなる者や実は騙されて操られていただけで後悔し謝罪して済む者もいるのだ。そんな事を思いながらその様子を見ていた。
今、目の前にいる彼ら、彼女らは、リリーを断罪しに来たのだ。その中には勿論セシルもいて、きっと彼はリリーを恨んでいるのだろう。これから起きる事は、リリーの悪行の追求。リリー自身は動いていないので、リリーが言い訳をして終わるのだろう。人ごとのように思いながら紅茶を飲む。あぁ美味しい。
王太子が前に出て口を開いた。
「貴女は、恐らく何もしていないのでしょう」
思っていた言葉とは違うことに驚きつつ自らも口を開く。
「えぇ。私は何もしていませんわ」
「けれど、見ていた。貴女は、リサーナを助けなかった」
「そうですわね」
紅茶を一口飲む。悪役感は出ているだろうか。
セシルが王太子の横に立った。そこには、画面で見たような飄々とした笑みはなく、真剣な表情をしている。
「姉さんはいつだって見ているだけだよね」
「……」
「リサーナへの嫌がらせを見ているだけだった」
「そうね」
「それは、何故?」
「そうねぇ、私は私が一番可愛いのよ」
いつものにこりとした作った笑顔を浮かべる。
「リサーナさんを助けて、私に何か利益があって? 彼女へ嫌がらせをしていたのはそちらにいる公爵様のご令嬢や隣国の姫君。私はただの伯爵令嬢。目を付けられたらひとたまりもございませんもの」
そう。主人公へ嫌がらせをするのは、リリーよりも爵位が高い令嬢。悪役令嬢の中で、リリーが最も身分が低いのだ。
「それに、私がセシルに近付いたら、私がお母様に嫌われてしまうわ」
セシルは真剣な表情で静かにリリーの言い分を聞いていた。
悪役だった令嬢達が前に出て、口々に言う。
「私達は反省致しました。それ相応の処分を受ける覚悟がありますわ」
「貴女に反省はないの?」
「リサーナ嬢へは無いかもしれないわ。けれど、セシル殿にはあるでしょう?」
「貴女はセシル殿のされていた事を酷いことだと理解しているのでしょう?」
確かにそうだ。お母様がしていた事を酷いことだと理解している。けれど、できないものはできないのだ。反省といえば、リリーにもっと力があれば良かったのにとか、少なくとも努力していればとかだろうか。一つだけ言わせて貰えば、その努力はセシルが来る前にして、そして心折れたのだと言いたい。
公爵家のご子息が前に出る。
「貴女個人には処罰はないでしょうが、グラジラート伯爵家には別件で処罰があります」
告げられる言葉は、ずっと待ちわびていた言葉。
「グラジラート伯爵家は不正行為を行っている事がわかってきました。確かな証拠は見つかっていませんが、それも近日中に見つかり、処罰として爵位剥奪は免れないでしょう」
やっと、やっと終わるらしい。あの家の不正が。そして、あの家の持っている領地はきっと、もっと良い領主の元で管理され、領民は幸せになれるのだ。
口元に笑みが広がる。頰が自然と上がる。その様子に、その場にいる全員が目を見開く。リリーは今まで誰も、もしかしたらリリー自身も見たことがないほど、幸せそうに満面の笑みを浮かべていた。
「お父様の書斎にある机の鍵付きの引き出し。そこに不正に関する書類が入っている筈ですわ」
「何故その情報を言うんだ? 貴女の両親が処罰を受ける事が決まったようなものだぞ」
「ずっと待っていたんですの。我が家が処罰されるのを。我が家の不正を知った五つの時からずっとですわ」
「知っていたなら何故行動しなかったの?」
叫ぶような主人公の声が響いた。彼女の方を見ると、目に涙を溜めて怒りに拳を握っている。
「知っていたのなら何か出来た筈だよ!」
「出来なかったのですよ。私には、何も出来なかったのです」
「そんな筈ないわ!セシルが言っていたもの。貴女は両親に愛されていたって」
愛されていた? あんなものが? それは、愛という言葉に失礼だ。いや、違うのかもしれない。
「確かにそうかもしれないわね」
そうだ。両親はリリーを愛していた。大事に、大切に育てた。だって、
「使い勝手の良い道具を人は愛するでしょう?」
*
幸せそうに笑う姉を初めて見た。そして、まるでなんでもないことかのように自分を道具扱いする姉に言葉を失った。
「……道具?」
リサーナの震えるた声が横から聞こえてきた。
「そうよ」
「それは、政略結婚の、ですの?」
シュレディンガー公爵家の令嬢、エリザベス・シュレディンガーの声もまた震えている。
「そうね。それが一番の使い道かしら」
対する姉の声は震えてはいなかった。むしろ、いつも以上に明るい。
そこまで考えて気づく。「一番の」ということは別の使い道があるという事だ。
