表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
碧き舞い花//並行譚  作者: ユフォン・ホイコントロ  訳者:御島いる
4/13

//4

「ズィプは……ンベリカの方に行ったみたいだね」

「あいつが一番近しいからな。好きにさせればいい。俺たちはあっちだ」

 エァンダはサパルと共に大きな穴を背にする居住区に目を向ける。

 サパルが納得した声を洩らす。「関所を通らないのはあれのせいか……」

「だろうな。閉められるか、サパル」

「そうだな……僕たち二人、本調子じゃない者同士じゃ時間がかかる」

「エレ・ナパス保持してもらってるからお前が力出せないのを責める気はないけどなぁ、俺はもう完全復活してんだよ」

「嘘吐くなよ。右手に力、どれだけ取られてる。ここに来る前、まだ足手まといになるかもしれないって考えてたん――」

「あーあー、ないない」エァンダは包帯の巻かれた右手を大袈裟に振る。それから真剣な光を帯びたエメラルドを友に向けた。「平気だよ、サパル」

「エァン……」サパルは溜め息交じりに友を呼んでからふっと笑みを浮かべた。「まあ、僕もこの状態で戦いに来てるわけだしな、お互い様か」

「行くぞ」エァンダはタシェを抜いた。「とりあえず穴を目指す。閉じられなかったとしても、敵を止めることはできる」

「だな」

「っと、その前に、サパル」

「なんだ?」

「髪、まとめるもん持ってないか? ばらけてると重心が小刻みにぶれて困る。一本にしたい」

「切ればいいだろ」

「切り落とした髪が悪魔になったらどうするんだよ」

「そんな馬鹿なこと…………わかった」

 サパルは鍵束から一本の鍵をもぎ取って、エァンダの後頭部に向けて回した。すると多くの支流に分かれていたエァンダの流水のような髪が、螺旋状の金輪で一本に括られ大河となった。

「重くないか?」

「問題ない。助かる(クュスィ)


 互いに心配し合っていた二人とは思えない。圧倒的だった。

 エァンダとサパルは大勢の黒の雑兵たちをあっけなく蹴散らし、大穴の前まで辿り着いた。

 エァンダは肩を竦めた。「『夜霧』ってのは本当に異空の脅威なのか?」

「強い戦士をケン・セイさんたちが相手してるからだろ」

「言われなくてもわかってる、冗談だ」

「だろうね。でもふざけてられるのもここまでだ」

「それも言われなくてもわかってる」

 重みのある口調で、目も真剣そのもの。エァンダは黒き穴から出てきた全身を鋼で着飾った敵に向かってタェシェを構えた。

「援護、頼んだぞ」

「もちろん」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