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閑話 ある日のユングの苦悩7

「貴様はあれと同じ匂いがする……あの……我らを滅ぼしたあいつと!!」

「ぐ……がはっ……」


 ギリギリと締め上げてくる手の力に僕は抵抗できない。いや、流石にヤバいからどうにかこの拘束を解きたいとはおもってるんだけど、指の細さとかとは違って、力がめっちゃ強い。これが人種と別の種族の違いか。しかもおそらくこの存在はスナフスキンの巫女。つまりは星持ちだった種。かつてこの星で上位に君臨してた種なんだ。つまり、人種とはそのスペックに大きな違いがあると言う事。


(助けてやろうか?)

(アラガタ……)


 頭に響くそんな声。こいつを出せばどうにか出来る? でもそれはヤバいような気がする。こいつは今は力も何もないはずだ。この状況をどうにか出来るとはおもえないし……なんか事態がややこしくなりそうだ。


「ペーチェ様、落ち着いてください!」


 メイドさんがそう言って頭を下げる。どうやら間に入ったりはしてくれないようだ。いや、正しい。だって危ないだろうからね。彼女は興奮してる。こんな状態の他種族に近付くと、ちょっとした露払いでも、人種の体は壊れかねない。


「こいつは……何者だ?」


 べーチェと呼ばれたスナフスキンの巫女はその全身をさらしていた。細長い二足歩行のネズミみたいな見た目だ。だけど、ネズミほどにダボッとしてる体型じゃなく、もっと人に近い。でもそれにしても背が高い。二メートルはある。だからこんなに背が高く内部はなってるみたいだ。服はなんかドレスでちょっとあってない。赤いドレスだしね。でも気に入ってるのかもしれない。意識がヤバくなってきたから、なんかどうでも良い事を考えてしまう。


「その方はこの国の王子です。その方を攻撃することは良くないかと思われます」

「王子? これが人種だと……貴様は宣うか?」


 そろそろ、首の骨がヤバい。べーチェさんは僕の瞳を覗き込んできた。その瞳から、何かを読み取ろうとしてるかのよう。


「出てこい、私の感覚は誤魔化せないぞ」


 その瞬間、何かが体を掛けめくるかのように感じた。自分の体から切り離されていくかのような感覚で、僕はこの感覚をしってる。これはあの時……アラガタの中に存在してただけの時の様な……その時と同じに感じる。


「え?」


 気付くと僕は何もない場所に居た。しかも裸だ。水中の中にいるかの用で……上の方に明かりがみえる。けど周囲が暗いわけじゃない。そしてどこからともなく、声が聞こえてきた。


「我を呼び出すとは、死ぬ覚悟が出来てるんだろうな?」


 そんな物騒な言葉がね。

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