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閑話 ある日のシシの日常9

 二人ともこだわりが強いからなのか、なんか白熱してる。アンティカの方が素晴らしいというクリエイトさんに対して、列車のほうがロマンと実用性が高いというその人。私的にはどっちでも良いわけだけど、なんかこの場で中立なのは私と言うことで、その判断が私に委ねられた。いやいや、興味ないんですけど? 


 そう思うけど、なんか私には拒否権がないみたい。まあ最新の物を見せてくれるみたいだし、なかなかに貴重な映像には成りそうな気はする。撮れ高という面ではいいよね。私は既に飽きてるんだけどね。良いからさっさと見せるなら見せてほしい。


「それでは今、開発してる最新の車両がこれになります!」


 そう言って彼が指さすのは黒い車両に何やらゴツゴツした見た目の頑丈そうなやつだ。どうやらこれから人種が領地拡大を進める為に人種の領域外へと物資を輸送する為の車両らしい。なのでこの車両は物資を積み込む為の大容量の積み荷を運ぶための馬力もそうだけど、その頑丈さも売りらしい。既に軍への配備は決まってるとか。


「軍事機密はおいしいね」


 私はボソッとそんな事をいう。なにせ軍は秘密が多い。誰に対して秘密にしてるのか知らないけど、秘密を作りたがるのが軍と言う物なのだ。中は車体の大きさに比べて狭っ苦しい。こう……中身がめっちゃ詰まってる感じ。管とか色々な計器が詰め込まれてるし、なんか収納が逆に飛び出してるみたいな感じもある。


「でもこれって、さっき言ってた輸送とかには不向きでは?」

「これは先頭と最後尾なんだよ。この間には連結をすれば輸送能力は確保できる」

「なるほどですね」


 それからも色々と説明された。なんか最新のレーダー詰んでるとか、車両を見えなくする機能があるとか……それって他の連結した車両はどうなるかとか聞いたら、とても興奮してそこら辺も説明された。さらにはこれだけで終わらなくてもう一つ魅せられた。それは白銀に輝く装飾が凄い車両だった。


 軍用のはまさに実用性に一辺倒って感じだったけど、こっちは違う。派手派手である。


「これはラーゼ様に献上するための物だからね」

「なるほど、ならこれくらいは必要ですね」


 ラーゼ様を乗せるとあれば、どれだけ豪華にしても足りない位だけど、まあなんとか及第点かな? 外側はね。問題は中身だよね。


「私のイメージ的に列車の中はラーゼ様に相応しい物ではないんだけど……」

「ふふ、その既成概念は崩壊するよ。てか乗り気になったね」

「なんせ私達のラーゼ様ですから。ヘタな物を献上されたら名誉に関わります」


 ラーゼ様はあれで別段献上されたらなんでも喜ぶだろう。そこら辺純粋だ。ファンからの手紙も嬉しそうに読んでるしね。でもだからこそ、何だって喜んでくれるからって手を抜くとかやるのは違うのだ。なので私が厳しい目でこの列車をみる。


「おおー」


 中に入ると……というか中に入る時からなんか違った。今までの列車は両開きで扉が開いてたが、これは扉が上に開いた。しかも開いても中が見えないように、上質な布がカーテンの様に中を隠す仕様になってる。ラーゼ様は美しすぎるからね。

 そのお姿は誰にとっても至宝。目に入れたい奴ら大量だが、そう易々と見せてもだめなのだ。わかってるじゃん。ちょっとこの人の好感度上がった。それから中に踏み入れてビックリ、まず床がとても柔らかい。上質な絨毯が引いてあるみたい。さっきの黒いのと違ってこっちととても広々としてて、まさにラーゼ様がお使いになる場所って感じ。


 でも気になる事もある。案内されると、この列車自体に台所やお風呂なんかもある。なに? ここで生活させる気? 流石にこの場所に凄くお金が掛けてあるのはわかるけど、いくらなんでもラーゼ様には狭っ苦しいでしょ。


「必要ですかああいうの?」

「万一の時は、この車両だけで生活できる様な仕様になってる。なにせ先の戦いでラーゼ様は列車と共に湯ヴ回された。その時、列車に備わってたこういう機能が大変役にたったと褒められたんだ。だから更にそこを強化してる。

 この車両には直々にラーゼ様の監修も入ってるくらいだ」

「なるほど……なら私が何か言うことはないです」


 聞いてるとなんか私も一つくらいこういうのが欲しくなる。ラーゼ様におねだりしたらもう一両くらいつくってくれないだろうか? プリムローズのためって言えばいけそうな気がする。列車で各地を回るライブツアーとか出来そうだし。


「どうやら列車の魅力が伝わってきたみたいですね」

「ええ、なかなかに良いですね」

「ちょっと待った! 次はアンティカの事をもっと知ってもらう!」

「英雄の機体、見せてくれるんですか?」

「勿論だ!!」


 対抗心に燃えてそういうクリエイトさん。この人扱いやすいな~。絶対にこれはコランよりも良い物が撮れてるね。その核心にほくそ笑む。

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