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架空世界の架空憲法① 987年王国統治法

作者: ワタコウ勅令




打ち切りになった旧作「魔女よ 女王陛下を護り給え」、現在書き溜めているリメイク作「魔女は女王陛下の仰せのままに」に登場する架空の王国「ブリジェンド王国」の憲法です。保管場所に困ったので、こちらで公開させてもらいます。実在の君主国憲法のごちゃ混ぜなので、比較憲法学を嗜む人間には既視感満載かもしれません。これを活用できる作品を完成させたら、逐条解説とかしてみたい。





           987年王国統治法(ブリジェンド王国憲法)


                                                  

                   序文


一つの大きな島と他多数の島から形成される我が国は、偉大なる父祖達が血と汗、涙により建国した。長大な歴史と文化を誇る我が国は永遠であり、その統一性及び永続性は国民統合の象徴により保障される。我が国は以下の国是を実現する為に、この王国統治法を国民の名の元に制定する。我が国は国際社会と連携し、正義と平和を希求し、自由と民主主義の実現を不断の努力によって、これを擁護する。また我が国国民は互いに尊敬と配慮をもって、多様性と共に生きる事を決意する。また将来の世代への責任を自覚し、自己の良心に従い、行動する。

                                       


                第一部 主権在民


第一条 

ブリジェンドにおける全ての公権力は、国民に由来する。ブリジェンドの民主主義は、自由な意見形成並びに普通選挙権及び平等な選挙権を原則とする。

民主主義の実現は代議制民主主義及び地方自治によって為されるものとする。


第二条 

ブリジェンドの国家元首の地位は主権の存する国民の総意に基づかねばならない。




                第二部 王

                  

第三条

ブリジェンドの国家元首は国王又は女王である。その地位はデバイパース家の王位継承者が世襲する。王位継承順位及び摂政の選出は王位継承法及び摂政諸法でこれを定める。

国王又は女王がブリジェンドを離れる場合、又は執務不能である場合は摂政が代行する。

国王又は女王の執務不能は内閣が議会に報告し、議会の議決を持って宣言される。

                    

第四条

国王又は女王は大協約及び本法の条文を遵守し、王国を統治する。



第五条 

国王又は女王は国民統合の象徴であり、国家の統一性及び永続性を象徴する。



第六条 

国王又は女王は神聖にして不可侵な存在である。

よって国王又は女王を、民事及び刑事上の責任を理由として訴追することはできない。



第七条 

国王又は女王は国家の諸機能を調整し、機能させる権能を有する。

但し第四条を逸脱する事はこれを認めない。



第八条

国王又は女王は国家元首として外国の元首、大使及び公使を接受する。

また国内外でその他必要かつ適切な外交を行う。



第九条 

国王又は女王は政治的、宗教的、民族的、地域的、人種的観点から中立であらねばならない。



第十条 

国王又は女王は国務大臣より国の状況について、定期的かつ必要に応じて報告を受けなければならない。



第十一条 

国王又は女王の財産の接受及び処分については、王室経済法が定める議会の議決を要する。

また国王又は女王は本法が定める行為に必要な額を、毎年国庫から給付金を受ける。



第十二条

国王又は女王は議会の同意を得ずに、他の国家の国家元首になる事は出来ない。



第十三条 

国王又は女王は本法が定める場合を除き、政府の所在地から離れる事は出来ない。 



                                                  第二部 内閣


第十四条 

国王又は女王は統治を行う為に内閣を組織する。

内閣は国王又は女王の統治に関する全ての行為に責任を負う。

また内閣は国王又は女王の統治に関する全ての行為に助言を与え、承認を行う。



第十五条

国王又は女王が裁可した全ての法律及び勅令は、内閣総理大臣、国務大臣又は国務副大臣により副署される。


                  

第十六条 

内閣は内閣総理大臣及びその他国務大臣で構成される。内閣の構成は法律でこれを定める。

内閣を構成する国務大臣は庶民院又は貴族院議員の資格を有する者であらねばならない。

                       

