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閑話 ある日のユングの苦悩9

「はっ――」


 気付くと、両手を掴んで目の前の細長いネズミっぽい人を屈服させていた。


「これは……一体……ユング様?」

「えっと……うーんと……」

 

 どうしよう、なんと説明すれば良いんだ? いや、言い訳なんて不可能なんじゃ? なにせ、僕自身もよくわかってないから、説明にも齟齬が出る可能性は高い。僕はしかも今何をしたの知らない。メイドさんが何を見たのか……わかってない。状況から考えて、首を絞められてた腕を取って、強引に引き剥がしてスナフスキンを跪かした……って感じだろう。自分でも驚く位の力がでてる。僕はまだ子供です。だから……そこまで強い力は出せない。いや、同年代よりは鍛えてる分強いけど、それでも大人に勝てる物であるはずないし、そもそもが他種族に人種の力程度は赤子みたいな物だ。


 だからこうやってスナフスキンを自身の力で跪かしてるなんて……異常……以外の何物でも無い。事実、メイドさんは僕の事を何か得たいの知れない何かのような目で見てる。


(僕の体で何をした?)

(奴が無理矢理我を出した。だから少々無茶をしただけ。殺さなかっただけ、ありがたいと思え)


 そんな事を宣うアラガタ。そのままアラガタに体を乗っ取られなかったのは暁光か。ヘタしたらそういうこともあったと思う。


(アラガタ……戻されたのですか?)

(ふん、まだ力が足りなかっただけだ)


 どうやらあのスナフスキンは無理矢理アラガタを出してヤバくなったから押し込めた……みたいな感じなのかも。このままアラガタを中に置いとくのは多分危険なんだろう。でも、どうしていいのかはわからない。やはりちゃんと相談したほうが良いんだろう。けど……今はこの状況だ。スナフスキン……今は制圧してるが、これからどうしていいのか……なにせこの人……というかこのスナフスキンは一応客人。客人を自分は屈服させてる訳で……とても不味いんではないだろうか? 


「殺せ……」


 スナフスキンさんはそんな事を言ってくるしね。でもここで離したらこっちが殺されそうである。だからどうしたら良いのかわからない。そもそも殺せないし……


「すみません、アナタを殺すことは僕には出来ません」

「…………お前は……奴に寄生された人種か」

「……そうなりますかね」


 ははは――とカラ笑いを出す。寄生とか言われちゃうとね。いきなり不安になってくる。そもそもそれは思ってた事だし、最悪の場合、自分がアラガタに乗っ取られるという可能性を考えなかった訳じゃない。でも人種の……僕のマナをちょっとずつ取るくらいなら問題ないと思ってた。でも今の一回で、僕には不安が押し上がってきてる。スナフスキンを握る腕が……震えてる。

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