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#96

 ダンプを数台貰って、私達は首都を出発する。本当は空挺がほしかったんだけど、流石にくれなかった。だから良さげなダンプを人数分ごうだ――貰った。

 

「ここからどのくらいなの?」

「そうですね。これなら二日と言った所でしょうか?」


 二日……ダンプで二日って遠くね? これかなり速いはずだよね? 馬とかよりもよっぽどの筈なんだけど……やっぱり私専用をもう一台奪っとくべきだったか。だって既にぎゅうぎゅうってわけでも無いけど、余裕はない。他の車は文字通りぎゅうぎゅうだしね。私の奴だけは余裕をもたせてるんだよね。それでも二日車で過ごすのは身体にきそう。

 

「大丈夫ですよ。寝床はちゃんとありますから」

「そうなの? 男と女は分けるからね」

「わかってます。お楽しみは領地までとっときますよ」


 寒気がした。蛇の奴、私の身体舐め回すように見てくる。まあ……約束だし、拒否はしないよ。けど領地に付いてすぐは流石にきついと思うんだ。だって今回は蛇だけじゃないし……グルダフもカメレオンもやけに目をギラつかせてるのはそのせいだもんね。

 

「なんの事?」

「夜の予定」

「は?」


 隣に座る亜子が私の発言に首をかしげる。まあ私が既に経験済みなんて思わないか。ごめんね。亜子よりも進んじゃってて。いや、そもそも亜子は処女なのか? 向こうの世界に彼氏とか居たのなら、ほんと申し訳ないよね。いや私のせいって訳でもないけど……亜子は向こうの記憶を失ってないから、強く向こうを想う筈だ。

 

「夜に何やってるの? あれでしょ、夕食の予定とかでしょ?」

「全く、亜子はお子様ね」

「いや、そっちの方が年下でしょ!?」


 確かに見た目的には私の方が下に見えるでしょう。でもそういう事じゃない。見た目の問題じゃないじゃないのだよ。

 

「亜子にはわからないかもしれないけど、上に立つ物はご褒美上げないといけないんだよ」

「ご褒美って……何を……え?」


 何かに亜子は思い当たったらしい。私がやれる物なんて私の他に何もないからね。お金持ってるわけでもないし……いや今は褒美として貰ったけど、彼等はそんな物がほしい訳じゃない。それにお金なんかよりも私自身のほうが価値高いしね。

 

「身体でその……人達を繋ぎ止めてるの?」


 なにそのちょっと引き気味な顔は。軽蔑しますと暗に言ってない? それにまだ亜子は獣人というものに慣れてないから、蛇たちをどう表して良いのかわかってない。私的には大体人と同じだけどね。話せれるんなら生命に違いなんてそんなないよ。

 

「だって私以上に価値のある物なんてこの世界に無いじゃない。誰にもはしないよ。ちゃんとそれを与える者は選ぶ。その上で私はこの身体を使うの。私自身の意志でね」

「そう……なんだ……」


 なんか軽くカルチャーショック受けてるっぽい亜子。しょうがないよね。段々となれてくしかない。ここはぬるい世界じゃないからね。

 

「あんたも……そんな事するんだ……」

「兵器っ子?」

「むっ」


 めっちゃ睨まれた。全く首都から出てずっと機嫌悪いんだから。そんなにカタヤの傍にいられなかったのが嫌なの? 兵器っ子は残りたいって言ったんだよね。てか召使いにしてくれみたいな事をカタヤにいってた。けど、それをアイツは拒否。それに兵器っ子と同様の立場の元生体兵器の子達は私が引き取る事になったからね。あの研究所は保護施設じゃないって、孤児院に送られるとのことだったから纏めて引き取ったんだ。

 生体兵器としてどこか改造されてるのかと思ったけど、どうやらそんなことはなく、使うときだけに特殊な術式を無理矢理組み込むと蛇は言ってた。だから皆ただの子供。折角領主になったことだし、領民でも増やして置こうと思ったんだ。

 

 でも兵器っ子はカタヤの元にいられなかったのが納得できないらしい。あんな奴直ぐに忘れていいのに……兵器っ子は素体はいいし、メイクとかすれば光ると思う。もうちょっと金持ってそうな奴捕まえられるよ。

 

「私、もう兵器っ子じゃないし」

「ああ、えっと『キララ』……恥ずかしくないこの名前?」

「むっ」


 まためっちゃ睨まれた。

 

「あはは、キララなに?」

「だからアンタみたいななんでも持ってる奴も、与えたりするんだって……持ってる奴は奪うだけだから……」

「まあ私は、そんな横暴じゃないからね。そういえばキララは処女なの?」

「なに聞いてるのよラーゼ! 誰でもあんたみたいだと思わないでよ!」


 亜子の奴が私をビッチみたいに言うよ。失礼な。私は見境ないわけじゃないっての。反論しようとしたら、その前にキララが言う。

 

「あそこに居た子で身体が汚れてない子なんていない。皆、生きるだけしか出来なかったんだから」

「え? ……じゃあ初めては?」

「思い出したくない……」

「ご、ごめんなさい!」

「全く、亜子はデリカシーがないよね。てな訳で、一番のお子様は亜子って事ね」

「ちょっ!? なにそれ!」


 そうやって私達はワイワイと恥ずかしい話をしてた。きっとこのダンプに乗り合わせた蛇たちは気まずかっただろう。流れる景色にもはしゃいで、中々に楽しい旅路だ。

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