「言う事をよく聞く従順な子で、良い縁談があれば政略結婚に使うのでしょうね。出来が悪くても縁を繋ぐだけなら政略結婚に使うかしら?」
「……言う事を聞かなければ?」
自身の口から出た言葉は震えていた。
「盗賊に襲われたように見せかけて、闇市で売り払うとかかしら。貴族に見られては不味いから高級娼婦じゃなくてそこらの娼館がいいところね。お父様の事だし、お金になって良かったくらいには思うのでなくて?」
スラスラと姉の口から語られる言葉に令嬢達が青ざめていくのが見える。殿下の顔色もどこか青いように見えるので、セシルの顔もまた青いのだろう。
姉さんはずっと考えていたのだろうか。逆らったらどうなるかをずっと。あの人達に愛されて、笑っていて、いつも直接は動かず、見ているだけの姉さんは最悪の状況を考えていたのだろうか。
「私ではあの引き出しの鍵を手に入れることも、書斎に入ることすら出来ないわ。勿論、やろうと思えば出来たでしょうけど、見つかって取り上げられて誰にも渡せず、証拠は暖炉の火にくべられて灰になるでしょうね」
「では、セシルを助けなかったのは……」
「セシルがグラジラート家を恨んでくれれば、セシルは自力で不正に辿り着くでしょう? 現に辿り着いているわ。ただ、我が身が可愛かった事が一番の理由ね」
ずっと自分が可哀想だと思っていた。生まれてきただけで、そこにいるだけで、ここまでの仕打ちをされなくてはいけない程、自分は何かしただろうか、と。けれど、違ったのかもしれない。自分が、ではない。姉さんもまた可哀想な人だったのだ。
自然と口が開く。
「貴女は、助けて欲しいとは言わなかったのですか」
二年あった。この学園に来て、あの人たちよりも爵位の高い人間に会い、あの人たちに知られず親しくなる機会が山ほどあった。姉さんは社交ができない人ではない。けれど、姉さんが誰かと親しいと言う噂を聞いたことは無かった。
「何故、助けてと言わなくてはいけないの?」
「何故って……」
「セシル、私は助けて欲しいなんて思った事ないわ」
姉さんはそう言い切った。
いつになく真剣そうな顔で姉さんは言う。
「私は知っていたの。全て知っていたのよ。知っていて何もしなかったの。強いて言うなら見ていたのよ。これは、罪よ」
しっかりした意思のある姉さんの声が沈黙の中に響く。
「罪には罰が必要だわ。私は、罰を受ける必要があるのよ」
どこか嬉しそうな声で姉さんは続ける。
「領民は、お父様とお母様を許しはしないでしょう。そして、何をしたわけでなくても、傍観者でいた私を、領民は許しはしないわ。セシルも私を恨むでしょう。リサーナ嬢も助ける事ができたのにしなかった私を少なからず恨むわ。だって貴方達には恨む権利があるもの」
「それに、私が平民になったらあの人たちから逃れられるかもしれないでしょう? 私はそれだと幸せになってしまうだけだから、貴方達も領民も私を怨んでいて良いのよ」
それで良いのよ、と笑う姉さんはとても美しかった。
あれから数週間経った。不正行為の証拠は姉さんの言った通り書斎にある机の鍵付きの引き出しの中にあった。グラジラート家は爵位を剥奪。当主とその妻は牢に入れられ、姉さんは平民として生きることになり、セシルはシュレディンガー公爵家の養子となって王太子殿下の側近となった。
処罰の内容が決まる前に姉さんと殿下とセシルは話す機会があった。殿下は、「もっと早くに不正に気づいていれば貴女は罪に問われることも苦しむこともなかったのに」と言った。恐らくはっきりと謝罪するわけにはいかない殿下なりの謝罪だったのだろう。姉さんは笑って「お父様もお母様も悪知恵は働くから仕方ないわ」と殿下を許した。姉さんは誰かを恨むことは無いのかと聞くと「実はね」と語り始めた。
「私、平民も悪く無いと思うの。私ね、自分で料理を作ってみたいの。それに街に出て、食べ歩きというものをしてみたいわ。他にもあるのよ。あ、後ね、平民は好きあったもの同士で結婚するのですって。私、本で読んだもののような恋がしてみたいわ」
嬉しそうに笑う姉さんは幸せそうで、まぁいいかと思ったのだ。とりあえず、貴族も最近では恋愛結婚が主流であるというのと、恋をする前に相手を教える事と言っておいた。姉さんは素直に頷いてくれたのだが、殿下からは「恋をする相手を事前に教えることは難しいのでは」と言われた。でも、姉さんをよく分からない男に奪われるなんて嫌なので仕方ない。
殿下はリサーナ嬢と正式に婚約を結ばれた。その時は姉さんもいて、この国は安泰ね、と言って祝福していた。シュレディンガー公爵は姉さんに一度だけ会ったことがあったらしい。まだ姉さんが六歳の時だそうだ。必死で不正行為について伝えようとする姉さんの言葉を子供の戯言と信じなかったと彼は言い、姉さんに頭を下げた。姉さんはそれも笑って許した。