                   

第十七条 

内閣は合議制であり、閣議によって政府の一般政策を協議し、及び決定し、並びにこれらの政策の調和を促進する。


                   

第十八条 

内閣は以下の権能を有する。


一 法律を誠実に執行し、一般行政事務を遂行する事。

                      

二 外交及び国家の防衛に対して、必要かつ適切な行動を取る事。

                      

三 条約を締結する事。但し条約の締結には事前又は事後に議会の同意を得る必要がある。

                      

四 財政法案(予算)を作成して議会に提出し、執行する事。

  執行に関しては、独立した会計検査院による監査を受けねばならない。

  会計検査院の組織及び権限は法律でこれを定める。

                      

五 予備費を計上し、執行する事。但し事後に議会の同意を得る必要がある。

                      

六 本法及び法律の規定を実施するために、勅令を制定する事。

                      

七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定する事。


八 国王又は女王が行う栄典の授与を決定する事。


                   

第十九条 

内閣は国政について、定期的に議会に報告を行わねばならない。


                   

第十九条 

内閣は必要に応じて、議会を召集する事を閣議で決定する。


                  

第二十条

内閣は第四十八条に該当する場合に、国王又は女王に庶民院解散を助言する。


                  

第二十一条 

内閣は議会の信任を失った場合、又は内閣総理大臣が欠けた場合には総辞職せねばならない。



第二十二条

内閣総理大臣及びその他国務大臣が辞職する場合は国王又は女王に辞意を表明する。



第二十三条 

内閣が総辞職した場合には次の内閣まで暫定的に前の内閣が職務を遂行する。


                  

第二十四条 

国王又は女王は勅令により内閣総理大臣及びその他国務大臣を任命し、罷免する。

内閣総理大臣を任免する勅令については当該者が副署し、その他国務大臣及び官吏を任免する勅令は首相が副署する。


                  

第二十五条 

国王又は女王は内閣総理大臣の任命に際し、第四十五条により推薦された庶民院議員を任命する。


                  

第二十六条 

内閣総理大臣は内閣の首長であり、閣議を主宰し、内閣を代表する。


                  

第二十七条 

内閣総理大臣はブリジェンドの行政権を掌握し、行政機関の指揮監督を行う。

行政権とは立法権及び司法権を除いたものとする。


                  

第二十八条 

その他国務大臣は法で定められた権能について、定期的に閣議で報告する。


                  

第二十九条

内閣総理大臣が一時的に執務不能になった場合は、国王又は女王は法律で定められた内閣総理大臣臨時代理を任命する。


                   

第三十条

内閣総理大臣及びその他国務大臣は任期中に訴追される事はない。

但しこれを理由に大臣に対する官憲の捜査活動を妨害する事は許されない。


                  

第三十一条 

内閣総理大臣及びその他国務大臣、官吏は、就任に際して、国王又は女王の前で、法律の定める方法により、廉潔性の宣誓又は宣言及び誓約を行うとともに、本法に対する忠誠及びその職務の誠実な執行を宣誓し、又は誓約する。



                                                                                          第三部 議会

  

第三十二条 

議会は全国民を代表する機関であり、議会が定めた法律及び議決は本法に反しない限りは、

他の機関の命令及び処分を優越する。


                  

第三十三条 

国王又は女王と議会は立法権を共同で行使する。但し法律の改廃は議会以外はこれを行えない。


                  

第三十四条 

国王又は女王は議会の議決無しに、課税し、公債を発行し、公金を支出することができない。


                  

第三十五条 

議会は国政に関する調査を行う。各機関に証人の出頭及び証言並びに記録の提出を求めるが、司法権の独立はこれを配慮せねばならない。


                  

第三十六条 

議会は国王又は女王の勅令によって召集する。国王又は女王が召集を拒否する場合は庶民院及び貴族院議長が召集する。


                  

第三十七条 

議会は庶民院及び貴族院で構成される。 


                  

第三十八条 

庶民院は四百五十名の庶民院議員で構成される。


                  

