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H5

「神だ……神が落ちてきた!」


 そう言ってパウジーフラワーの彼はバシャバシャと水音を立ててそれに近付いてく。そして水の中に手を突っ込ませて、頭まで水につかり水をかき分けてそれの下に腕を通す。そして腰を持ち上げた。持ち上げたそれは華奢だった。それは彼等パウジーフラワーにとっては……だ。

 白い肌の筋肉質の体。背中には小さな羽。何も身につけてないそれには顔がない。だがそんなのパウジーフラワーは気にしない。寧ろ完璧な体だと思った。


「神の体。それに違いない」


 そう思った彼はとりあえず陸に上がろうと反転した。だがその時、落ちてきた其れが動く。バキッという音と共にパウジーフラワーの体が揺れた。だが……それだけだ。ダメージなんて物はなかった。逆に神の体と思ったそれが壊れていた。


「おお、なんと言うことを。大人しくしてくださいませ」


 パウジーフラワーの彼は攻撃されたことすら認識してない。それを悟ったそれは手を引っ込めて足を使ってパウジーフラワーの体を蹴った。そして体を捻ってその腕から逃れて水面に立った。そして背中の羽が何やら極彩色に光ってる。


「水面に立つなど……素晴らしい」


 そういうパウジーフラワーの彼は腕を伸ばしてそれを掴もうとする。けどその腕をそれはかわして体に組み付いてきた。背中に回り、腕と頭をホールドして締めようとしてくる。


「よしよし、そのままいてください」


 締めてる筈だが、パウジーフラワーにはなんの効果も無い。なにせ別に彼等の操る体には骨があって血が通ってる訳じゃない。そのまま陸にまで運ばれていく。


「どうぞ、つきましたよ」


 そういうパウジーフラワーの彼。得体の知れない者と陸に上がってきた彼を見て他のパウジーフラワーたちも注目してる。がやがやと色んな体を持つパウジーフラワーが寄ってくる。


「この者は天から降りて来たんだ。そして理想の体を持ってる。凄いだろう」

「おお、確かに」

「なんと美しい体だ」


 そんな声が聞こえてる。それは異様な光景に思えて、それはパウジーフラワーの彼から降りた。そして周りを見回す。花畑の大地には三十体くらいのパウジーフラワーがいる。潰れた腕はその再生能力で元に戻ってはいるが、戦力分析的には不利だと悟る。


「天がもたらしてくださった完璧な体。さあみな、神に感謝を」

「「「感謝を」」」


 そう言って天に手を伸ばすパウジーフラワー達。頭に咲いてる花からいくつもの色の光がポワポワとでてきてる。そして静かに最初は風が吹いて、それが徐々に強くなっていく。気付くと風の渦にそれは囲まれていた。そして体に何かが風と共に張り付いてくる。指で確認すると、それは花粉? 奴らは……そう受粉してるかのようだった。

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