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閑話 ある日のシシの日常12

 ドームの上の方の部屋から中のだだっ広い円形のスペースを見てる。そこから見えるのは複数のアンティカが動く様と、それに挑む獣人種達の姿だ。いや、別段獣人種だけが戦ってる訳じゃない。他のよくわからない種も居るけど、見た感じ獣人種が多い。

 なんて無謀な……とも思う。幾ら獣人でも生身でアンティカと戦うなんて無謀だ。しかもアンティカはゴテゴテに武装してるし……それに生身って……


「バカなんですか?」


 私のそんな言葉に最初に会った熊が豪快にガハハハ! と笑う。失礼極まりない事を言った自覚はあるが、不快になるとかはないみたいだ。多分、自分たちが無茶なことをやってるって自覚はあるんだろう。


「やはりアンティカは美しいな」


 そう言ってるクリエイトさんは、私の呟きも熊さんの笑いも聞こえてないみたいである。なんか恋する女性みたいな熱い目でうっとりとした顔してる。そういう顔をここでするんだ。


「あれに意味はあるんですよね? 自殺希望者達じゃないですよね?」

「そんな訳ないだろう。俺達は死ぬ気なんて微塵もない。あれが死ぬ気の奴らの顔に見えるか?」

「そんなこと言っても……獣人種のしかも獣によってる人達の表情なんてわからないですよ。まあ生き生きしてそうでは有りますけどね」


 アンティカ数体と他種族数十人の方々は激しくたたかいあってる。なんかドームの中のステージは荒野みたいに見えるけど、わざわざそれを再現してるの? 他種族の人達はめっちゃ動いてる。大体が武器を持たずに素手。そしてその牙や爪を武器として使ってるみたいだ。


 彼等は吹き飛ばされても直ぐに立ち上がりアンティカに向かって言ってる。怪我とかしてない訳じゃないよ? 血だらけになってる人もいる。なのに……戦ってる。なんか狂気を感じるんですけど。


「大丈夫なんですかあれ?」

「大丈夫さ。俺達獣人は人種よりもかなり頑丈だからな」


 そういって二の腕の筋肉を見せつける熊さん。はいはいと思いながら見てると何やら音が鳴り響き、更に光が明滅する。すると見えてた荒野が消えていき、銀色のだだっ広いなにもない場所になった。そして皆さん、戦いを止める。アンティカは奥の方へと移動してく。他種族の皆さんは、こっち側に戻ってきてた。


「心配ならもっと近くで見るかい?」

「……べつに……」


 別に心配な訳ではない。寧ろ興味なんてないし。でもなんか引っ張っていかれた。下に降りてロッカールームみたいな所につくと、むわっとした野性的な匂いが……私は顔をしかめたよ。

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