第三十九条 

庶民院議員は国籍を有し、二十歳以上の男女であらねばならない。


                   

第四十条 

庶民院議員は選挙権を有する十八歳以上の人間の男女の投票で選出される。

選出については秘密選挙、普通選挙、平等選挙の原則を厳守せねばならない。


                  

第四十一条 

庶民院議員は一つの選挙区から得票数が一番多い議員を一名選出する。選挙区の構成はこれを法で定める。


                  

第四十二条 

庶民院議員の任期は五年とする。但し第四十八条の解散があった場合はその限りではない。


                  

第四十三条 

庶民院議長は庶民院議員の中から互選で選出する。庶民院議長は政治的に中立で、常に議会の品位を維持せねばならない。議長の権限は議事規則でこれを定める。

                        

                  

第四十四条 

庶民院議員は法案を提出し、審議し、決議する。但し二名以上の共同提出者が必要になる。

                        

                  

第四十五条 

庶民院は財政法案(予算)及び通常法案については、出席した議員の過半数以上の賛成で可決される。貴族院可決後に庶民院議員の三分の一以上の賛成により、可決した法案を国民投票にかける事が出来る。但し投票結果は議会を拘束しない。   


                  

第四十六条 

庶民院は庶民院議員の中から、第三十七条で定められた庶民院議員定数の過半数以上の

推薦の同意を得た議員を内閣総理大臣として、国王又は女王に推薦する。


                  

第四十七条 

庶民院議長及び貴族院議長は内閣総理大臣が推薦された旨を直ちに国王又は女王に上奏せねばならない。


                  

第四十八条 

庶民院は内閣の信任及び不信任決議を採択する。第三十二条で定められた庶民院議員定数の

過半数の賛成で可決される。

                        

決議の様式は以下の通りとする。                        


庶民院議長は信任決議が可決、不信任決議が否決された場合は

「本院は国王又は女王陛下の政府を信任する」と宣言する。

                        

庶民院議長は信任決議が否決、不信任決議が可決された場合は

「本院は国王又は女王陛下の政府を信任しない」と宣言する。 


                  

第四十九条 庶民院は以下の場合にのみ解散する。


一 任期が満了した場合。

                      

二 第四十八条の内閣の信任決議が否決、不信任決議が可決され、内閣が総辞職しない場合。

                      

三 政府が重要法案であると事前に宣言した法案及び財政法案(予算)を否決した場合。

                      

四 庶民院議員の三分の二が早期議会総選挙決議に賛成した場合。

                     

                   

第五十条 

貴族院議員は国王又は女王が勅令で任命する。但し議席の半数は自治州議会より推薦された者を任命する。


                  

第五十一条 

貴族院議員の任期及び定数はこれを定めない。


                  

第五十二条 

貴族院議長は議員の中から互選で選出する。貴族院議長は政治的に中立で、常に議会の品位を維持せなばならない。貴族院議長は内閣の一員として、副首相を兼任する。また議長の権限は議事規則でこれを定める。


                  

第五十三条 

貴族院は庶民院を通過した財政法案(予算)及び通常法案を三十日以内に承認の可否を議決する。可決には出席した貴族院議員の過半数の賛成を要する。


                  

第五十四条 

第五十二条で否決した場合は、貴族院議長は否決した理由を文書で庶民院議長に通知する。


                  

第五十五条 

庶民院は第五十二条で否決された財政法案(予算)及び通常法案について、貴族院と十四日以内に合意に達さない場合は庶民院議員の過半数の賛成で再可決する。


                  

第五十六条 

貴族院議長は貴族院が可決した財政法案(予算)及び通常法案を国王又は女王に送付する。

国王又は女王はこれを裁可し、公布する。国王又は女王による裁可ロイヤル・アセントを以って、財政法案(予算)及び通常法案は成立する。

                        

                  

第五十七条 

庶民院及び貴族院議員は以下の特権を有する。 


                      

