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ゼィロスに頼まれ外の世界へ出ている評議会の仲間たちを訪ねることとなったユフォン・ホイコントロ。彼が真っ先に向かったのは、愛してやまないセラフィが彼女自身よりも強いと認めている人物と、幼き日を共にした人物がいる場所だ。ついでにしてしまうのは申し訳ないところではあるが、賢者たる器を持つもう一人の人物もいる。
「エァンダさん、ズィー、サパルさん」
二人の渡界人と一人の鍵束の民が、一斉にユフォンの方を向いた。
エレ・ナパス復活のために動く彼らがいるのは、古くは『異空の賢者』ゼィロスの密かなる活動拠点だった世界。小さな森と小川、そして小屋しかないアズだ。
森の中、ビズやキャロイの眠る墓前でナパスの民の故郷を戻すために励んでいた彼らの手を止めてしまうことに若干気が引けながらも、ユフォンは落ち着いてかつ性急に用件を伝えた。
「なんだよ、それっ!」ズィーが吠える。「こんなことしてる場合じゃねぇじゃん。すぐ戻るぞ!」
「そうだね、急ごう……ん? どうしたエァンダ」
エァンダはズィーやサパルとだいぶ温度差があった。冷静では片付けられない深刻な雰囲気で黙り込んでいる。サパルに呼ばれたことでようやく「ああ」と応えるしまつだ。それでもどこか上の空で。
ユフォンはどことなく不安になり尋ねる「大丈夫ですか?」
「ああ」とまた上の空、かと思ったらはっとなってユフォンの目を見た。包帯を巻いた右手を数度開閉するのを見せる。「ああ、大丈夫だ。心配ない。充分休めてるしな」
ユフォンは不安を強引に拭い落す。「そうですか……」
「それより、セラはどうしたんだ? スウィ・フォリクァにいないじゃないか」
「え? そんなはずは」
「別の世界にいたとしてもお前なら探れるだろ、エァンダ」
「あぁっ! いいからそういうのは! 戻っぞ! セラなら大丈夫だって! あいつが簡単に死ぬわけねぇし、どこ行ってもなんとかするって! だから、行くぞ!」
「あ、ああ……そうだね」
「ま、ズィーが言うならいいか」
「……ははっ。じゃあ、僕はこれで、他にも行かないといけないから」
「ユフォンが無駄足になるように、すぐ終わらせてやるよ!」
揚々と、だが芯が真っ直ぐと通った声で言ってズィーは親指を立てて見せた。
「ははっ!」ユフォンは笑みを返す。「そうしてくれ、ズィー」
「おいズィー急ぐぞ」エァンダが真顔で抑揚なく言った。
「んなっ! くっぅう……」
ズィーは地団駄を踏みそうになるのをぐっと堪えて紅き閃光を伴って消えた。それに続いてサパルの肩に手を置いたエァンダが飄々と鮮やかな群青の花を散らした。
「さて、次だ」
そうしてユフォンも次の地へ向かったのだった。




