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H24

 魔王国に壁はない。人種の国の街には壁があったりするがここにはない。人種の国の小さな街とかには壁はないが、魔王国はここだけしかなくて、そして言うなればここが首都。それなのに魔王国はオープンだ。そもそも壁なんて概念は弱い人種だからある物なのかも知れない。それに魔族は飛べる奴らが一杯だし、壁の意味が無いってのも大きいかも知れ無いな。しばらくダンプで進むと建物が唐突になくなり、街の外に出たことがわかる。もう既に魔王国の外である。


 本当なら街の外にも国の領土というのは広がってる。目に見えなくてもそういう物だ。何せ普通は生物が生活して行くには街の範囲だけでは生きてくなんて事は出来ない。大きな街があるのなら、それ以上の範囲の土地が必要でそこで農作物とか作らないとその町で生きてく人達を養っていけないからだ。でも魔王国は違う。本当にこの街だけが魔王国の領土だ。そもそもが農作物作るとか、他の種族がやってるのか……やってたとしても人種よりも多い種なんて居ないからな。一応八百万のなんとかって種が居たような……あれは数の概念がないような種だと聞いた事があるが、その種は何かを食べてるとかはないらしいというか、マナをそのまま取り込んでるとかだったから例外だろう。


 普通は生命活動するのに食べるって事は必須だ。人種は弱いからこそ、魔物を気軽に狩ることも出来ない。そこらに魔物が溢れてる世界だ。動物とかを魔物は積極的には襲わないが、種とくくられてる奴らは襲ってくる。つまりは人種も積極的に狙われる。いや、人種だからこそ……だ。何せ魔物にとっては一番気軽な食料が人種なんだからな。人種の戦いは魔物との戦いでもある。だから壁は必須だった。


 でも魔族は魔物を脅威とは見てない。だから壁なんて必要ない。寧ろ魔物は魔族にとっては気軽な食料でしかない。腹が減ったら狩って食う。だからこそ魔王国の領土はこの街の範囲だけなんだ。一応魔族には元々定住してた地があるからそこも魔族の領土なんだろうが、そこは近くではないから関係ないらしい。魔王国から出て少し進むと、湖があった。大きくて綺麗な湖だ。よく知ってる場所でもある。


 なにせ軍が部隊がよくここで駐留してるしな。水は大切だ。今は浄水施設とかが出来てるから街での水は気軽に使えるほどになってきてる。だがいざ外に出ると水を確保するのは苦労する。だから勝手知ったるこう言う湖の場所は軍の地図にも重要地点とかで書かれてる。今はそういう軍の姿は見えない。三台連なったダンプがその湖の畔に止まる。すると湖の向こうから何やらドババババと水しぶきをめっちゃ上げて走ってくる奴がいる。なんか色々とおかしい。そもそもが水面を走ってるんだが……突っ込んだら負けか?


「おーい! 待ってたよー」


 そう言うのは人種の少女? いや、あの顔を見間違える筈がない。なんかさっきあったときよりもとても質素でまるで冒険者みたいな格好をしてるが、その顔立ちは間違いなく、魔王ミリアその人だった。一体……何のつもりだ? イヤな予感しかしない。

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