一 貴族院及び庶民院議員は会期中には刑事訴追されない。

  但し議会の議決でこれを許諾する事が出来る。

  また議会は必要な場合に官憲に訴追された議員の釈放を求める事が出来る。

                      

二 貴族院及び庶民院議員は院内での演説、討論又は表決については

  院外で責任を問われない。但しこれは政治的責任を免責するものではない。

                      

三 貴族院及び庶民院議員は活動に必要な最低限度の給付金を国庫から毎年給付される。


                  

第五十八条 

貴族院及び庶民院は院内の秩序を維持する為に、議員を懲罰する。但し除名処分については出席した議員の三分の二以上の賛成が必要になる。


                  

第五十九条 

貴族院及び庶民院議員は、登院に際して、法律の定める方法により、廉潔性の宣誓又は宣言及び誓約を行うとともに、本法に対する忠誠及びその職務の誠実な執行を宣誓し、又は誓約する。


                                                                                         第四部 裁判所

                   

第六十条 

司法権は裁判所が行使する。裁判所及び裁判官は司法権の行使に如何なる干渉も受けない。


                  

第六十一条 

裁判所は最高裁判所、憲法裁判所、高等法院、治安判事裁判所、家庭裁判所、軍事法廷がある。


                  

第六十二条 

裁判所は最高裁長官を議長とする統合司法会議を構成する。

            

                  

第六十三条 

統合司法会議は司法機関を統括する。統合司法会議は以下の権能を有する。

                     

                      

一 最高裁判所長官を指名する。国王又は女王は内閣の助言により、最高裁判所長官を

  任命する。

                      

二  全体会議での議決を得て、下級裁判所の裁判官及び書記官を任命する。

                      

三 裁判所内部規則の制定。

                      

四 その他司法権の独立に関する事についての協議。


                  

第六十四条 

最高裁判所は違憲立法審査を除く、ブリジェンドの終審裁判所である。

 

                  

第六十五条 

憲法裁判所は全ての法律及び命令、処分の本法との適合を判断する裁判所である。


                  

第六十六条 

憲法裁判所は本法に適合しないと思われる全ての法律及び命令、処分に対して、不適合を宣言する。統合司法会議は憲法裁判所の不適合の宣言を受けて、この是正を国王又は女王に求める決議を採択する。


                  

第六十七条 

国王又は女王は第六十五条の不適合の宣言を受けた法律及び命令、処分の効力を停止する。

また国王又は女王はこの改廃を議会に求めねばならない。

                       

                  

第六十八条 

下級裁判所の構成は法律でこれを定める。         

                  

                  

第六十九条 

裁判官は心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、公の弾劾によらなければ罷免されない。

                         

                   

第七十条 

裁判官は法で定められた一定額の報酬を受け取る。任期中にこれを減額される事は出来ない。


                  

第七十一条 

議会は裁判官として不適当な裁判官を弾劾し、裁判によって罷免する。裁判官弾劾裁判所の裁判官は庶民院及び貴族院議員で構成される。


                  

第七十二条 

裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行う。但し公共の秩序に甚大な影響を与える場合は統合司法会議の議決で非公開とする事が出来る。

                        

                  

第七十三条 

第六十五条においては第六部の国民の権利と自由、大臣及び官吏の犯罪、大逆罪及び内乱罪、扇動罪についての裁判は非公開とする事は許されない。

            

                  

第七十四条 

裁判官は、任官に際して、法律の定める方法により、廉潔性の宣誓又は宣言及び誓約を行うとともに、本法に対する忠誠及びその職務の誠実な執行を宣誓し、又は誓約する。



                                       

       第五部 自治州及び地方自治体


第七十五条 

ブリジェンドは自治州を基本構成要素とする。

                 

                  

第七十六条 

自治州は自治州憲章を本法及び法律の範囲内で制定し、州政府及び州議会を成立させる。


                  

第七十七条 

国王又は女王は州政府の首長を州議会の推薦に基づき、任命する。


                  

