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H20

「ふーん、そっちも詳細は知らないと?」

「……はい」


 俺達は魔族達に周囲を囲まれて座らされてた。別段縛られてたりしない。わりかし自由たが、それでも俺達は誰一人して顔を上げようとは思わない。何せ許可も無くそんなことをしたら、次の瞬間には首と胴体が離れてるかも知れない。そんな恐怖がある。


 ただこうやって声を聞いてるだけなら、無邪気な女の子のようにも思えなくもない。だがそれは間違いだ。俺達は闇に生きてきた者達だ。だから見た目に騙されるなんて事は無い。俺達は誰もが直感した。この女がヤバい奴だってな。だから俺達は直ぐにへりくだった。

 まあそもそも魔族と人族は共闘中だ。だからヘタな事をやらなければ、殺されるなんて事は無い思ったのも大きい。


「そこの二人と、そこの角つけてる奴は違うんじゃない?」


 彼女は俺と、そしてバンセンさんとサポを名指して来た。くっ、流石だな。俺達は部隊だからな、ボスである俺を一目で認めたのは流石だ。バンセンさんとサポはあきらかに人種ではないから、そこらへんは簡単だろう。


「何か言いなさい。顔を上げることを許してあげるわよ」


 彼女の言葉は言葉としては優しい。けど……その意味は違う。選択肢があるようでないんだ。言葉を発することを許可されたのなら、何かを言わないといけない。許可されたのに言葉を発しないのは、それは失礼という物だ。だから俺達三人は顔を上げた。他の奴らは勿論下を向いたままだ。許可を受けてないからな。


 顔を上げて見えるその姿に息をのむ。顔はまだ幼いが……あふれ出るオーラが後光のように見える。単純に顔の良さだけで観れば、ラーゼ様が上だろう。だがその服装や髪型。メイク……といった物とそのあふれ出る力で彼女はとても神聖に見える。

 いや、神聖というのが正しいのかは疑問だが……とても尊く感じるんだ。彼女は大きく胸元を開けた服を着てる。そしてアップにした髪には高価そうな髪飾りが揺れている。とても長いドレスのような……だが人種の分化とは違うそれはあれか? 


(たしか着物とか言ったか?)


 サナハイムとかで着用されてたような……そんな服を着てる。本当なら長いそれは地面につくだろうに、何故か裾は浮いている。多分彼女の力だろう。そして彼女の細くて白い足が見えている。どうやら履いてるのはブーツらしい。


「我らはただ、この者達へと力を貸すようにと言われたまで」

『そうですそうです』


 バンセンさんとサポは無難な答えを言ってる。まあけど、多分真実なんだろう。別に任務の内容なんて知らなくても手を貸すくらい出来るしな。困ったのは俺だ。


「そっちは?」


 そう告げられて視線が交わる。その瞳は手とも深く澄んでいる。吸い込まれそうな気がして……そして次の瞬間、自分の死が想像できる。隠し事は無理だと悟った。俺はとりあえずしってる事は離す事にした。

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