シュレディンガー公爵家には温かく迎え入れられた。そこで、姉さんの話になった事がある。
「ねぇ、セシルはリリー、貴方のお姉様を恨んでいるの?」
エリザベス嬢にそう聞かれたのだ。
「恨んではいないよ」
「何故? だって、リリーは恨むだろうと言っていたじゃない」
「姉さんはね、勘違いをしているんだよ」
「勘違い?」
「そう。姉さんは俺のことに関しては、直接では無いけれど助けてくれているんだよ」
いつも見ているだけの姉さんは、セシルがいじめられている時だけ自ら両親に話しかけるのだ。まるで、セシルからリリーに両親の興味を移して、セシルを守るかのように。
「貴方、リリーのこと大好きなのね」
「え? 何故わかったんだい?」
「リリーの話をしている時が一番幸せそうだからよ」
そのうち「姉さんと結婚します」なんて言ってもおかしくないわね、と言ったエリザベスにはありがとうと言っておいた。とても良い考えを思いついたのだ。
目の前にある扉を叩く。姉さんの家の扉だ。屋敷とは違って狭いそこに姉さんは楽しそうに生活しているらしい。
扉が開いて姉さんが顔を覗かせた。
「セシル? 何故ここに?」
「姉さんの様子を見に」
「そう。とりあえず中に入って?」
「ありがとう」
姉さんの家には生活感があった。あの屋敷の姉さんの部屋にはなかったものだ。
紅茶を淹れようと台所へ向かう姉さんを呼び止める。そして、用意しておいた花束を差し出した。
「姉さん。俺、姉さんのこと好きなんだ。愛してる。だから付き合って」
目を丸くする姉さんの頰は赤く染まっていて、少し口元がにやけているところから嬉しいのだろう事がわかる。姉さんは姉さん本人は気付いていないが、かなりセシルの事が好きだ。以前「気に入っているの」と言われた事があるが、姉さんが気に入ったというものを他に見たことも聞いたこともない。つまり、きっと、姉さんはセシルが大好きだ。この告白はきっと上手くいくだろう。エリザベスの言葉にはもっとしっかり感謝をしなければいけないなと思った。
*
恨まれているはずの弟に「愛している。付き合って」と言われたらどうしたらいいのだろうか。前世の経験を持ってしても対処出来ない事態に焦る。
「セシルは、私を恨んでいたのではなくて?」
「何故? 姉さんは俺を助けてくれてたよ」
いつのことだ。助けた覚えなんてない。セシルにご飯をあげたこともセシルを庇ったこともない筈だ。
「あれ? 無意識? 姉さんは、俺がいじめられている時だけ自分から両親に話しかけていたじゃないか」
そういえば、そうかもしれない。お母様を呼んでみたり、お母様やお父様の事を褒めたりしたのは、きまってセシルが両親の前にいる時だ。
恥ずかしい。顔が熱い。鼓動が速くなっている事がリリー自身にもわかった。そして、焦ってボロを出す。
「セ、セシルは私の弟でしょう? 近親婚はこの国では禁止だわ」
「その事だけど、姉さんと俺は血の繋がり無いよ」
「へ?」
「俺の生みの親が、俺に目元が偶然にもあの男に似ていたから伯爵家に俺を押し付けたんだ」
告白する前にセシルはこの事について調べたのだろう。そして、この質問が来ると分かっていてあっさりと答えたのだ。焦りが酷くなる。どうしたらいいのだろうか。ずっと、前世を思い出した時から諦めていたことを諦めなくて良くなった。私の愛するセシルを諦めなくて良くなってしまった。
こんがらがる頭。でも、だって、セシルからは恨まれている筈で、あれ? 恨んで無いのだっけ? でも、セシルは弟で、けれど血は繋がってないらしくて、だけど、セシルは今までずっと弟な訳で、……。
「姉さんはこんがらがっているけれど、これ結構簡単な話だよ?」
「ふぇ?」
突然話しかけられて思わず変な声が出てしまった。
「姉さんは俺のこと好き?」
「す、好きよ」
「愛してる?」
「あ、ああ、愛してるわ!」
「じゃあこれから恋人って事で」
「……」
「恋愛してみたかったんでしょう? よかったじゃないか」
「? そうなの?」
「そうだよ」
「そ、そう。よかったのね」
とりあえず、前世から大好きなセシルから恨まれてないのだから、とっても幸せね。
*
なんだか丸め込まれたように恋人になったリリーとセシルが幸せそうに料理を作ったり、二人で買い物デートをしたりするのはその翌日の話。そして、エリザベスがオロオロとしながら公爵家へ連れてこられたリリーを見て目を見開き、王太子とリサーナが結婚するより先に結婚して、なんだかんだリリーとセシルが一番幸せそうになるのはそう遠くない未来の話である。