第七十八条 

国王又は女王は自身の統治が及びにくい地域に自身の名代である総督を派遣する。

総督は国王又は女王が有する自治州に関する権限の全てを行使する事が出来る。

                  

                  

第七十九条 

国王又は女王は総督の任免に際しては、州行政府の助言に従う。       


                   

第八十条 

自治州は法で定められた自治州が有する排他的権限への侵害に対して、憲法裁判所に提訴する事ができる。

                        

                  

第八十一条 

県、市町村はブリジェンドの地方自治体を構成する。

                                     


第八十二条 

自治州は地方自治体に自身の権限の一部を移譲する事が出来る。


                  

第八十三条 

地方自治体は法律及び自治州法の範囲内で、条例を制定する権限を有する。

                  


                第六部 国民の権利と自由

                 

第八十四条 

国民はすべての基本的人権の享有を妨げられない。大協約及び本法が保障する基本的人権は侵すことのできない永久の権利であり、人類が普遍的に有する権利である。


                  

第八十五条 

国民は何人も生命、自由及び幸福追求を享受する権利を有する。


                  

第八十六条 

国民は何人も思想及び良心の自由を享受する権利を有する。内心に留まる限りにおいては如何なる制約も許されない。


                  

第八十七条 

全ての国民は平等であり、宗教及び宗派、生活信条、政治的見解、人種若しくは性別による差別又はいかなる理由によるものであれ、差別は認められない。


                  

第八十八条 

国民は公共の秩序に反しない限り、表現、集会及び結社の自由を享受する権利を有する。


                  

第八十九条 

国民は公権力による検閲を拒否する権利を有する。また信書の秘密は、法律で定める場合において、裁判官の命令によるときを除いては、侵害されない。


第九十条 

国民は公民としての権利を有する。公民権とは公務就任権、罷免権、直接請求権、投票権、国民審査権を指す。


                  

第九十一条 

国民は公共の秩序に反しない限り、信教の自由を享受する権利を有する。

国王又は女王、その政府が国民に特定の宗教を強要し、推奨する事は許されない。


                  

第九十二条 

国民は公共の秩序に反しない限り、学問の自由を享受する権利を有する。


                  

第九十三条 

国民は法が定める義務教育を享受する権利を有する。また義務教育課程において、必要な費用は公金で支出するものとする。


                  

第九十四条 

国民は不当に個人の財産を侵害されない。私有財産を公共のために用いる場合には正当な補償を支払わねばならない。


                  

第九十五条 

国民は何人も法に依らない処罰を受ける事は無く、また裁判を受ける権利を侵害されない。


                  

第九十六条 

国民は公務員による拷問及び不当な暴力を拒絶する権利を有する。また公務員による公権力の濫用に対する賠償を国家に求める権利を有する。


                  

第九十七条 

国民は本法が定める場合を除き、自己に不利益な証言を拒否する権利を有する。


                  

第九十八条 

国民は何人も、法律により又は法律に基づき定める制限を除き、個人的生活領域の尊重に対する権利を有する。


                  

第九十九条 

国民は政府に文化的な生活を享受するために必要な措置を要求する権利を有する。


                  

第百条 

国民は政府に対して、第九十条の権利行使に必要な情報を提供するように要求する権利を有する。

                               

第百一条 

権利及び自由を制約する公共の秩序を脅かす事態とは以下の項目を満たすものを指す。

                                 

一 その権利と自由の擁護において、他者の権利と自由との調整が著しく困難である場合。

                      

二 明白かつ現在の危険が具体的に予見できる場合。

                         

                  

第百二条 

議会は国民の権利及び自由を擁護する為に、護民官を選出する。護民官は議会に定期的に権利と自由の擁護について報告する。護民官は庶民院及び貴族院議長が任命する。

国王又は女王は護民官の任命に関与してはならない。

                  

                   

第百三条 

第六部は国民が有する全ての権利を列記したものではない。


                   

第百四条 

国民は自身が有する権利を濫用してはならない。

          


                                        

             第七部 戦争及び緊急事態


第百五条 

国王又は女王は内閣の助言により、宣戦を布告する。                  


第百六条 

国王又は女王は内閣の助言により、戦争状態を宣言し、議会に対して必要な立法の制定を求める。                   


第百七条 

国王又は女王は 第百五条及び第百六条において、議会が承認を否決する議決を下した場合はこれを撤回する。                   


第百八条 

国王又は女王は軍隊の最高司令官である。統帥権の行使は内閣総理大臣の助言に従う。


                  

第百九条 

国王又は女王は戦時もしくはそれに類する事態に際しては、全土又は一部の地域に戒厳を布告する。             


第百十条 

国王又は女王は内閣の助言により、武力紛争及び内乱、テロリズム及び大規模自然災害などに際して、全土又は一部の地域に緊急事態を宣言する。内閣は法律の効力を有する勅令、それに基づく規則を制定する事ができる。本条が定める勅令及び規則は、緊急性に比例したものでなければならない。


但し本条の適用には以下の条件を満たす事を要件とする。

                  

一  国民の生命、健康若しくは安全が深刻な危機に曝されている事。

                

二 自治州の能力若しくは権限を超え、又はブリジェンドの主権、安全保障及び領土の統一性を保全する政府の統治能力が深刻に脅かされる差し迫ったかつ重大な一時的性質を有する事。

                 

三  既存の議会制定法によっては効果的に対応できない事。


            

第百十一条 

第百十条に基づく緊急事態の布告及び勅令、規則に際し、議会は三十日以内にその承認の可否を国王又は女王に上奏する。議会が閉会中である場合でも、次の会期に承認の可否を上奏する事を要する。議会が承認を否決する議決を下した場合は、これらの措置は直ちに無効となる。

             


第百十二条 

国王又は女王は内閣の助言により、第百六条の戦争状態、第百九条及び第百十条に基づく戒厳及び緊急事態の発生が予見される場合には、警戒事態を宣言する。内閣は軍隊の一部又は全部に準備命令を発し、警察力の一部又は全部を出動させる事が出来る。布告後の14日以上の継続は議会の議決を要する。


第百十三条

国王又は女王は第百十条に基づく権限を勅令により、自治州総督に移譲する事が出来る。但し自治州憲章を逸脱してはならない。


             

第百十四条 

第七部が定める事態が継続している期間においては、本法の改正発議は成立しない。



                                         

              第八部 国際機関への主権移譲

             

             

第百十五条

本法が定めるブリジェンドの主権の一部を国際機関に移譲する事が出来る。但し主権の移譲に関しては、その内容を問わず、第十部 本法の改正手続きが必要となる。



                                         

                第九部 最高法規

                      

             

第百十六条

大協約及び本法はブリジェンド法における最高法規であり、これに反する全ての法律及び命令、処分は無効になる。



                                         

              第十部 本法の改正手続き


第百十七条

本法の改正の発議は庶民院及び貴族院の総議員の三分の二以上の賛成、又は三分の二以上の自治州議会にて改正提案が可決される事を要件とする。

国民投票の過半数以上の賛成で改正は成立する。改正された法は、国王又は女王と庶民院及び貴族院によって構成される憲法会議が共同で公布する。


第百十八条

第一条及び第二条は改正の対象に出来ない。



                                       

             第十一部 雑則及び経過規定

               

1 協定歴987年5月3日午後12時31分を以って、870年王国統治法は失効する。

               

2 協定歴987年5月4日午前0時0分を以って、本法は発効する。

  同時に987年王国統治法施行に関する一括改正法も同時に発効する。


3 870年王国統治法下の内閣及び議会は、本法施行後の総選挙までの期間はその任に就く。



国王チャールズ・デバイパース及び憲法会議議長サンティアゴ・カリージョは、

870年王国統治法の改正手続きは適正に行われた事をここに確認する。

 

協定歴985年2月11日署名

                         

民主政体の擁護者並びに、ブリジェンド国王 チャールズ・デバイパース

憲法会議議長 サンティアゴ・カリージョ








       

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